エネルギー展より

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太陽光発電などエネルギー関連の展示会がビックサイトで開催された。東西展示棟フルの展示会。東棟1~3は主役が展示するところで、今回は太陽光発電関係。4~6は風力、火力、資源リサイクル関連。西棟は水素・燃料電池、二次電池である。

 人気を反映した混雑具合は二次電池>水素関連>>>太陽光発電の順。太陽光発電は閑散で拍子抜けした。電力買取り価格の低下、海外メーカーばかりで日本は代理店の形では、現在のシリコン半導体での太陽光パネルは終わった感が漂っていた。光変換効率の高い半導体(先週ブログのパワーデバイス)が適用できる時まではステイなのだろうと。その時は国産メーカーの復活が期待される。

 二次電池は新開発情報満載で注目を浴びていた。日立造船は固体電解質として硫化物系材料を用いた全固体Liイオン2次電池「AS-LiB」を出展した。全固体リチウム電池は発火危険性がない、高温、真空でも利用可能とあって、宇宙を始め幅広い利用が想定されている。筆者の関係では病院の予備電源として特に有用だと考えられる。

この展示会の直前に東芝は急速充電が可能で、長寿命の新型リチウムイオン電池を開発したと明らかにした。 レアメタルの「ニオブ」を材料の一つとする酸化物を電池の負極に使い、高容量化を実現した。 充電6分・走行距離320kmが可能とのこと(日経)。水素燃料FCVの水素ガス注入速度が約3分なので、いい勝負になる。

 古河電池は正極材にリン酸鉄リチウムのフィルム電池を小型モジュールに充填した開発品を展示。繰り返し疲労が少ない、熱暴走しないなどの特徴がある。EV車に必要な電力まで小型が可能であれば面白い。材質は開発品なので、ポリプロの鉛蓄電池ケースを利用していたが、実際は難燃性が必要である。PPS(ポリフェニレンサルフェート樹脂)が好適と考えているが、耐衝撃、耐熱、寸法安定性、バリ無し成形と課題が多いのも事実。筆者は数年前にこれらを解決した発明をし登録された。その事もあって、ああ時代がやっと追いついてきたか!と感激した。(写真参照)

 水素燃料電池についてはタンクの開発が継続している。自動車は軽量が必須。トヨタは樹脂層タンクの上にガラス繊維/炭素繊維/ガラス繊維のロービングでぐるぐる巻きで軽量化。円筒部をロービングで巻くのは誰でも予想ができるが、口部とタンクの底の丸い部分をどのようにして巻くか、これには繊維の多軸経編み(たてあみ)が利用されていることをフランスの会社がビデオ紹介していた。日本の方が経編みの機械は得意だけに改良はあるだろう。

結婚式でよく謳われる中島みゆきの「たての糸は。。。よこの糸は。。。」は経の糸と緯の糸。が正式な名称。

一方、ホンダは水素バリヤ特殊アルミを採用している。価格は炭素繊維巻きより安価であるが、重いのが欠点。水素ステーションは重量より耐圧が課題である。日本製鋼所はコバルト・モリブデン配合の鋼材を開発している。

 EV車もFCV(水素燃料電池車)も白金触媒を利用している。白金 高価な上に資源がかぎられている。そこで白金代替の研究を進めている東北大の藪准教授は錯体化合物に可能性を追求している。 開発中ではあるが、既に白金よりサイクル性、メタノール被毒がない、製造性に優れる等の特徴が報告されている。業界へのインパクトは非常に大きい。

 写真はトヨタ・ミライの水素ポンプと燃料電池 、 古河電池モジュール、

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