2025年 2月 の投稿一覧

砂糖過剰摂取メタボに朗報?

喫茶店でコーヒーを注文すると砂糖をご利用されますか?と聞かれる。「コーヒー通なら入れないのが普通だよね」のニュアンスも少し含んでいる。ブルマンや年に1度程度だがゲイシャをいただく時に砂糖やミルクが邪魔は確か。

男でも料理をする時代。煮物では艶だしと味付けを兼ねて砂糖やミリンを予想以上に多く配合することに驚く。又 プリンなどメイラード反応を利用しての調理も多い。食後のケーキがあれば砂糖が追加される。甘いものはまさに至福。 バレンタインに甘いチョコを貰えば義理とわかっていても嬉しい。

WHOの勧告では1日6g が砂糖摂取上限だとのこと。角砂糖1個が3.3g  ネットによれば某500ml 清涼飲料水では角砂糖11個だとか、軽くオーバーしている。砂糖は至福をもたらすが、反面インスリン抵抗性を増加させる。メタボの完成。このブログでも記載したが腹部の長さ/身長の数値がBMIより有効だとかいた。インスリン抵抗性が糖尿病の引き金をひく。(痩せていてもインスリン抵抗性があるので要注意)砂糖は過剰に摂らないのが賢明。

メタボの人に朗報の文献が出た。

「砂糖の摂り過ぎによるメタボを改善する成分が明らかに ~イノシトールとタウリンが脂質代謝異常の改善に作用~」 2025.02.21 名古屋大学

論文要旨および図を引用する

  • 砂糖など甘味料の摂り過ぎが腸内細菌を介して脂肪肝、脂質代謝異常を引き起こす。
  • 植物性食品に多く含まれるイノシトールや海産物に多く含まれるタウリンがこれを改善することを明らかにした。
  • イノシトールとタウリンが腸内細菌叢注3)を変化させ腸内環境を改善したことが分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イノシトールを多く含む食品をwebから拾ってみた(図2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次にタウリンを多く含む食品が大正製薬ビタミンDのWEBに記載されていたのは「牡蠣、あさり、しじみ、ほたて、はまぐり、たこ、かに、いか、鯵や鯖などの近海魚、ブリやカツオの血合いなど」https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/183/

回の文献はラット実験の結果ではある。人間に置き換えて有益だと素人ながら思う。但し、イノシトールやタウリンをどの程度摂れば良いのかの定量的な結果はこれからの研究に期待がなされ。イノシトールやタウリンを今度は過剰に摂取すると別の不具合が生ずるとも限らないので注意が必要。ココアが良いとなってスーパーの店頭から消えたような事案を経験してきた日本人の賢さからは無用の心配かもしれないが。と言いつつ島根県のシジミラーメンを食べた。効果はさて?

植物が自ら天気予報?

ひと昔は当たらないモノの一つが天気予報だった。最近は宇宙から雲の動きや陸海の温度、風など観測することで打率は向上したが、それでも天気予報のキャスターは当たらないとイジられるのが恒例。今は直近であればスマホで何分後に雨が降るor上がると結構精度が良い。

このブログでも書いたが、太陽光発電は曇りや降雨となると出力が減少する。そこで補完的に火力発電を遅滞なくパワーアップしないといけない。対象地域をメッシュにきり、その上空に雲がくる予想時間に稼働率の調整をする。本当に大変なこと。太陽光発電を促進するのが良さげに思われるだけに、陰でのご苦労しないために安定出力には火力の他に原電も稼働すべきところはある。

そんな状況をなんと植物は古来処理してきたことの記事に耳目が惹きつけられた。すなわち、植物は夜間が放射冷却により温度が冷えると、明けたら気孔をあけて炭酸同化作用の稼働率を上げる。逆も然り。早速 文献を見てみよう。

 「植物が自ら天気予報!? 夜間の低温を感知して夜明けの光応答を促進する」 宇都宮大学  山口大学  日本工業大学が2025.02.06にプレスリリース(注:論文タイトルとは違い、編集者のネーミング)

要約を引用すると

  • 植物は光に反応して気孔を開く気孔開口や、光に向かって伸長する光屈性などの光応答を日々誘導することで(図1)、周囲の光条件に合わせて光合成効率を最適化します。
  • 本研究では、植物の青色光と温度のセンサタンパク質であるフォトトロピン2が夜間の低温を感知することで、夜明けの青色光応答を促進することを明らかにしました。
  • 晴れた夜には放射冷却によって地表付近の気温が下がるため、夜の低温を感知した植物は夜明け後に晴れると予測し、夜明け後の光合成を活発に行うために青色光応答を促進する「低温誘導性のプライミング」を示したと考えられます(図1)。

 

凄いぞ植物!と驚いたと同時に植物工場の植物は天気予報する必要がないことに気がついた。

特定波長LED照射により育つ植物の種類選択、温度管理、炭酸ガス濃度管理、水管理など徹底的に行き届いている。果たして植物はいつも光があたり、温室育ちだったら、気孔の開閉機構は衰退するだろう。

植物にも体内時計がある。植物の体内時計のパターンに関係なく刺激を与えられたらどうなるのか。これを人間に置き換えたら 快適なのか、それとも体調を崩すのか。 人間の体内時計は脳、肺、肝臓、腎臓ごとに、極端に言えば細胞ごとに体内時計はある。睡眠も必要だ。きっと植物も体調を崩すのでないかと想像する。専門外の小生の意見なので無視相当だが。少々飛躍的ではあるが、昔から言われていたことに「旬のものを食べることが健康に有用だと」  植物と人間の絶妙の体内時計のマッチングなのかも知れない。

土壌放出CO2

工業生産増大に伴う大気CO2増大が問題であることは常識中の常識。更に「森林や海はCOを吸収するので大事にしないといけない」これも今や幼稚園児でも教えられている。

一方で米国トランプ大統領は就任直後に地球温暖化パリ協定から脱退するとして大統領署名。トランプ大統領は幼稚園児以下の米国ファーストわがままそのもの!と少しでも思った人はいるだろう。日本での工業生産による排出対策は乾いた雑巾を更に絞るようなことを政府・民間あげて頑張っているのに。しかしトランプが離脱する理由は分からないでもない。想像するに、かっての南北問題で資金が収奪されていたが、タイトルが変わっただけと同じではないかが彼の考えであろう。そんなことよりロスの山火事をなんとかしたら・・・と考えるような文献が出てきた。どのような文献なのか紹介する。山火事は極端だが土壌の乾燥・洪水繰り返しは地球上のあらゆるところで起こっている出来事だけに無視できない。

題名「乾燥と湿潤の繰り返しが土壌のCO₂放出を増大させることを解明

新潟大、九大、日本原研開発機構 3者共著 2025年1月21プレスリリース。

要旨を編集すると

  • 地球全体で土壌の有機炭素の微生物分解により放出される二酸化炭素(CO2)の量は人為的 CO2 排出量の約 5 倍

(補註:有機炭素:土壌に存在する有機炭素の量は植物体存在量の 3〜4 倍、

大気存在量の 2〜3 倍に達しており、陸域で最大の炭素プール)。

  • 土壌の乾燥と湿潤の繰り返しによって、土壌から放出される CO2 の量が大きく増大する
  • 乾燥と湿潤の繰り返しによる微生物細胞の破壊と分解に加え、土壌炭素の蓄積に寄与している活性金属―有機物錯体成分注 2 の分解促進により引き起こされている可能性

(補註;土壌に存在する活性金属―有機物錯体成分は、特にピロリン酸ナトリウム溶液によって抽出可能となる反応活性の高いアルミニウムや鉄を主体とした土壌成分であり、日本に広く分布する火山灰性土壌(黒ボク土)で有機炭素が高濃度で長期間安定的に蓄積されてきている主要因の一つと考えられている)

実験は

国内各地の 10 地点の森林から採取した土壌を、降水パターンの変化に伴う乾燥と湿潤の繰り返しを模擬した条件で 84 日間室内培養し、CO2 放出量の変化を評価

結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究者は今後屋外環境での実験を通じてメカニズム解明をされるとまとめておられる。ぜひ地球温暖化協定交渉の場で発表をして欲しい。制度疲労的が目立つようになってきた今日修正が必要ではないか。工場など人為的排出CO2と土壌からの排出量を加味することが重要かとこの文献から思った。

日本は雨乞いすることは極めて少ない。四方を海に囲まれていることが大きく寄与している。日本海側は豪雪の被害はあるものの、豊かな土壌となって湿気は維持されていることは雪が降らない地域の人は感謝すべきであろう。

培養肉

よく似たワードに代替肉がある。主に大豆を原料(植物タンパク)からの肉ライクの食品。最寄り駅近のレストランでは鶏の唐揚げ、ハンバーグなどが提供されている。鶏の唐揚げは肉の繊維が見た目も歯応えも本物と(小生レベルでは)わからないほど精巧に作られている。メーカーの一つ不二精油の特許数の多さに将来を期待していることがわかる。 その他7社が開発しているとのこと。

しかしながら

やはり本物の肉が得られるならば「本物の肉が食いたい!」との声があるのは確か。

その声を正面から受け取って、本物の肉である「培養肉」を開発している大学・メーカーがある。1月末に高機能・ナノテク展で大阪大学+TOPPAN共同研究体が発表した。

一企業のみの発表を取り上げることはしない本ブログではあるが、将来の畜産業、物流、飼料生産、牛のゲップによる炭酸ガス発生を減少させることが可能であるなど、地球規模で非常にインパクトのある研究だと思った。全容は次の図でご理解できるのでチェックして下さい。(展示会配布資料より)

 

白い脂肪のサシ(霜降り)は任意に濃度や分布を制御できるとのこと。神戸牛の子牛を松坂でビールを飲ませ、モーツアルトを聴かせて世界に冠たる育て上げた和牛「松坂牛」が1頭の牛から約1,000頭分ステーキが生産できるとは驚きだ。牧場のツナギの作業着が白衣になって試験管を凝視している風景が将来はくる。試験的ステーキは2027年目標とか期待したい。特にその頃には65歳以上が30%を超え、元気に暮らすには肉を食事に摂り入れることが必要だけに利用できるのはありがたい。早く来ないかなぁと思うのは小生だけではないだろう。

 

牛乳はどうなるの? チーズは?と気がついた人もおられようが、農業との棲み分けになるだろう。それより産地ネーミングはどうなるのかは気になるところ。それを考えるのも楽しいではないか。きっとステーキなネーミングをTOPPANなら考えているだろう。

nanoテクノロジー展示会の最高賞を後日受賞された。万人が認めたところだと思う。