2019年 5月 の投稿一覧

5G世界を垣間見る

某証券会社のCMで日本、米国、アフリカ、その他の地域でそれぞれの楽器演奏をして統合された音楽を完成させた様に見せていた。昨年の和光市商工会開催の市民祭りに3Dプリンター研究会が出展。説明員をしていた小生に若い訪問客からARで既に出来ていると聞いた。オーケストラを分割して各地で演奏したものを統合する。ARで鑑賞するにはチケット購入が必要だが、オーケストラを一同に集めての演奏会のチケットより格安であると聞いた。結構人気がありますよと。

本当にそうか?と疑問に思っていたら、ビックサイトでベースを、スカイツリーでギターを演奏し、ARスマートグラスで統合されたライブを楽しむ実験がされた。既にお分かりのように相互の通信に遅延が僅かでも許されない。実験は成功と聞いて信用するが、短距離ではないかとも。これが超遠距離だったらどうか5G世界の一端を展示会で目にするが、全体をわかり易く解説したものはないか調べてみた。

 情報通信の管掌省庁は総務省。総務省のHPにその概要から詳細まで5Gの世界が描かれている。大いに参考になるのでplease check it!  201611月の審議会資料「新世代モバイル通信システムの技術的条件について」

 要約 *超高速 4Gの10倍。 2時間録画を3秒で送信可能

    *超低遅延 遠距離治療(このブログでも掲載)

    *多数同時接続 自動運転など

 図-1 1G~5G通信速度 

 

 

 

 

 

図-2 5Gが実現する社会イメージ

スポーツ観戦へのトライとしてラグビーワールドカップでのトライを踏まえオリンピックに向けで新世代を世界からのお客様に提示するようだ。3Kの建設現場を遠距離操作で建機を作動させたり、トラックを数珠つなぎにして先頭だけドライバーが運転することでドライバー不足をカバーするなどは早く実現してほしい。最近、宅配事情が厳しいこともあるのだろう、即宅配ボックスに入れることもあるようだ。インターホン押して届ける時間が勿体ない。それも分かる。

 先日、自宅近くの凡そ演奏会場とは縁がなさそうな明治時代のアールデコ建築の一部を残した建物で矢沢永吉のライブがあり、入場を求めて長蛇の列。夏日の中、長時間並んで開門を待っていた。矢沢ファンも高齢になり並んでいるのが気の毒になるほど。こんな時はARでも良いのでは。。。と。。。でもなぁ あの熱気の中一緒に歓声を上げる、それに呼応して矢沢も燃え上がる。その興奮状態はARでは伝わらない。みなとみらい地区では新横浜にあるアリーナより大きなライブ設備を建設中。誰とも知らない人と一緒に叫ぶ、出口では新しい人的交流が始まる。その価値はARよりは大きい。 

但し、大まかに総務省の資料に描かれている図は着実に進んでいる。ガラケーとiPadで十分といっていた家人が最新のスマホに切り替え、筆者の方が前世代スマホで取り残された。こんな図柄が5G本格化する2020には各家庭でも見られるのであろう。

流れはポリから紙袋。だが?

セブンイレブンがポリ袋廃止のニュースが流れた。天然資源である紙袋への切り替えする方針と発表があった。背景として最近話題の海マイクロプラスチックス問題も関係している。紙の方がエコフレンドリーであると一般的な感覚はある。プラスチックスも原油を分解するのではなく、サトウキビを原料とするモノがある。ブラジルで大量生産され国内でも大手商社から販売されている。海プラ問題がなければ公平にみてエコフレンドリーなのはサトウキビ由来のプラスチックスではある。ご年配の方は覚えておられるだろう、静岡県田子の浦はパルプ製造時の廃水で海洋汚染が激しく教科書にも載った。富士市は今でも製紙製造拠点の一つである。

 製紙にはパルプを木材から取り出す工程とパルプを紙にする工程があるが、主として環境への影響が大きく、エネルギーを消費するのはパルプ製造工程にある。

針葉樹木材を北米カナダからも輸入し、チップに破砕し、反応釜に入れて水酸化ナトリウム、硫化ソーダーで煮て(蒸解)濾過しパルプ繊維を取り出す。次に二酸化塩素や過酸化水素で漂白。。。。。など多くの水と薬品を使用し、海を汚染しないように後処理にも複雑な工程を施す。製紙はエネルギー消費産業でもある。対策としてパルプになっている古紙からインクを取り除き(脱墨)、ブレンドすることで辛うじて成立している。

参考:三菱製紙HPhttps://www.mpm.co.jp/env/pdf_ex/2006/2006-09.pdf

 ここにショックなのは古紙が集まらない事態になっている。スマホ、タブレット、パソコンからの情報で十分と考える若い人が多い。ビジネスマンでも日経など新聞をタブレットで通勤中に読んでいる風景がある。

知人が面白いことを言った「新聞を見て価値のあるのは株式面だけだ!」エッ?この人は株取引の達人? でも刻々変化する株価を新聞では遅いのにと思っていたら、当方の納得いかない顔を眺めて、「いやいや、株価の上下する記号△▼を見ると業界全体が分かる。木を見て森を見ない投資家は素人だ!」と。これには納得。けだし名言である。

 そのような流れで新聞購読者が激減している。ちらしも新聞数と比例するので、これも減少している。統計はあるのだろうが、マンションや町内会での資源回収の日に古紙が集まらないことを見れば分かる。中国が古紙や廃プラは受け取らないので、国内にあふれているかと思いきや、古紙は東南アジアに輸出されており、紙袋の生産も中国からベトナム、カンボジア、タイに移動している。 皮肉なことに紙袋の主な用途は樹脂ペレットを包装する樹脂袋用。これが現実。

デパート向けの紙袋は厳しい価格で合わない。たしかにデパ地下で惣菜をポリ袋に入れるが、有料ポリ袋を利用しても、階上の売り場では無料で紙袋を配っているのがデパート。平均的に1袋が15円~20円(印刷の色数にもよる)をユーザーは無料だと意識しているので、デパートにとってはたまったモノではない。

本音はプラにしたいところだろう。雨の日になると紙袋の上に薄いポリエチの袋をカバーしないといけない。一体なにがエコフレンドリーなのとデパートも気づいている。それに納入しているパッケージメーカー、商社は大赤字が現状。もうしばらくすると、トイレットペーパーに異変があるのでは?と予想される。 つい最近は製紙メーカーの火災も影響はしているがティッシュが品不足になっている。そのうちサニタリー装置も温水洗浄だけでなく、乾燥ユニットも付帯するだろう。手洗い乾燥よりは優しいのが好ましいが(笑)。街からティッシュ配りもなくなるだろう。

 それよりもエコと人に優しいことをしょう。それは食品ロスの低減協力

ライス、パン、ラーメン、ハンバーグ、、、、、なんと全世界では13が廃棄されているとの統計がある。日本では約600万トン/年。プラスチックス国内生産量より多い。賞味期限前でも廃棄されている。欧州では余剰の食品は教会やボランタリー団体に寄付し、食に困窮している人に配っているシステムがある。それを真似してお寺がしても良いのだろうとは思うがいかがか。

廃棄食品の有効利用を促進するアプリが登場している。(TABETE, Reduce Goなど)こちらは面白いの普及して欲しい。だが、肝心なのは賞味期限を延長すること!。その為のパッケージを開発すること。

紙袋は不十分。トータルすると回り道のようだが、賞味期限延長のプラ材料、容器を開発することに帰着する。今ではすっかりおなじみのエージレスは三菱ガス化学が開発した。プラ材料のメーカーでもある。別の手法で寿命延長材料開発を友人が挑戦している。 海ゴミ問題は別の対策するのが本筋と言うべきだろう。

 

クルマ・パワードライブ動向

EVって電費がガソリン車の燃費より劣る?? これどちらもウソ・ホント。 停止状態からの立ち上がりはEV車の方が優れ、巡航高速走行ではガソリン(ディーゼルを含む)車が優れる。この表現が今のところ正しいようだ。 EV車はどちらかと言えば都市型乗り物、ガソリン・ディーゼル車は長距離向きである。 EV車の充電スタンドでの充電時間は30分と区切られているので面倒だが、日産のe-Powerは充電する必要がないので人気がある。 基本はEVだが、発電用エンジンを搭載している。この方式は数年前にBMWがバイクサイズの2シリンダーエンジンを搭載し、(走行距離を延長できる意味の)エクステンションとして製造販売したことがあった。なるほど、その手があったかと感心した。

 日産e-PowerBMWも基本は電池―モーター駆動方式であるが、ここに来てホンダがEV駆動モーター/発電用モーター/電池充電向けエンジン/駆動用エンジンの2モーター1エンジンハイブリッド方式(i-MMD)を開発しているとの報道があった。 山の手線の電車は回収電源7割だとか、これと発想は似ている。それよりも圧倒的な複雑なシステムを開発しているのに感心する。早くも今年中に小型に搭載するとのこと。EVとエンジン車の電費・燃費両方を満足することができそうだ。図はホンダi-MMD,日産e-Power (ベストカー3月引用)

一方、欧州ではフォルクスワーゲンの排気ガス不正問題から一気にEVに切り替える機運がある一方で、根強いのはディーゼル車。消費者目線ではアウトバーンを200km/hrで走行してみるとそのフィーリングが分かる。製造者と政府目線ではディーゼル車製造会社・雇用問題もあり、本音はディーゼルを残したい。

高速走行距離の長い欧州では電費・燃費の問題以外に、「運転し甲斐」が重視され、パワフルな運転になれているドライバーからみるとEV、ハイブリッドではモノ足らないと感ずるようである。 欧州でディーゼル車を生産しないと決めたトヨタとしてはディーゼル追い落とし作戦としてハイブリッド・エンジンのパワーアップを図っている。カローラ(ハイブリッド)のエンジンを2リッターにすると発表があった。エンジン機構部分の重量は重くなるだろうが、その他の軽量化でカバーしているものと思われる。 

 対抗するディーゼル車が排気ガスで問題となった微粒子問題と窒素酸化物については酸化還元触媒及び尿素水タンク(アドブルー)をエンジン直後、及び排気直前に設定することで対応しているが、尿素水タンクを都度供給する必要があり、かつ重いことと比較すればディーゼルに勝てると考えたのであろう。

本当に新HEVカローラは欧州車に勝てるか。決め手は「運転し甲斐、フィーリング」だと思う。新東名では区間120km/hrが許されている。ここでのフィーリングは筆者の経験ではフォルクスワーゲン、アウディはクルマがぐっと沈み込み地面に食いつくように安定してくることが分かる。アウトバーンで鍛えられたボディ構造になっているなと理解。 このフィーリングを日本車が満足するならば歓迎されるだろう。 

欧州車の開発やり方が日本とは異なるところがある。日本は材料、設計、製造、イジメテストの循環系を幾度も積み重ねて製品とする。当然のことながら、故障も少なく、メンテ費用も少なく、長寿命乗れる安心感は高い。一方、欧州車は実績は少なくても適用することに躊躇しない。1年間走行して問題ないのならそれでOK的なところがある。 代表的なのはインテークマニホールドや、ブレーキ、アクセルの樹脂化などの機構部品は欧州が先に適用した。日本はずっとその実績を見てから採用の流れ。炭素繊維は日本が世界の70%を占めているが、CFRPの自動車搭載は欧州が早い。BMWではCFRPの接合に工業用ホッチキスを利用するなど、日本では思いもつかない。

 欧州の複合材料メーカーを買収した日本企業がある。欧州で実績があるからと日本の自動車メーカーに売り込みに行くと、玄関で断られるようなことが頻発した。原理原則において疑問だ、信頼性の裏付けが浅い。。。。などがその理由。 高価なクルマを購入するのだから、それは十分に対応して欲しい。だが、これから5Gの世界となると、自動車に求められる機能がドンドン急速に変化することが予想される。その時、日本のクルマはどの道を選ぶのであろうか。2リッターエンジンHEVカローラでアウトバーンを走りながら考えるか、それも良いだろう。

 しかしながら、環境問題でそもそもクルマのパワードライブは議論があり変遷してきた。 ガソリン、ディーゼルの原油/製造/ホイールまでのLCA(環境アセスメント)とEVの原油・石炭火力発電所/送電ロス/バッテリー製造/モーター/ホーイルのLCAはどうなんだ。ドイツのシンクタンクではEVは発電~電池製造など環境負荷がディーゼルより大きいとしてディーゼル車の肩を持っている。新旧のハイブリッドのLCAはどうなんだ。何れも開発進展が激しく、かつ秘密事項が多く、特許で開示されるのは1.5年後とあって、とてもフォロー出来ていない。3Rも含めると尚更複雑で単一企業だけでソリューションがでるとは思わない。 一方で、5Gの世界は上述のようなエネルギー個別解をカバーしてしまうことも妄想される。直接当事者ではない消費者としては両方とも期待し賢い選択をしたいものだ。

急発進対策

連休の後半になってようやく晴れた。鮮やかな新緑と横浜の海を見たくて散歩。途中で自動車販売会社にお勤めのエンジニアと出会い談笑。その話題が老人の運転。

 急発進でコンビニに突っ込んだり、立体駐車場から飛び出し落下したり、先日の池袋の悲惨な殺傷事故に加え、逆走、横着非常識走行マナーなどの事例を踏まえると、免許返納を勧めたいと思う。しかしながら高齢でも運転せざるを得ない事情があることも同時に知っている。

 そこで国として公平性の観点から歯止め制度を設定している。すなわち、70歳以上になると高齢者講習会を免許更新に義務づけている。座学に加えてドライブシュミレーターを利用して欠点指摘、実技試験もある。癖になっている運転マナーを修正するには良い機会である。

 また75歳以上では認知機能検査があり、判定がレベル1になれば高齢者講習会に参加するには医者の診断が必要条件となっている。経験は勿論ないが、もし記憶力や数字を逆に言うようなテストだとしたら、筆者も最近人の名前が出てこないことから、満点をとる自信がない。またスマホ頼りにしている若い人は記憶することの頻度が少なくなっていることから、不合格者がでるような気がする。 逆走の原因が認知機能の劣化にあるのは理解できる。ただし急発進は別の原因があるようにも思われる。

 シニアの立場で考えられるのは、例えば経済的なこと。燃費を良くするために信号待ちや下り坂ではニュートラルにしておけば、最低限のガソリンで済むはずだ。年金暮らしでは少しでも節約したい。。の気持ちがあると思う。AT車ではブレーキを踏みながらロック解除しないとPレンジからシフトできないが、Nレンジからだとブレーキやロック解除しなくてもシフトすることが可能。 記憶が散漫になってくるシニアは今レンジであることを確認せずにアクセルを踏む。ところが動かない。アッ!Dではないことに気がついて慌ててDにする。その結果急発進暴走となる。若い時から誤作動なんてしたことがないとの過信もあり悪循環となる。

Nは牽引するときだけの限定ですよと教習所の科目に入れるのが好ましい。

 更にシニアになれば身長が短くなる。若い時より足の位置が微妙に変わっているだろう。運動性も劣化してくる。 シニアにとって我が身を点検する意識が重要だ、しかし注意だけに頼った対策は万全ではない。 機械的に制御することが最終的に求められる。

 市販の装置がある。これはアクセル踏み込み加速度を読み取り、急なアクセルを踏んでも速度が抑制される仕組みとなっている。3万円程度の装置なのであるが、年金生活者が果たして取り付けるか疑問。クルマが本当に必要な地域には補助が必要かもしれないが、その地域自体が交付金で成り立っているのが多いだろうから、これも無理かも知れない。

 さて、冒頭の自動車に精通している人は面白いことを言った。

それはシニアはMT車に限定すべきであると。なるほどATはクリープ現象があり、エンジン停止機構がないクルマは徐々に動く。これに焦ったシニアはブレーキを強く踏むつもりがアクセルを踏むのだと。これがMT車であれば半クラッチから徐々にアクセルを踏まないと動かない。クラッチ操作を早くすればエンストして動かない。シニアが免許を取得した当時はMT車だったはず。。。。。非常に説得力がある。 

 つい、最近のIOT、自動運転、センサー、組込みCPU、5Gなど先端技術でカバーできないかを考えがちであるが、これよりクラッチは機構が簡単である。想定される危険は坂道発進。左脚が若い時のようには俊敏に動かない。なのでクラッチがかからず、坂道を下って後続のクルマに衝突するか、何度もエンストを起こして後続車の虐めの視線を浴びる程度だろう。でも、世の中全体にしたら許される程度と理解しよう。

 レベル2程度の自動運転の敵は睡魔。MT車での長距離運転では脚は疲労するが、減速でのエンジンブレーキの使用や追い越し加速時のシフトアップなど結構、身体を使うことの他に、如何にもクルマを御しているとの感覚はある。往年のクルマのフィーリングを思い出すのも良いのかもしれない。 レーン維持、併走車接近センサーなどはMT車であってもシニアには欲しい機能である。ナビ画面に運転が長くなると休憩を勧める画面に切り替わる。顔認証でドライバーの年齢など判定し、走行アドバイスができるなどは先端技術を利用しつつ、MT車の良いところも残すようなことができるなら有意義であると思う。

ATで免許を取った人も何れ老人になる。しかしながら、その時はレベル5になっていると信じましょう。

祝!令和元年 夢の創造を!

平成から令和にバトンタッチ。 ブラックホールの観察や探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうにクレーターをつくり確認撮影に成功。iPS細胞が医療現場に応用がなされ始めた。3Dプリンターは歯科技工にあっという間に浸透してきた。遠隔医療に5G利用が始まるなど平成のラストスパートに素晴らしい科学の成果を見ることができた。

何れも技術を綿密に積み上げての成果ではあるが、大きな成功の基は何かと言えば「夢」をもって情熱を傾けた人間にある。

アインシュタインの計算でブラックホールが予言された。しかしながら観えない。観ることが夢として与えられた。地球・銀河系誕生の謎を解明したいとの夢があれば、資金、知恵者の協力が得られる。

 先日、研究仲間のセミナーで金属塑性加工技術開発50年で時代を切り開く技術を開発した人の話を聴くことができた。纏めとして、以下の様に述べている。 全くの同感なので少しだけモディファイして引用すると

    知恵のある者はのある人を使う

    のある者は知恵のある人を使う

    のある者はのある人を使う。  

トドのつまり、夢が必要。 夢があれば金のある人を動かし、知恵のある人を動かし、力を結集する。しかしながら綿密な夢の実現に向けて設計・企画・行動・説得などがことさら重要である。単なるパイプドリームではいけない。全体スケッチを描き、幾重にも色を重ねていく画家の作業と同じだろう。

思いつきに近い夢での起業や、人を動かせない事業では大成しないことを示唆するのだろう。

このブログでも何回も記載しているが、とかく技術者は機能性価値の向上があれば商品は売れると勘違いする。ある機能性で飛び抜けた技術を開発をしたから起業すると多くは失敗する。一方、営業はひと昔流行ったマーケットインを過信していては、今の製品開発の流れでは置いてきぼりを食いかねない。 製品・事業の意味的価値との複視線で見通した夢を描き提案することが重要であろう。それが出来ないと企業では使われる立場に押しやられてしまう。勿体ない人生でもある。

大きな夢は単一企業だけでは成立しないことが普通である。 1980年代の半導体LSIでは日本が最先端を走っていた。ほぼ世界を独占していた。これにはNEC、日立、富士通など四強がチーム一丸となって当時の米国一強からの次世代半導体戦争に備え、凌駕することで一致して当たった。

 高分子材料の分野でも同時期は欧米の巨大ケミカルカンパニーの開発力に対して日本のケミカル会社は規模が小さく、多数の会社が競争している状態であったが、先行き欧米の会社に市場を獲られることを懸念した有志がTPC研究会をセットし、各社の強者を集めセミナーを開催し、相互のレベルアップを図った。現在ポリマーアロイ化、ナノアロイ、複合材料などは世界の先端を走っている。応用として自動車、航空機、電子部品など多岐にわたって浸透している。

半導体の事例は経産省(当時は通産省)が仕掛け人に、高分子化学の事例はカリスマ研究者の夢が各社の研究者の共感を呼んで成立した。現在、半導体も高分子化学の両方で大型の夢を語る人材が枯渇している。

 令和元年にあたり、心機一転、大きな夢を語ろうではないか。

夢を創出できるか、元号が新しくなった今日の記念すべき日に「夢の創造」を考えることは新元号時代へのエネルギーの素になるのではないだろうか。