2025年 7月 の投稿一覧

カフェインと運動パフォーマンス

コーヒーとウオーキングが習慣の筆者。コーヒーは2〜3回/日。多くは作業の始めか終わり。何ら間違っていないと思っていた。ウオーキングは酷暑時間帯を避けるか帽子か日傘を刺しながらの状態。見た目はカッコ良くはない。

今回の文献を見て驚いた。タイトルは「暑熱下では運動中のカフェイン摂取によりパフォーマンスが向上する」 筑波大が2025.6.25にプレスリリースした。

超要約すると①運動前にカフェインを摂取すると、運動時の過換気(呼吸)や脳血流量が減少する。② 運動中にカフェインを摂取すると、①の問題はなく、運動後半に更に強い運動においてパフォーマンスが向上する可能性を見出した。

というもの。何故、運動前にカフェインを摂取すると具合が悪いのかの説明もなされている。それによると「暑熱下での運動前にカフェインを摂取すると、深部体温上昇に伴う過度な呼吸(高体温誘発性換気亢進)や、それに起因する脳血流の低下反応などの生理的ストレスが増大する」

なるほど。納得した。図がわかりやすい。だが、実験条件を見て驚いた。

気温35℃では運動、外出は抑えるのが普通。外出・運動する際には途中でコーヒーを摂取すれば良いのか?とハヤトチリは厳禁。この実験ではトータル30分の運動である。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでコーヒー1杯中のカフェイン量をチェックする。淹れ方で変わるが大凡は以下の通り。

種類                  1杯あたりの量              カフェイン含有量

ドリップ              150ml                         約90mg

インスタント       2g(お湯140ml)           約80mg

缶コーヒー           1本(約185g)             90~160mg

エスプレッソ       1杯(約30ml)               50~75mg

この文献は体重1kg当たり5mg 摂取。 体重が60kgであれば300mg のカフェインとなる。これをドリップコーヒーでは3.3杯 500ml を摂取。エスプレッソなら128ml となる。コーヒーでは満腹状態になって、摂取後の運動は厳しい。

なのでカプセルになるのだろう。1カプセル当たり100~200mg含有が一般的。接種の容易さの反面。1日の摂取量は上限400mgなので要注意。仕事で頑張る必要があると言って短期間に過剰接種すると、めまい、心拍数増加、吐き気、震えなど不具合があるので要注意。

「過剰頑張りは無駄どころか健康にもよろしくない」「集中はせいぜい30分」と勝手な言い訳を作り、このブログ作成も30分に近づいてきたので(本当は20分)、コーヒーを淹れることにした。

尚、夏場の外出に携行必須は水。PETボトルに水と天然塩を入れシャッフル。天然塩は知人からよく頂く奄美大島の加計呂麻(かけろま)の塩。これだけでも実に美味しいが、少量のオリゴ糖を配合するとスポーツドリンク風になる。お試し下さい。PETボトルをラッパ飲みすると口内雑菌が付着することから、使用後は洗浄・殺菌が必要なのでご注意されたい。

株主優待の誘惑?

6月〜7月にかけての株主総会が開催され株主には配当の連絡がある。株には疎いがお客様との縁もあって少しだけ所有している。今回、配当のお知らせと同時に株主優待の紹介があった。製薬・食品関係であれば特価で購入できるなどが優待であるのだろう。運輸関係では無料乗車券などを知人は利用されている。

今回の案件は、配当とは別に優待として各種グッズのほかに現金をスマホwalletに入れると言うもの。スマホ所有していない人は対象外。たまたまsuicaをwalletに入れていたので応募することにした。当該会社独自のクレジットカードは所有していないが利用できるとガイドに記載があったので早速作業開始。

案内状が来た日に早速トライしたがアクセスできない。魅力あるグッズ・サービスは若い人には人気だけにアクセスが集中しているのだろう、深夜までアクセスできない。若い人は25時でも起きているのだろうとして諦め。 午前5時に起床しアクセス。アプリをインストール、スマホ・ウオレットに紐付けをすることができた。

ただ、パソコンやスマホに習熟していない高齢者はこの段階で諦める人が出るであろうほどに厄介な作業。 この段階ではまだ優待金額は振り込まれない。当然のことながらカード会社・銀行との紐付けが必要。続けて作業をする。

ここでも対象カードがなくても可能と記載があり、その手順に従って進めるが元に戻る循環ループで先に進めない。結局、カードを申し込む必要があるのが結論。 上手い!見事な罠。 株発行会社一体のカード会社に誘導されてしまった。今後そのカードを使用する機会がないとも言えないこと、維持費考えるといずれ逆転するのだが。優待金額に目が眩んだ。

わかっちゃいるが、ここまで来たからには止められない。カードを作り、後の操作を実行。漸く振り込み作業のコード番号が送られてきた。コピペするも動かない。手入力だ。アルファベットと数字の組み合わせからなるコード番号。 ここでトラブった。0とO,(ゼロとオー) 1とI及びl (イチ、アイ、エル)のフォントが紛らわしい。多分これだろうとトライしたがトライ数の規定数に達したとしてアクセスできなかった。24時間後に再トライで漸く振り込み完了。

この操作を通じて、① 優待の形だが、企業はその後にカード使用による利益を上げることができる。 ② スマホ所有していないか、操作に不慣れな高齢者(高齢者ほど株所有数が多いと思われる)は諦める。その分 優待金は企業から出て行かない。手続きは厄介だけど憎めない企業であることは確か。③今はスマホ取り扱いになんとかついていっている。だが、たとえば高性能ダイヤモンド半導体が民需化されると通信能力が圧倒的に変化し、次世代スマホは従来とは恐らく違うシステムやアプリが適用されるであろう。

ついていけるか自信はないが、認知症予防には有効かも。一方で、今回の作業時間に対しての優待額のバランスは良くない。その時間で他に有益なことをすれば優待の金額を超えたのではなかろうかと反省。それはデジタル音痴の言い訳にすぎないのだが。

培養肉

大豆を原料とした代替肉について以前このブログで記載した。横浜地下街にあるお店で食べた唐揚げは本物と見分けがつかない繊維筋と味。これには驚いた。一方で当時はカツ豚などでは本物とはやや違うなぁと思った。その後は試していないので、ブログを書くにはエビデンスが必要とあって確認をしてきた。その結果は唐揚げメニューは健在だが、カツ丼は豆腐カツカレーになっていた。ユーザーの声を反映したのだろうと推察。 その一方で 牛肉、豚肉の味を求めるには再現は時間がかかるとみた。

そのようなとき、植物性原料由来の代替肉を猛追するであろう技術が東京大学から発表があった。

培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ――  リリース2025.05.23

超ベテラン寿司職人などは経験的に知っているのだろうが、旨み成分の遊離アミノ酸の経時的変化をLC-TOFMS(液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析による微量測定技術を活用してFAAsの動態を精密に捉えた点で新規性がある。筆者もLC-TOFMSを別の実験で分析依頼をしたことがあり、その性能には驚いた。

早速本文からポイントを引用する。(下線部)

本研究では、ウシ筋肉由来の細胞を用いて、分化や熟成といった工程が細胞内のFAAs量と組成に与える影響を、最新のLC-TOFMSにより詳細に解析しました。まず、筋芽細胞(myoblast)とそれを分化させた筋管細胞(myotube)を比較した結果、分化によって細胞内のFAAs量が一時的に減少し、タンパク質合成が促進されることが示されました(図1)。しかし、その後4〜14日間にわたって低温下で保存する熟成工程を経ると、タンパク質が分解され、FAAs量が再び大きく増加することが明らかになりました(図2)。特に熟成過程では、苦味系・甘味系アミノ酸の顕著な増加が観察され、これらが熟成に伴う味覚成分の強化に寄与していると考えられます。

 

 

 

 

 

 

ここで改めて「培養肉」とはなんぞや? 文献注釈には「動物から採取した細胞を体外で培養・分化させて作る肉。環境負荷や倫理的課題を低減できる持続可能な食肉代替品として注目されている。」とある。

 

読者の皆様は元の動物(牛・豚)を殺傷しないのなら本当に有益だとお考えだと思うので、本当にそうなのか調べてみた。

培養肉は、動物を屠殺することなく、その体の一部から得た細胞を体外の管理された環境で育てて作るお肉。基本的な流れは「細胞を採取」→「増やす」→「育てる」→「組み立てる」というステップ。

  1. 細胞の採取(バイオプシー)

まず、生きた牛からごく少量の筋肉組織を採取。これはバイオプシーと呼ばれ、局所麻酔をして行うため、牛への負担は最小限に抑えられる。採取する量は、ゴマ粒数個分程度のごくわずかな量。この小さな組織片の中に、筋肉の元となる筋幹細胞(サテライト細胞とも呼ばれる)が含まれている。

  1. 幹細胞の分離

採取した筋肉組織から、目的の筋幹細胞だけを酵素などを使って丁寧に取り出す。筋幹細胞は、筋肉が傷ついた時に新しい筋線維を作る能力を持つ特別な細胞で、培養肉生産の「種」となる。

  1. 細胞の増殖

分離した筋幹細胞を、培養液が入った「バイオリアクター」と呼ばれる大きなタンクの中で育て、数を増やしていく。

  • 培養液: 細胞が成長するために必要な栄養素(アミノ酸、糖、ビタミン、ミネラルなど)が豊富に含まれた液体。これに「成長因子」を加えることで、細胞分裂を活発に促す。かつては牛の胎児の血液(ウシ胎児血清)が使われていましたが、コストや倫理的な観点から、現在は植物由来成分や微生物が作り出す成長因子など、動物由来でない代替品の開発が進んでいる。
  • 環境: バイオリアクター内は、牛の体内と同じ約37℃に保たれ、衛生的な環境で細胞が効率よく増殖できるように管理される。

この段階で、ごくわずかな細胞が、理論上は数千キログラム分のお肉になるまで増殖する可能性がある。

  1. 筋肉への分化

十分に数が増えた細胞を、筋肉の細胞である筋線維へと変化させる。これを分化と呼ぶ。分化を促すために、培養液の成分を調整したり、細胞に穏やかな電気刺激を与えて筋肉の収縮を模倣したりする。このプロセスを経て、細胞は細長い筋線維へと成熟していく。

  1. 組織の構築

分化してできた筋線維を、肉らしい食感や構造を持つ立体的な組織へと組み立てていいく。この時、足場(スキャフォールド)と呼ばれる、食べられる素材でできた立体的な構造物が使われることがある。

  • 足場の素材: ゼラチンやコラーゲン、またはコンブや大豆など植物由来の成分で作られた、網目状やスポンジ状のもの。
  • 役割: 細胞がこの足場にくっついて成長することで、バラバラだった筋線維がまとまり、肉本来の弾力や歯ごたえが生まれる。

また、筋細胞とは別に培養した脂肪細胞を混ぜ込むことで、お肉の風味やジューシーさを再現する研究も行われている。

  1. 収穫と仕上げ

最後に、出来上がった肉の組織をバイオリアクターから収穫。初期の培養肉はミンチ状のものが主流だったが、技術の進歩により、ステーキのような厚みのある構造を作る研究も進んでいる。収穫された培養肉は、通常の肉と同様に調理して食べることができる。

以上のプロセスを経て、1頭の牛から採取したわずかな細胞から、大量の牛肉を生産することが可能になる。

この補足説明はいかがでしたでしょうか。 展示会の外でビーガンメンバーが肉を食べないよう声高く訴えている風景を見る。今回の培養肉の製造プロセスを知ることで、考え方や行動が変わるのではないか期待。但し、コストについては調べた範囲では不明。 牛のゲップで地球温暖化の原因である炭酸ガス発生量の3割を占めるとの話もあるので、コストカットへの補助金に捻出しては如何かと思った。 スキャホールドには大豆など植物性素材も利用となんだか「ハイブリッド」がここでも通用しているのは面白い。

ギグワーク

偶にバーガーショップに入ることがある。カウンターには店内用、持ち帰り用、に加えてフードデリバリ用と区別されて商品が置かれていく。フードデリバリの人の強靭な脚を見ると相当の運動量をこなしていることが分かる。同時に、このジャンクフードのデリバリで一体収入はどうなっているのか?も余計なことながら思う。また、この仕事を続けても身につく技術はないはずなので、然るべき職業に就いた方が良いがとこれまた余計なことを思う。

そんな時、とんでもない文献が発表された。タイトルは「景気変動とギグワーク 銀行データで見えた新しい就業のかたち」 (早稲田大学 2025.6.27リリース)

その前に、筆者が知らなかったワード:ギグワークのギグ(Gig)とは音楽用語で「一度だけの演奏」を意味する「Gig」と「仕事」を意味する「Work」を組み合わせた言葉。雇用契約のアルバイトとは異なる。 恥ずかしながらギグをギガバイトならぬギガワークと読み違い。

文献のポイントは

  • みずほ銀行口座(匿名加工)を持つ個人がどのような預金残高でギグワークを開始したか
  • ギグワーク開始時点での預金残高が10万円未満。コロナ禍では女性や中高年も就業していた。とのこと

ギグワーカーはみずほ銀行だけに口座を持っているだけではないだろうとツッコミしつつ、預金口座10万円以下ではなんとか即刻換金できるフードデリバリなどに参入するのも分かる。 AIにギグワークの収入について聞いてみたところ、諸条件はあるが副業としてなら5万円/月。 本業としては30万円〜50万円だとのこと。結構の額だが、都会ならばこそ利用機会に恵まれ、土日もなく、雨の日もなく働いた数字とのこと。 病気になってはいられない。厳しい。

ちなみにギグワークにはこの他に配達代行 運転代行 家事代行 写真撮影 引っ越し作業 ポスティング(チラシ配り) 単発バイト 記事ライティング イラスト作成オンラインレッスン コンサルティング カウンセラー 翻訳などがあるとGai work社HPに記載があった。 レベルが違うが確かに単発であればこの範疇に入るのか。

以前なら出前はお店の人が配達をしていた。それを部分代行しているだけと言われればそうだろう。しかし単に配達とは言えない業態もある。それは家庭で祝い事をするときに料亭から料理をとることがある。料理はもちろんのこと食器の取り扱いも習熟した料理人が運んで配達先の家庭でセットする。ただし少し前までは。

インバウンドが増えたことで家庭お祝い程度サイズの市場規模には経済的合理性が低いと判断され、特に京都では姿を消した。調理人の仕草を真似しながら膳を整える楽しみがある文化が消えたのは至極残念。

それにしても、驚いたのは銀行の個人資産管理状況を垣間見たこと。住宅資金調達する際の判断として、預金額はもちろん将来の返済能力が判断材料となる。その際に入金振込先としてギグワーク利用会社が相当の割合を占めていたら、如何なことになるのであろうか。

シニア層が足らない年金をギグワークで補填と考えても継続が困難だろう。先日、朝7時に有人のガソリンスタンドで給油した。「15リッター、アプリ支払いでお願いします。」係の人は65〜70の人で動作が遅いのはしょうがない。確認の返事は「ハイオク満タン入れまーす!」 ボケなのか本当に聞こえなかったのか? ボケでこちらが乗ってきたらシメタものか。でも、アプリ支払いで係の人はフリーズ。時代にあう技量知識が求められる。 ギグワークも甘くはない。

“訛り”の文化背景

高校の国語教師はNHKアナウンサーから転職した青年だった。洗練された語り口は生徒仲間の言葉とは圧倒的な差があった。標準イントネーションに品があり安定感があった。赴任挨拶が校内放送された時の女生徒の驚きは凄かった。声だけでモテるのだと。一方、漢文の教師は日本語の読み下し(レ点)で生徒に内容を理解させた後で、漢詩当時(呉時代など)の発音で漢詩を朗読。水墨画の世界を想像させた。

標準語は明治維新以後の統一言語として制定されたが、一方で地域ごとのワードとイントネーションが生活言葉として利用されている。高校時代の漢詩教師の朗読には韻を踏むことで言葉以上の含む意味があることがわかった。それが制定された標準語以外のところにはある。「方言とか訛り」のような上から目線は非常に浅いし愚かでもある。時には背景・歴史を知らないと致命的でもある。 最近の事例を紹介する。

京都生まれと聞いていた女性に保険営業をかけたが良い返事をもらえなかったと愚痴を漏らした知人がいる。営業マンは会話の流れで「訛りがないですね」と話した時から雲行きが怪しくなったとのこと。「あぁ致命的なミス。これで終わった。諦めろ」とアドバイスした。営業マンの出身地を聞いたら○○県。大学からは東京だとのこと。訛り修正の苦労があったのかも知れない。

京都の人は明治以前には京ことばが標準語であって、営業マンは「訛り」のニュアンスに含まれる意味を理解していなかったのだ。

1)「訛り」という言葉のニュアンス  「訛り」という言葉は、多くの場合、標準語からのずれや、聞き取りにくい話し方といったネガティブなニュアンスを含みがち。そのため、京都の人は自分たちの言葉を「訛り」と表現されることを嫌う。

2)「京ことば」の独自性 京ことばは、千年の都として栄えた京都で生まれた、歴史と文化に根ざした言葉。御所言葉や町衆言葉など、さまざまな要素が混ざり合い、独特の言い回しやイントネーションを生み出している。

3)「京ことば」という表現 京都の人は、自分たちの言葉を「京ことば」と表現することを好む。これは、京都が日本の中心地であった歴史的背景や、共通語とは異なる独自の言葉であるという認識が背景にある

4)共通語との違い。「京ことば」は、共通語とは異なる独特のイントネーションや語彙を持つため、共通語を基準に考えると「訛り」のように聞こえるかもしれないが、京都の人は、単なる異なる言葉遣いであり、優雅で上品な印象を与えるものとして認識されている。本音でダイレクトの物言いはしない。察する会話を子供の頃から鍛錬されている。

5)一口に関西弁と括られるが、神戸には洗練された「神戸ことば」があり大阪では淀川水系を通じて商売が行われていた「船場ことば」「摂津ことば」がある。これも上品なニュアンスがある。とかく誇張されやすい大阪弁とは異なるので分離しておく必要がある。関西地区に転勤や移住される人は注意された方が安全かと。

京ことば、神戸ことば、船場ことばに限らず、日本には地域独特の言葉がある。標準語より親密さ、あたたかさを感ずることがあり(理解できない時でさえ)微笑ましいと思う。日本各地には長い時間をかけて育まれた独自の文化や伝統、そしてそれを伝える言葉が存在する。また武家社会時代は領有地防衛のため(隠密防止)や、幕府による移封による言葉の混合もある。それらを知ることで歴史を学こともある。かえってそれらに対する関心の低さや、無意識の優劣意識は、近代化の過程で失われた、あるいは軽視されてきた文化的な豊かさを示唆しているとも言えないだろうか。

冒頭の高校時代の続き。倫理・哲学の教師はフィラデルフィアで生まれの日本人。60歳になって帰国して高校に臨時教員として赴任。話す言葉は英語と日本語のチャンポンだったが、英語の発音は他の日本人英語教師とは全く違っていた。ジョン万次郎が漂流の果てに米国で身につけた言葉を聞き取りしたカタカナ英語風発音。通じる英語と授業で習う文法中心英語とは全く異なっていた。独立宣言と憲法の宣言拠点となったフィラデルフィアの象徴としての言葉である。米国人はそれを訛りというだろうか?多分それは許さないだろう。