2020年 2月 の投稿一覧

LOON SHOTS

景気が悪化している。GDP速報でもマイナス6%で今後の46月見込みでも同様な数字と経済評論家がレポートしている。新型コロナウイルスの影響でインバウンド客急減や国内行事も控えめになっていることから、消費税アップの影響は埋没しているように見える。が消費者心理はキャッシュレス優遇期間終了とオリンピック後を予想して買い控えの気分になるだろうとのぼんやりしたことを考えている。「景気」は名前の通り消費しようとする「気分」に左右されるが、その「気分」が出ないと、デフレに舞い戻る。ここ数日の円安はある意味「日本売り」であり、従来の円安歓迎とは言えない窮地に追い込まれている。バブル崩壊後の30年のデフレスパイラルはもうゴメンである。

若い人の労働機会が収縮し、賃金は上がらず、65歳定年を無事終えた人が、年金は減額が予想される中、100歳までの30年をデフレ景気でどう暮らしていくのか路頭に迷うのも容易に想像できる。

言いたくないが「一律の働き方改革」も景気の足を引っ張っている。外注で仕事を出したところ、少しだけ残業すれば1日でこなせる仕事が2日かかったので2日分を請求されたことがある。顧客は離れていく。祝休日も多すぎる。だからAIだIOTだと聲高に叫んでも、その導入資金が零細企業にはない、また導入しようにもSEの人不足、能力不足で、装置・システムを導入したものの、稼働せず、事務所、工場の片隅に布を被せて放置したままの風景をみた。それも数多く。

 今は確定申告の時期。徴税を目こぼしなくやれば、少しは正常になるはずだ等、なんだかんだと専門以外のところで言ったところで埒があかない。

自分のフィールドで何ができるか? それが重要である。

 そんな時に目に付いた書籍がサフィ・バーコール著のLOON SHOTS である。(日経BP社) 表紙には「クレイジーを最高のイノベーションにするルーンショット」「周囲から非常識・クレイジーと思われて相手にされないが、実は既存の常識を覆し、業界や世界までも変える 最重要ブレイクスルー・アイデア」「非常に脆く、潰されやすい。優れたアイデアは3度死ぬ」「突然、組織がルーンショットをうみだせなくなることがある。それは相が変わったからである。相転移の科学を使えば状況をコントロールできる」とある。 相転移については前回のブログで紹介した。

社員が相転移しないで、現状で満足し、リスクを取る冒険をしないマジックナンバーが記載されている。ナルホドと思うところがあるのでご参考まで。

  M=ESF/G  E;エクイティ比率 S:マネジメントスパン(組織階層数)

F:組織適合率 G:給与もアップ率

Mが大きいとリスクがあるプロジェクト推進よりは社内政治に力配分する。

S:組織の階層数が重厚であるほど2乗で聞いてくるので、組織スパンの見直しだけでもこのマジックナンバーは変えることが可能。勿論Eが大きいと現状に安住し、給与アップが小さいとやる気を失う。のは分かる。問題はF:組織適合率。社内政治に対する防御壁となり、社員のスキル養成を重視し、社員とプロジェクトを的確にマッチングする係数(スキル/社内政治の比率)。 具体的なマジックナンバーについては米国企業248社を調査してM=150を境界として社員が社内政治で昇進を図ろうとするとの結果をだしている。

大企業でSが大きく、給与アップ率が小さいとなると、社内営業が昇進には手っ取り早いと考えるのが自然。植木等のスーダラー節。今の時代にそんな….と思う方もおられよう。だが、まだまだ存在している。リスクを取らない人が出世する事例を挙げるまでもない。

 逆に社長と自分の距離・階層が少ないと、クリエイティブにならざるを得ない。そう考えると、ソニーは東京通信工業として20名でスタート。「人のやらないことをやる」を掲げて成長した。社内営業どころではなかった。既に大企業になってからも半導体の成長軌道に乗っているC-MOSSSDの陰に隠れて、優れたアイデアも3度死ぬを文字通り経験した。初期のC-MOSの欠点を違う視点から眺めたこと、なにくそ精神とチームワークが成功をもたらした。

 違った視点で眺めることの重要性は筆者も最近経験した。それは難燃剤を開発していたときに起こった。樹脂の中に配合して樹脂を難燃性にする添加剤である。樹脂と難燃剤を2軸の混練性能の優れた押出機に投入して加熱混練し、ついで試験片を作成して燃焼試験をしたところ、全く難燃性を示さなかった。難燃剤が配合していない樹脂と同等レベル。このようなことは経験しなかった。普通は「この難燃剤は×」として、外の難燃剤を評価するところだが、余りにも効果がないことが気になった。実験方法が間違い? 相手の樹脂が間違い? 押出機が間違い、、、といろいろ考えて行くうちに、突然の啓示!? 

難燃剤を外の難燃剤と同じような視点・視線で見ていたことに気がついた。この難燃剤の性格が活きるようにしてやれば、どうなんだとの実験をしたところ、全く世の中にない効果を発現することができた。それから4年経過。

M値が高い企業では相手にされなかったが、閾値の好ましい企業から声がかかったことで市場に展開することが可能となった。マーケッティングでも犬も歩けば棒に当たるような無駄な行動よりはM値を参考にした方がクリエイディブ商品の展開は速いと理解した。

近々、これが皆様の目に触れることになるが詳細は今のところここまでの開示に留めておきます。特許は2件出願しいずれも登録されている。

(ご注意:会社全体のM値が高い場合でも、例えば社長特命直轄テーマとして運営する場合は極めてM値が小さく成功する事例が多い)

アルコール分解遺伝子2・深紫外LED 殺菌

以前(2020.1.15日付)ブログでアルコール分解遺伝子について記載した。アルコールがアルデヒドに変化する際に作用する遺伝子とアルデヒドが酢酸に変化する際に作用する遺伝子の両方があり、それぞれ、祖先時代の遺伝子とその後変性した遺伝子の組み合わせが4種類あることを説明した。そのブログの最後のところで、変異が起こったのは中国南部であったと別の論文を引用して紹介した。現代化学2月号に変異遺伝子の世界マップが掲載されたので、まずそれを紹介する。

 

 

ALDH2 はアルデヒド分解変異遺伝子、ADH1Bはアルコール分解変異遺伝子である。

中東地区とアジア地区が変異遺伝子を多く有していることを示している。両方に共通しているのが、葡萄や米から酒を発明?した地域である。酒を発明しておきながらアルデヒド分解が遅い遺伝子をもっていることに疑問を持ち、仮説を立てたのが東大の太田教授。その説によれば、アルデヒドは毒である。二日酔いがアルデヒドのせいであると日頃痛感している人は直ぐに理解するであろう。こともあろうに病原菌も生きられない。この説が正しければ顔が赤くなってアルデヒドが分解しにくく体内に滞留時間の長い人は病原菌に対して強いことになる。祖先型の遺伝子を持つ人は幾らでも酒が飲め、顔色変えないでぐいぐい飲めるのんべいは病気に罹りやすいとも言える。アルコール分解もアルデヒド分解も変異遺伝子をもっている「いわゆる下戸」はそもそもアルコールを口にしないので、それでは病原菌には弱いかもしれない。その説が本当なら、アルコールが飲めない体質であっても、少しは飲むことが好ましいことになる。多くの人は少しではモノ足らないので。。。を続けるとアル中が待っている。両方とも祖先型遺伝子はアル中まっしぐらで、かつアルデヒドがたちどころに酢酸になるので、病原菌耐性は低い。

太田説によれば、稲作が発達して住民が集中して暮らすようになると生活環境(水、排泄物)汚染が激しくなり、それを防止するために強い遺伝子が残ったのであろうとのこと。

サーズ、マース、鳥、豚、新型コロナウイルスの発生地は申し訳ないが中国南部に集中している。新型コロナウイルスに対しての遺伝子変異が将来起こるのではなかろうか。その前にとにかく清潔にすることが最優先される。

【深紫外LEDによる殺菌とは】

弊社では波長265~290までの深紫外LEDを利用した空間除菌装置を居住・来客応接・製品倉庫にに設置した。日機装株式会社 製品名Aeropure である。深紫外LEDはノーベル賞の天野教授と日機装の研究成果である。製品寿命と波長はトレードオフの関係があることを日機装がブレークスルーして石川県白山市で量産化。今回の新型コロナウイルスの影響から、急遽、増産生産している。ただ驚異的な引き合いに生産が追いつかない嬉しいのか哀しいのか悲鳴を上げている状態である。清潔維持に熱心な日本人を誇りに思う。今後はタクシーやカーシェアリングなどへ普及するのは時間の問題であろう。

 

殺菌の機作(メカニズム)も追求されており、深紫外線を照射すると、効率良く塩基(チミン/シトシン)が二量体となり、細胞分裂阻害などの機能障害を引き起こす。DNAに直接作用するため、耐塩素性の菌にも有効に作用し不活性化する。

歯科ではLED殺菌水での口腔内洗浄や光重合用光源にも利用できる。

深紫外線は樹脂の官能化にも査証して印刷、接着強度、他樹脂との混合分散改良などにも利用できる。分析用光源への応用も期待されている。

さて、閑話休題。

話を戻して、アルコール分解変異遺伝子の図をよくみると、また違う様相を呈してくる。それはアルコール分解変異は中東で起こっている。筆者にはシルクロードを伝って中国及び日本に到達したのではないか????と(これは)妄想。中国南部では人口が急増したのでさらにアルデヒド分解が遅い遺伝子に変異が起こったのではないかと。俗説ではユダヤのヘブライ語と日本語・日本文化との類似点を多く例示している。カタカナに始まり、祭祀、相撲にいたるまでユダヤとの交流が紹介されている。だが、俗説の領域を出ていないと言えば、その説提唱者から叱られるかも知れないが、遺伝子分析などでの解明も一つの方法ではないだろうか。

文献

現代化学2月号 新村義人 お酒が飲めないように進化した日本人

日機装 技術資料及びカタログ

企業の相反転

子供のころ模型に利用する小型モーターといえばマブチモーターだった。小学校の夏休み宿題ではエレベーターを作った。長じてラジコンカー製作にも利用した。この小型モーターなしではクルマは成立しない。ウインドウ昇降のみならずモジュール内に数十個が内蔵され、更には、パワートレイン駆動体として利用が拡大している。その先頭にいる企業が日本電産。

日本電産の永守会長は一代で世界的大企業に成長させた。 先日、京都銀行が主催した永守会長の講演会があり、非常に面白い話をきいたので紹介する。会社創立後間もない時に米国の3Mから現状のモーターサイズを半分にダウンサイジングする企業に300億円の注文を出すとの知らせを受けた時の状況が面白い。世界広しといえど手を上げる企業はなかった。日本電産社内も同様の空気であったが、永守さんは社員を集めて「できる、できる、できる、できる、、、、、と千回声に出させた」。千回を終わったところで、「どうだ、出来る気になったか?」と尋ねた。社員は「その気になりません!」ときっぱり拒絶。そうすると、永守さんは「そうか、では更に千回だ!」。2千回を終わっても社員はNO! ではもう千回。。。で合計3000回の“できる”を唱えたところ、ある技術者が「できるような気がしてきた!」と。その後の結果は推察のとおり「半分のダウンサイジングのモーターが完成した」

「できない相」から「できる相」に社員の意識が変換したのである。相が反転したのは、永守氏の信念。チョットしたことで、従来の常識から外れる仕業が技術の進歩や営業戦略にも見られる。パソコンで成功したマイクロソフトはパソコンソフトの相に甘んじていたことで、携帯に出遅れた。携帯で一時期飛ぶ鳥落とす勢いのノキアは今のスマートホンを見越して会社上層部に訴えたが、ノキアの携帯シェア相に安住して取り上げなかった。それが致命的で今ノキアのノの字もみない。相反転の切っ掛けを見誤ると失地回復は絶望となる。

筆者は講演を話を聞きながら、比叡山の千日回峰行を思い出した。7年間に亘って比叡山の幾つかの修行道場を走破する荒技を975日を終えたあとは、断食しつつ寝ずに真言経を唱え続けることで悟りの境地に近づく修行。苦行をするなかで見えてくることを求めてのこと。2回も行った酒井阿闍梨の話はNHKで放映されたので覚えておられることおられるだろう。

永守会長の“経典”とも言えるだろう“できる、できる。。。。”と相通じるものがあると思われる。ご承知のように日本電産は京都生まれ。比叡山は滋賀と京都にまたがる天台宗のお寺。NHK大型時代ドラマの今年は明智光秀だが、彼が治めていたのは比叡山滋賀側の入り口の坂本。

京都市は東山と西山に囲まれた盆地。西山を超えると亀岡市がある。京丹後の入り口である。ここ亀岡市に京都学園大があり、定員割れが続いていたが、理事長に永守氏を迎えると、文部科学省にモーター学科を設立したいと申請したところ、前例がないと文部科学省は拒否した。そこで、学科の名前は工学部電気機械システム工学科、ちゃっかりモーター開発を目的の京都先端大学として亀岡市から京都市内に移してしまった。入学者はあちこちの試験での落ちこぼれを歓迎。ここから永守流。関西の私大では関関同立がトップ集団にある(関学、関西、同志社、立命)。これに直ぐ追いつくとハッパをかけ続けている。追われる大学もオチオチしていられない。

で、逃げられた亀岡市の市長はあの土地はどうしてくれると質問した。その答えが面白い。それを考えるのが市長のあなただと。満場2000人の中で指弾された市長。市政の経営者が市長であるとの認識がなく、補助金頼りで経営感覚のなさを曝露された。これは亀岡に限らず、日本の地方自治体ではよくある光景だ。 明智光秀が天下取りを祈願したのが亀岡「時はいま、天が下知る 五月かな」 亀岡がチャンスを逃がしたのは歴史の皮肉か。

永守氏が京都学園の理事長になってくれた。これで安心だ。との相にどっぷりつかって、後はお任せの意識がドンデン返しにあってしまった。相反転しては元に戻らない。

企業が大規模になるほど相反転は簡単ではない。企業には将来を見据えて考える人材が存在する。但し、多くは異分子・異端児として組織としては邪魔扱いされるのが通常である。入社試験では従来より発想の異なる人をと言いながら、その上位概念はいつの時代も協調性が最も優先される。なので、相転換できないと異分子・異端児はスピンアウト、その結果、その企業は時代の波(昔は30年だったが、今は10年寿命)の中では衰退速度を速める事態になる。。

従って、社員からの相反転は極めて難しいので、経営者自身が異端児にならざるを得ない。そのような会社は成長を維持できる。 経済同友会前会長の小林喜光が三菱化学(現ケミカル)社長当時、社員にAPTSIS方針を掲げた。Agility(早く)、Principle(原理原則),Transparent(透明性)Sense of survival (崖っぷち意識)Internationalization, Safety, Security, Sustainability であった。社員にAPTSISを唱えるように標語をあちこち貼ったが、異端児の筆者でさえピンとこなかった。 社員の反応状況を見た小林は新たにKAITEKIを掲げた。こちらは社員に素直に受け入れられた。 インパクトのあるメッセージはコンパクトであるべきである見本のような事例である。 その結果、具体的な素材、機能材料、商品開発へ面舵をきりはじめた。 永野流の“できる3000回”と同じ効果だ。 図はそのプロセスを概念化した。

只今現在取り上げる例としては良くないが、ゴーンが日産に来た当時の日産は次年度予算・技術目標を立てるに際には、できそうな目標を毎年繰り返していた。ところがゴーンは到底不可能と思われるレベルを掲げ、できないと承知しないとの強面路線を敷いた。これに反発して当然だったが、なんだかんだやれば無理筋目標が達成したとの話題を提供してくれたOBがいる。そのゴーンは連れ添いの色に染まり、当初の無骨男から金の亡者に相が反転して転落した。

企業も個人も「現在、どの相にいるかを認識し、異次元の相が次にやってくることを意識する必要がある」のだろうと思う。

新機能材料展・木材の進化

1月末に新機能材料展があり見学した。カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、バイオ生分解複合樹脂など多彩の材料が展示。 ポスト5G狙い材料や環境対応材料が目白押しのなか、古典的材料とも言える「木材」に注目した。数年前から建築展では欧州の木材が高層建築物に利用されていることは知っていたが、日本の消防法等の壁があり、そう簡単には認可されていない。だが、新国立競技場が鉄骨と木材の組み合わせで巨大な建築物が成立することを見せてくれた。

 

これが実現したのはCLT(Cross Laminated Timber)と言われる多層直交集成材技術。木材の繊維方向は大陽の向きに従って、概ね垂直であり、また年輪があるので、製材は長期的使用では湾曲する。そこで、炭素繊維複合材でも行われている(+90度・+45度・-45度・-90度)のように繊維を多軸方向に揃えることを転用して木材繊維を直交させ・接着させることで多軸方向への強度維持ができるようにした。

 

ノルウェー、スイス、カナダなど木材資源が豊富た地域では建築物が増加しているようだ。
ここからは日本技術の出番。CLTはCLTでもひと味違いを見せてくれたのが山形県天童(将棋の町)にある天童木材。

主として杉の有効利用として伐採・製材までは従来通りであるが、その先が製材をローラーで圧縮し難燃剤を含浸させ、膨張することで内部まで難燃剤が浸透する。以前にブログでも紹介した(主として)ホウ素化合物による難燃木材となる。さらに高温のロールで圧延・プレス加工を行うことで、椅子などの部品の多くが成形できることで、従来の切削、ほぞ加工、接着などの工程が省略できる。

 

 

展示会で注目あびるものとして軽飛行機のボディを製作してみせてくれた。この軽飛行機は産総研(森林)を初め東北地区の企業の先端技術を織り込んでいる。 Clay Teamとして出品

 

胴体 超軽量CLT
防腐・防蟻・耐候性付与
翼  改質リグニン利用複合材
コクピット フェノール含浸木材準不燃
プロペラ ナノクレイコンポジット保護塗装
高感度センサー内蔵木製操縦桿
ハイレゾスピーカーなどの技術がパッケージされている。

これらの各技術も従来より一皮剥けた技術として注目される。
かってクレイは層状構造を利用して層と層の間に有機化合物を峡雑して層間を広げ(インターカレーション)、それを樹脂とクレーをナノレベルに分散させるコンパウンド(ナノコンポジット)することで、強度やガスバリヤ-の性能を高める研究・開発が行われていた。しかしながら、ガラス繊維など安価な素材が強度は高いことから、今回は強度を謳う用途ではなく、金属の保護塗装材として活路を見いだしている。樹脂配合材料でリードしていたユニチカは樹脂着色がナノクレイ配合により鮮鋭性がでることを打ち出した。筆者はナノコンポジットが世の中で出現したときに、強度だけでは限界があると高分子学会の基調講演で話をしたことがある。強度路線を変更して新規な用途展開をしていることにホット胸をなでおろしているのが正直なところである。
今ブームのセルロースナノファイバーも強度・軽量(比強度)だけの売りでは同じことになるのではないか、セルロースナノファイバーはその特徴を引き出しての用途にこそ広がるのではないかと考えている。
バイオ・再生材として木材の利用効果は海の豊穣さに影響を与える。森林での栄養素が海に流れることで、プランクトンが成長し、魚介生産量が増加する。結果としてバランスのよい食事が摂れ健康寿命にも貢献するのではないかと期待される。ここ横浜にも昨年から木造の高層建築が着工されているとのこと。
ただし、木材を手放しで歓迎するまえに、木材は植物同様、その場所を離れることはできないので、動物などの危害を回避するための忌避成分を含むことがある。アトピー疾患の木材もある。またCLTの接着剤もホルムアルデヒドような成分は今はないが、硬化剤の動向などにも注意が必要である。健康面でも先進国である日本が果たす役目はある。

出典
新国立競技場https://www.jpnsport.go.jp/newstadium/
航空機 天童木材
圧縮プロセス 天童木材カタログ
CLT構造 日本CLT協会