2024年 7月 の投稿一覧

熱中症

過酷な暑さが続いている。気温の測定は風通しの良い日陰で芝生から1.5mのところに百葉箱があり、アナログ温度計を設置してあるのを子供の頃近くの気象台で見たことがある。

気温40℃の報道に驚くが、太陽からの直射熱、道路からの放射熱を加えると実際は50℃になる。某TVで100kmマラソンのチャリティ企画があるとのこと。心臓は体温冷却のため心拍数を高くするが、動悸、めまい、意識障害などから極端には命の危険が予想される。人の命は地球より重いと言った首相がいた。チャリティ趣旨に対する反語だ。さて、

ここ2週間で、①電車乗客が気分悪くなって緊急停止 ②80代男性が商店街で突然倒れ後頭部から出血 に遭遇した。電車の場合は偶々プラットホームに停車したところで、乗客が瞬間にチームを組みアクションした。後頭部出血のシニアの人は意識あるが、これも通行人が一人は脈を測定、一人が目の動きを観察し、スマホで緊急車を呼ぶ間に応急指示を受けるなど見事なチームワーク。日頃 都会は冷たいような雰囲気があると言われるが、一旦このような事態には即席看護チームが結成される。そして救急専門が到着すると情報を伝えてその場を各自それぞれ去っていく。救急医療メンバーの人から看護師さんですか?と言われるぐらいのレベルの人もおられる。あ〜ぁなんたる美しきかなニッポン!

学校・職場・町内会で消火訓練、AEDの使い方を習うものの、実際に遭遇することはないのでAEDがあったとしても使えるか自信がない。自分ができることと言えば、体温、心拍数、酸素指数が測れるスマートウオッチを患者の腕にはめて数字をチェックすることぐらい。

工事現場・建設現場では冷却ファン付きの作業服をよく見かける。話を聞くと効果は凄く良いとのこと。つい先日DXプロセス展ではさらに進んだペルチェ・ウエアがどこもかしこも展示していた。ジャケット、ベストと種類も多い。また、作業者の顔色をモニターして熱中症レベルを判定する装置を化粧品関係の会社が発表するなど、ビジネスにとっても好適なアイテムになっている。

奥能登の復興が進まない背景に作業者が大阪万博のとられて手薄になっていることが現地企業の生の声を聞いた。作業者の取り合いの中で熱中症により尚更の労働環境をよくしないと集まらない。その意味でもビジネスチャンスはあると見た。ちなみに顔判定で当方がトライしたら重度熱中症と判断された。DX展に押しかける人数があまりに多く満員電車並みのブースもあった。説明員からブース対面の熱中症対策塩を勧められ購入。

最近、熱中症が従来の3分類では足らないとして重症度分類を追加したとのニュース。GSC 8以下を指すようだ。GCS(Glasgow Coma Scale)が8点以下は緊急度が高いと判断し、呼吸や循環に注意しながら早急に原因を検査すること短時間で合計展が2点以上低下した場合でも病態が急速に悪化していると判断する。
合計点が13以下であった場は頭部CT検査などで頭蓋内病変の有無を調べる必要があるとのこと。

GCSの簡易表を示す。日経メディカルの記事によると、新たに追加となる「III度の中でも特に重症とされる状態」について会見では、「深部体温40℃以上かつ重症意識障害(Glasgow Coma Scale[GCS]≦8)がある状態」と説明。

臨床現場では、表面温度が40℃以上(もしくは皮膚に明らかな熱感あり)かつ重症意識障害を伴う患者は「現場で重症と想定される状態」として深部体温を測定し、冷水浸漬や冷却デバイスを用いた積極的な冷却(Active Cooling)の迅速な実施が推奨されている。とのこと。 冷水浸漬と言われても通りがかりや商店では困難ではなかろうか 精々冷媒パッケージをかき集めて袋に入れるしかない。濡れタオルならなんとかできそう。

最後に筆者の外出時の熱中症対策は、①日傘(店舗エアコンの屋外機からの放射熱も遮るのにも役立つ)② 水筒(温水+塩)③ 歩行速度を通常の1/2で体温上昇を抑える(多少の見っともないが気にしない)④エアコンの効いた ショッピングモールをうろうろ。衝動買いは倒れた時の費用よりマシと都合の言い訳をする(笑)。

保守車両の脱線事故・代替ルート考察

7月22日に発生した東海道新幹線・保守車両脱線事故による終日区間不通トラブル。あたかも南海トラフ地震の想定訓練を見るような光景だった。

東海道新幹線利用者は次の5つの対策を考えた 1)航空機への切り替え→満席 2)高速バス→満席 3)豊橋から在来線で名古屋 4)東京で宿泊し翌日振替 5)北陸新幹線で敦賀まで行き、名古屋方面は特急しらさぎ、京都・大阪にはサンダーバード → これも敦賀駅乗り換えで大混乱。

大阪ではJR西日本が新快速で敦賀まで行き北陸新幹線の利用アナウンスがあったようだ5)の北陸新幹線が敦賀まで延伸していたことが救いとなった。乗り換えで在来線の特急ではなく、敦賀―小浜―京都ー京田辺(松井山手)―新大阪の早期着工を望む声があったと福井新聞は伝えている。

もとより北陸新幹線構想は新大阪まで開通させ経済的価値を高める傍、南海地震への代替輸送の役目とすることだった。ルートが決まっているのに未だ燻っている動きがある。関係府県の首長は敦賀―小浜―京都ルートで一致はしているが、京都が首を振らない。京北地区に新設駅はなく景観問題で進まない。京都駅までの大深度を走行するにしても遺跡がネックになろう。

イライラした石川県の加賀市・野々市町などは米原ルートを復活せよと主張。リニアが開通したら米原―新大阪をJR東海から移管・移譲せよとも主張している。それなりに説得力はある。滋賀県も建設費負担が少ないこと、並行在来線はそのまま維持できるので反対する理由がなくなる。プロ野球のように金銭トレードとするのか西日本ドル箱手持ち路線がないので交換は無理。多分厳しい交渉ごとになる。おおよそ乗り換えが面倒でストレートに行きたい心理からすれば、米原―東海道新幹線―新大阪―大阪は遠慮願いたいと思う利用者。

京都を北から通すのは無理だとすれば、湖西線の利用もある。湖西線の上を跨ぐ形で敷設。比叡下ろしの強風対策は必要。透明太陽光発電(ペロブスカイトフィルム)を装備した透明トンネルのアイデアは如何だろう。琵琶湖西側の町おこしとして近江舞子に駅を作るのも良いだろう。在来線を廃線にしないことがポイントになるが敦賀ー京都間の距離的には一番近い。

小浜市と滋賀県がクレームをつけるだろうが、滋賀県には苦い経験がある。それは栗東に東海道新幹線を誘致する運動が盛り上がりJR東海もOKのサインを出していたのだが、当時の知事が潰した。この後遺症は大きい。

滋賀県にとっては滋賀を通過する新線は勘弁してほしいところと現在の知事に同情する。滋賀県は我田引鉄ではなく我田排鉄。だが滋賀県はダイハツがある竜王は経済力指数が1を超えているが、概ね0.8台が大津市や琵琶湖東側に集中している。西側の高島、マキノ地域振興が必要なのだが、人工降雪マシンでスキー復活などの案にとどまっている。イマドキの政策なのかやや疑問。

なんだかんだ京都まで延伸すると京都駅をどうするか? 現在の小浜ルートでは京都駅で水平方向にすると卍形になって無理。堀川通り、東寺付近も遺跡で無理、とすると桂川が最適だろうと思う。もともと、宝酒造がビールを生産していたが、キリンビール京都工場となり、その後閉鎖。跡地で現在はイオンモールとなっているが、自衛隊駐屯地が大久保に移動すれば大規模な開発が可能。少し歩けば阪急洛西口駅がある。京都大学洛西キャンパスへのアクセスが便利。長岡京市は益々桂川に吸い取られる局所的不都合はあるだろうが。

話が発散したが、東海道新幹線保守車両の砕石車両とダンパー車両の衝突脱線事故に対して多くの人は夜間のメンテナンス作業のご苦労を思いクレームをいう人はいなかったであろうと想像する。また、この機会にスラブ構造についても研究開発が進むことを期待したい。

白紙からの復興デザイン

6月末の金・土に横浜市役所のホールで米沢市・商工会による紅花展が開催されていた。和太鼓に民謡、笹野の一刀彫りや名産品をワゴン販売。米沢置賜地区で美味しい卵かけご飯用のタレがあるので購入した。米沢移住促進コーナーもあった。米沢と言えば、江戸時代の上杉鷹山公による財政破綻状態から脱出させた手腕が有名。ケネディが最も尊敬するのは鷹山だった。米沢織など殖産、税制改革の一方で旧弊システムの城内改革を実践した。

「伝国の辞」はあまりにも有名 35歳で引退した後も後継者の大規模工事など指導。

細々とした改善の蓄積というより「白紙からの大型デザイン」と言うべきスケール。
一、国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして我私すべき物にはこれなく候
一、人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれなく候
一、国家人民のために立たる君にし君のために立たる国家人民にはこれなく候

耳の痛い政治屋はいませんか?

それから200年後の現在の米沢といえば米沢牛。米沢ラーメン、板そば。工業製品ではNECがレボノのパソコンを生産。経済力指数0.58 そこそこの公的資金が必要団体。

当方は米沢の山形大学に実験で相当数通っただけに懐かしいと同時に鷹山公が観光資源になっているのは複雑な思いがする。

実はあまり知られていないが、帝人は米沢発企業。だが広島に行ってしまった。帝人がまさか大企業になるとは予想できなかったのか、折角の大飛躍する機会を有効に使えなかった。その理由は 電力不足、労働力不足、脆弱な交通網など挙げられている。がしかし、考えてみるとこれらは卵・鶏の関係。企業が存在すれば他所から人は集まる。最上川上流からの電源開発もある。欠点は鉄道が脆弱で米沢は海に面していない。同じ山形県内の酒田は北前船の拠点で京都との結びつきが強い古い歴史がある。

随分前のことだが研究チームの一人が酒田で結婚式を挙げた。その時、驚いたことに舞妓さんが登場(市役所の女性が京都で修行されたとのこと。)このように酒田と関西は繋がりがあった。だとすれば行政トップが米沢と酒田の組み合わせで企業育成を図ることもできたはず。鷹山公が現在も存在していれば、どのように考えたであろうか。鷹山公就任前は累積20万両の負債があり、毎年5万両の赤字。それが改革により借金返済と毎年黒字変換ができた。経済力指数1.0と凄い成果。まさに英雄。だが、現在の経済力指数0.58と比較すると、英雄の理念と行動を継承するのは難しいとわかる。一人で頑張るにも限界がある。グループでつないでいくことが重要だと展示会を見ながら思った。

先日、仲間内会合で地震についての講演があった。今回は東工大名誉教授による能登地震調査特別報告があった。その際メンバーの多くから能登地震の復興が遅いことが話題になった。理由は多々あるだろうが、地震前に人口流出が激しい状況の中、地震が追い討ちをかけた。前年5月比較で7%も減少。特に若者が流出した。(奥能登:珠洲市、輪島市、穴水町、能登町)高齢社会が一気に進んだ。

輪島の朝市は有名ではあるが、全体の経済力指数は0.25前後と極めて低い。金沢や小松の0.88,0.71に比較すると流出はやむをえない。“復興”は元の姿に戻すとの意味があるが、むしろ、ここでも、鷹山公に習って白紙からデザインする方が良いだろう。

能登強みの漁業・海産物を発展させうる企業の誘致と高齢者を含む家族は金沢や野々市のコンパクトシティに居住してもらい、従業員が通勤できるインフラ(道路・割引)にするのもありかと思う。現況はプロレス技で言えばチョーキングとまんじ固め状態。ここからの脱出は元プロレスラーの馳知事の得意技「裏投」で乗り切ってほしいが、もったいぶらないで早く技を繰り出すことが求められる。後年伝えられる人になれるかどうかの瀬戸際だ。がんばれ!!

小魚摂取と死亡リスク

やや過剰気味な健康情報にまた一つが加わった。タイトルが全てを凝縮している。今回は小魚を摂ると死亡リスクが低下するというもの。

煮干しからの出汁のお吸い物では不十分なのか知りたいところだ。煮干しラーメンの幟も目立つ街風景だが炭水化物の量が気になる。煮干しとナッツがブレンドした商品もあり時々買っている。スーパー鮮魚コーナの隅に小魚干物があり、値段ははるが商品があればついでに買っている。いずれもちょっとした口寂しさを紛らわす程度だが、本来は栄養満点なので積極的に摂るのが良いのだろう。 ししゃも、めざし、しらす・・・・。

めざしを見ると土光元経団連会長の質素な食事放映風景を思い出す。あの体型にして精力的な活動が本当にめざし由来なのか諸説あるが当方は信じることにしている。湘南名物しらす丼も食欲をそそるが値段が高くなった。コウナゴ(小女子)を煮た釘煮は関西の食事には欠かせない。2月ごろ明石で獲れたコウナゴを鍋で煮汁と一緒に煮ると錆びた釘のように曲がることから命名されたが、お裾分けで送られてくると季節を感じる。

前振りは良いから本題を早くとお叱りを頂戴することになるので改めて論文を紹介。

名古屋大と佐賀大の共同調査によるもの。要約の図が最初に記載されている。

 

結果は一目瞭然だ。小魚は頭・内臓・骨を丸ごと食べることからビタミン類、カルシウム、DHA EPAを摂取できる。だが女性に効果的で男性にはそれほど効かないのか?

 

これからの調査に期待したい。ししゃもは酒の肴としては食べるが、アルコール、シメには体が炭水化物を欲するのでラーメンとなるなど効果を打ち消ちする食事内容も影響しているのだろう。

研究者の以下のコメントを拳拳服膺して小魚が全身で我々の健康に奉仕していることを感謝する次第。冒頭の「やや過剰気味」は反省して撤回します。

シシャモ、しらすなどの小魚は「頭・内臓・骨を丸ごと食べることができる」という特徴があり、これらを捨てて身だけを食べる一般的な魚とは異なる食習慣で摂取されます。魚の頭・内臓・骨には、ビタミン A やカルシウムなどの疾病予防に関わる栄養素が多く含まれており、これらを一度に摂取できる小魚は、現代の私たちに不足しがちな栄養素の大切な摂取源と考えられています。小魚に含まれる栄養素の摂取は、血圧を低下させて動脈硬化を防いだり、一部のがんを予防したりすることが報告されており、ヒトの疾病予防における役割があらためて注目されています。

迷うことに意味がある  羽倉論文から

NBPに異変が起きている。巨人、中日、阪神のチーム屋台骨メンバーが1軍登録抹消の状態。スランプというが、ベテランならば脱出法に熟知しているはずだがおかしい。そこで3度も三冠王を取った落合の事例を見ると彼もスランプの経験があるが、脱出法を開示している。原因解析、努力、前向き姿勢と家族、コーチその他の助言を受け入れることとある。

俺流を自他認める人だけに家族、コーチ、周囲の助言を受け入れることとは驚いた。天賦の才能を生かして若い時に頂点に立った人であるほど自己流にこだわる。それで期待されながら成績を残せなくて去った選手は山ほどいる。

メジャーに渡った藤浪は日本球界ではイップスに苦しんだ。メジャーで当初は活躍したが、その後急にイップスを発症。コントロールどころか暴投。見ていて気の毒になる。完璧主義者ほどイップスになるとの説がある。小中高時代に内野手の47%は送球がうまくいくとホッと安心し、送球前には不安が過ぎる経験があるとのこと。監督から叱咤されることが影響するらしい。

スポーツは肉体的に恵まれることだが、優れた心理的管理環境に恵まれることが重要なのだろう。中日の根尾昂選手の育成活用を見ると指導者がプロ野球経験者だけでは不十分で野球人生設計をできる心理面のサポートが必要だろう。両方できる監督はレア。三原脩と仰木彬氏。この流れを汲む栗山英樹だろう。

そんな中、面白い文献を見つけた。

情報通信研究機構の羽倉信宏研究チームが6月13日に発表論文名は迷うことにも意味がある 〜決断の迷いも含めて脳は運動を学習することを発見〜」何に注目したかというと、背景の項目だ。全文引用する。

サッカーのPK戦では、選手はゴールキーパーの左側への動きを見て確信を持って右隅にボールを蹴る場合もあれば、ゴールキーパーが動く方向に確信が持てないまま同じように右隅に蹴ることもあります。どちらも見かけ上は同じ運動であるため、この「右隅に蹴る」という動作について脳から同じ指令が出されていると考えられてきました。

つまり、これまでの意思決定や運動制御の理論では、一度意思決定がなされてしまえば、その決定の確信度合には依存せずに同じ運動が実行されると考えられていました。た。しかし、研究グループは、これまでの考え方を覆し、脳は決断を迷った末の運動と、迷わずに行う運動を区別し、異なる運動として実行していることを明らかにしました。

 実験方法も単純だが面白いので文献をチェック願いたい。 これを読むと練習の為の練習をやるのではなく、相手も押さえてやろうとの意識の戦いの中で実践形式でないと成長もしないし、スランプやイップスは回復しないのとも(文献より外れているであろうが)言えるのではなかろうか。トスバッティングやフリーバッティングの投手の球では快音で気持ちが良くても、勝負すべきところで活躍できるかは別。

ビジネスにおいても修羅場を経験した人の計画と、経験が浅い人の計画が表向き同じような案であってら後者が採用されることは少ない。優秀な若い人はコンサルタントへの希望が強いが、実行する時には計画外のことが頻繁にある。その対応には修羅場の経験がモノをいう。修羅場経験者には独特の安心オーラがあるのだ。これはAIにはできない。

この文献の最後のまとめに次の文章があるので重ねて引用する

「スポーツ場面では、いつでも同じパフォーマンスを発揮するために、「迷うな!」という指示が飛ぶことがあります。しかし、今回の研究結果では、脳は、むしろ迷いを受け入れ、迷いに応じた運動を作り出すことで、パフォーマンス低下を防いでいることが分かりました。つまり、現実場面で安定したパフォーマンスを発揮するためには、ただ単に目的の運動を達成するための練習に注力するのではなく、事前の意思決定状況とセットで運動を学習する必要があることが示唆され、新たなスポーツ等の指導方法につながります。」

なるほど事前の意思決定状況を詳細にPD CAしているであろう大谷は肉体的・心理的に凄い人だと思う。