2021年 5月 の投稿一覧

ワクチン予約顛末

本日5月26日時点ではワクチン接種開始のニュースもある一方で、特に人口の多い都市部では予約すらままならぬ状態が続いている。

5月17日から地方自治体及び防衛省の関東、関西地区でのワクチン予約が開始された。地方自治体は集団接種、個別接種枠についてはパソコン、スマホを中心に、補完的に電話での申し込みシステムとなっている。かかりつけ医院でワクチン接種可能な場合は直接申し込みすることができる。当該地区では600もの医院がリストアップされている。一見準備万端。

まずは65歳以上の人を優先して予約券が送付された。パソコン苦手の家族に変わって操作した。開始の少し前に立ち上げて待機していたところ、スムーズに申し込むことができた。拍子抜けするくらい簡単だったが、宝くじ的確率で予約がとれたに過ぎなかったと後で知ることになる。

もう一人の家族分を申し込むべく操作するとアクセスできず、待つこと3時間。漸く窓口まで辿りついた時には全候補地、全日程が×印。市役所からのLINE情報をチェックしたところ、「パソコン申し込みは既に閉鎖しています。あとは電話でと」。だが終日「話し中」。

2日目、3日目も同様で一週間。市役所相談窓口も電話がなかなか繋がらず、「電話申し込みされてもオペレーターもパソコンの画面をみて操作しています」と返答あるのみ。

一方、直接申し込みができる病院リストに従って電話した。結果はどこも「当医院に実績のある人に限定」と回答があり、“幸か不幸か病気に罹らず”かかりつけ医院を持たない人は拒絶される。病気に罹らず健康保険財政に貢献している人こそ優先して欲しいが、私的病院は経営優先なのでこれも致し方ない。

そもそも集団・個別接種の枠が少ないことが混乱の原因。医者・看護師の方々の通常の業務に加えて想定外のコロナ渦とあって、注射可能な人材が少ないことは国民は分かっている。政府は退職した看護師、歯科医、薬剤師などにお願いすることで枠拡大を企画したが、遅いと非難する声がある。政府を非難するのは簡単だ。ただ諸事、誘導時間はつきもので垂直立ち上げできるのは事前に想定して準備しているケース。防犯や国防は瞬間垂直立ち上げしないと如何にも拙い。ワクチンにはトラウマがあり、従って、当該分野への産官学への予算が圧倒的に少ない。ワクチン製造潜在能力はあるものの間に合わなかった。国民はマスク、手洗い、密回避のあたかも竹槍で世界最高水準でコロナ押さえ込みに頑張っている。

国民全体がこのような困苦の状況にあるとき、防衛省予約センターにランダムな数字を打ち込み予約を試みたマスコミがある。このブログではその是非については取り上げないが予約狂騒の中では甚だ迷惑との声がある。

暗い話題より少しでも明るい話題が好ましい。

京都はコロナ渦で宿泊客が激減。ホテル・旅館・お茶屋さんでは店を閉めるところが出ている。筆者の知り合いも長い歴史に幕を閉じますと丁寧な挨拶文が来て深刻なことを知った。ところが、京都の企業は困ったときは相身互いとして、社員をホテルに住まわせてホテルの落ち込みをカバーしている。勿論全体を浮揚させるほどではないが“気は心”。

ニューヨークの街角風景ではワクチン接種後の復活状況をみると、いずれ回復することは間違いがない。日本の経済落ち込みは-5%と発表されているが、世界では落ち込みは少ない方(上位2番)であり、シタタカな日本を実は企業は実行しているのだ。まして応仁の乱を先の大戦と言うくらいの京都には復活の起爆剤を期待している。

接種まで時間がかかるが、それまで精一杯免疫を高めて待つことにしようではないか。

QRコードの浸透(猫にマタタビ技術誌にみる))

昭和も中期のころ、病院を探しても見つからずClinicの前で倒れて逝った人が話題になったことがあった。クリニックが診療所や医院であることを知らなかった不幸な出来事だ。今では嗤う人もおられよう。だが正直なところ筆者はSDGsを書くときに戸惑うことがある。ESG(環境・社会・ガバナンス)とどう違うのか?頭の中では持続可能開発目標だから。。。と確認してからS・D・G 最後のsは何だったけ?複数形か。日本人だったらはじめから「持続可能開発目標」と言うのが伝わるといつも思う。SDGsのバッチより日本語にすると更に大きくなる!と言う人もでてこようが、逆に、意識が高い人と評価されることは間違いない。

環境展・環境省のブースではCCSのパネル。説明員がCCSですと紹介するので、思わず「日本語で言って下さい!」と言ったところ、説明員は「え~っと、ま、とにかくブースの中を見て下さい」。ときた。口あんぐりとはこのこと。経産省内では常識の言葉Carbon Dioxide Capture & Storage だが、まだ一般に浸透していない場合は正しく日本語での表記が理解されやすい。まして類似にCCUSがある。再利用のUtility が入っていることは分かるものの、普通は理解不能。へぇ、それもあるの?レベル。

それに比べると市民権を得たのがQRコード。先日、ランチにスパゲッティのお店にいった。テーブルの上には15cmX15cmのQRコード紙があるのみ。印刷したメニューがなくシンプル。スマホで読み取り注文するシステムだ。誰かが触った印刷メニューを触らなくても良いのはコロナ渦では歓迎される。お店にしてみれば、印刷メニュー作成は手間暇と費用がかかり容易には変更できない。印刷メニュー作成は、メインディッシュにサラダやスープなどを並べて撮影はしない。焦点が合わないところもあるので、個別撮影して編集で合体写真をつくる。専門業者に依頼することが多い。お店でQRコード作成すれば、食べたいものを探すという目的は達成する。

QRコードって何? を知らなくても、目的が達せられればそれでよい。

少し脇道に入る。

化学系の技術雑誌をパラパラめくっていたら、面白い記事を見つけた(現代化学4月号)タイトルは「ネコのマタタビ反応の謎を解く」である。ネコにマタタビを与えるとマタタビの上で踊ったり、陶酔する様子をマタタビ反応というのだが、何故かを過去に取り上げた目武雄氏の成果を踏まえ、西川、上野山、宮崎(各大学が連携して)化合物をさらに詳細分析し、その結果、マタタビの成分としてネベタラクトールが作用することを見つけた。作用として研究者が腕にネベタラクトールを塗った右腕と塗らない左腕を蚊がいる箱にいれて、蚊が腕に刺す度合を調べたところ、塗った腕には全く蚊は近寄らなかった、一方、塗っていない腕は10分間で7匹の蚊に刺された。このことからネコがマタタビの上でネコ踊ったり、寝転んで背中をマタタビにスリスリする理由が分かったと報告があった。

ここで、何故QRコードのシナリオにマタタビの文献を挟んできたかについて、後出しだが説明する。

雑誌文献には図6として「壁や天井にネベタラクトールを提示した時のネコの行動実験の様子」の写真がある。で、ふとみると写真の左上に「QRコードから動画をみることができる」とあるではないか。早速、スマホでアクセスした。動画は静止画より何倍もの情報を与えてくれる。理解には便利だ。

権威ある学術雑誌にQRコードが許されているのか、不勉強で知らないが、サイエンスに進もうとする若手は、動画から別のヒントを得て新技術開発へと発展する可能性があるように思われる。

動画紹介のQRコード及びネベタラクトールの分子構造を下記に示す。

46%CO2削減と現実解考察

2030年炭酸ガス46%削減を“おぼろげに浮かんできた数字”と環境大臣が発言。行政府は雇用・経済・医療・福祉などへの影響も勘案し責任ある現実解があるから言える筈だ。通常なら工程表で具体的に説明をして国民の期待と協力をお願いするところだ。

それでは現実解とは何かを考えてみたい。2030年まで時間がない。代替技術開発、建設、稼働までの工程の大日程がある。開発済みの技術でスケールアップだけが残されている場合においても、建設に最短3年、転換事業の教育訓練を含む検収1年の4年はかかる。それも全国規模でなると建設にも順番がある。前の東京オリンピック直前に新幹線が開通した。当時の十河総裁は既存技術の組み立てだけでシステムを構築した。もっとも戦前・戦中の弾丸構想があってのこと。新幹線は東京オリンピックを前に一から着手してはいない。平素の基礎開発力があり、政府の大きな後押しがあって実現する。

火力発電では

再生エネルギー(太陽光・風力発電)に環境大臣は比重を置いているようだ。但し、風力発電の巨大な羽根が居住地区では低周波振動が問題となることから海上に限定され、海上設営の本格技術開発はこれからだ。太陽光発電は日本の風景を一変する程に拡充してきた。残された土地は多くない。

もとより昼夜安定した電力を維持できない。筆者が以前紹介した余剰電力を圧縮空気として保存して小型水力電力として取り出す方法がベストだと思われる。これだと比較的簡単な土木工事ですむ。イスラエル企業は日本より欧州での実用化を急いでいる。横目で見ているときではないと思う。

水素発電は1業者がスタートした。NEDO/川崎重工/大林組、三菱パワー、J-Powerも続いているが、2050年目標なので2030年はどこまで46%削減に算入できるか見物である。普通なら責任もって算入はしない。技術検証―改良―完成までの期間に充てるのが通常だ。

水素製鉄(コークス還元代替)も三菱重工などが開発に着手している。が、2030年まで現在のプロセスを置き換えるには時間は厳しい。

原電

一方で、そこまで至る繋ぎの意味も含め原電再稼働は極めて重要である。福井県杉本知事は美浜原発再稼働を認めた。40年以上のプラント再稼働に異議を唱える声は当然だ。しかし、プラントの定期修理のレベルは非常に高いので、メンテの実態を開示でして理解を得るのが良いと思う。また、新設原電は昔の原電と異なり小型化していることで

万一の場合は大事にならないと聞いている。これが本当なら原電に関する議論を冷静にするのもありだと考える。

日本は高い厳しい規制をクリヤーし、クリヤーできなかった国、企業に差をつけてきた実績がある。上記の開発要素が多いアイテムについては、積極展開を期待する。

さて、使用する側の炭酸ガス削減・ニュートラルを自動車についてみると。

自動車ではEVは自身では確かに炭酸ガスを排出しない。FCVも実現すれば優等生と言われては巷間言われている。但し、EVは何度も言うがフォルクスワーゲンがディーゼルゲートで窮地に陥ったので、窮余策としてEVを取り上げたに過ぎない。

トヨタ自動車の豊田会長は、EVが最終ゴールではないと釘を刺している。エンジンの改良は継続しており、直接ガソリン燃焼した方が火力発電での電力利用よりは効率が良いかも知れないなら、その技術向上を継続しよう。またEVが台数でメジャーになるには時間がかかるがHEV、PHEVがそのギャップを埋めよう、そして水素も国家戦略上も重要だからFCVや水素エンジンも、、、、と多くの候補を考えて投資する必要を訴えている。

でも、可能なのはトヨタとVWグループ規模だけだと思われる。それ以外のメーカーはどれかに絞るか、または本命になったときに開発した会社のグループに参加するかの二者択一しかないのも事実あるのだろう。ホンダはカリフォルニアのマスキー法規制のときCVCCエンジンを開発した。日本車イジメが目的の一つだったが、見事にクリーンヒットでお返しをした。そのホンダがエンジンをやめてEV、FCVに絞ると発表した裏にGMと歩調を合わせる四輪車採算事情があるようだ。

以下の表は筆者が各パワートレインの特徴を纏めた。

現行エンジンも合成燃料を使用すればカーボンニュートラルは達成できる。日本の自動車産業に関わる500万人の雇用は維持できる。合成燃料はHEV,PHEVにも適用できるので高い燃費性能は維持できる。EVは電池が固体電池の開発が急がれ、かつ失業者は国内100万人と予想される対策が国と企業に求められる。水素は次期国家戦略では重要であるが、水素発電にも課題としてあるように点火し易いことからエンジンの設計がミソになる。水素タンクの容量アップも課題だ。

この表をみると、全部の候補に目配りして実行しているのはトヨタのみ。表現は悪いが競馬で全部の馬に賭けているようなものだ。自動車会社は連結子会社から提携までの組み合わせがあるが、将来はパワードライブを軸に再編されていくと容易に予想される。

 

大豆由来肉・貝養殖

先日、ランチに唐揚げカレーライスを食した。この唐揚げは大豆を原料とした人工肉なのだが、見た目は勿論、食感は変わらない。中を切り裂くと、繊維が巧みに設計されており弾力性が発現している理由が分かった。

次は大豆由来の牛肉も試して見よう。牛は胃袋が4つあり反芻による地球温暖化ガスの30%を占めるとまで言われているので、栄養素・食感・物流など問題が無ければ切り替わるであろう。この研究をやり遂げた不二製油にアッパレだ。因みに同社の特許件数を調べた。

不二製油*大豆*肉をキイワード検索すると、なんと134件もヒットした。

タイトルだけみても幅が広そうだと分かる。

霜降り状肉乃至肉、繊維状蛋白の製造法、挽肉蛋白の成形法、ブロツク肉蛋白素材、から揚げ食品 海老食感 うなぎ蒲焼き ドライフルーツ食品 生魚肉代替素材など多岐である。ランダムにピックアップした登録特許をみると

特許4070453【請求項1】植物蛋白原料と乳ホエイ蛋白原料の割合が95/5~45/55(乾燥固形重量比)である植物蛋白原料、乳ホエイ蛋白原料及び水を主成分とした原料を押出機を用いてバレル後半品温が140℃~180℃になるように加熱加圧し押出し膨化してなる肉様食品素材。
【請求項2】植物蛋白原料が大豆由来のものである請求項1記載の肉様食品素材。
特許3269519【請求項1】  大豆蛋白に50を超え90未満において蛋白質分解活性を有する酵素剤を作用させて大豆蛋白中のβ-コングリシニンを選択的に分解させて得られるβ-コングリシニン低含量大豆蛋白分解

以下省略するが、134件も特許出願するだけの技術蓄積開発力は高く評価できる。

さて、人工肉なら貝殻はどうだと発想した。ぶらタモリで長瀞・秩父が石灰が豊富な理由は珊瑚礁が地殻変動で追い出されて石灰岩の山ができたと解説していた。海は大気の炭酸ガスを吸収する。日本は海に囲まれているのだから、炭酸ガスが炭酸カルシウムの形で変化した貝殻を獲ることで、EZ水域範囲で炭酸ガス吸収量でカウントでき、かつ貝殻を粉砕しコンクリートして人工島をつくれば、やがて樹木が生えて、炭酸ガスを吸収する。国土も広がる。。一石三鳥と考えた。ホタテ料理で町興しができ、貝殻による夢の島第2弾ができるはず。現在の夢の島は緑化されている様をみると可能ではないか。 味の素がアミノ酸配合セメントで海中での昆布など餌が増殖することも発表があり、これと組み合わせると面白いと“妄想”は広がった。

ところで、日本の貝漁獲量(養殖も含め)は70万トン。貝殻量に含まれる炭酸ガスを計算すると30万トン。日本の排出炭酸ガスは12億トン。なので現在の400倍の養殖をすればよいことになる。気は確かか?と言われそうだ。

中国は貝漁獲量が137万トンと日本の2倍。大陸国家なのに、この量は恐らく内陸養殖が多いのであろう。日本は北海道のホタテで98%を占めているが、黒鮑が養殖できれば輸出にも適しているので好ましい。

現在、国は排出ガスを地下1000mの深部に圧入することを推進している。だが、そのためのエネルギーと差し引くと、案外、貝養殖の増産もトータルでは面白いのではないだろうか。貝養殖には森林・河川の整備も伴うことから農水省のみならず国土交通省など役所の横断的連携が必要だが一考して欲しいテーマではないだろうか。