2022年 10月 の投稿一覧

展示会場・新顔登場

朝の東京駅日本橋口フロアに最近5〜6社の旅行会社の旗を見る。集合し始めているご高齢の皆さんは和気藹々と出発を待っている。ようやくコロナの長いトンネルから脱出して、本格的旅行を楽しめる時がきた。新幹線でどこに行くのだろうか。秋の京都・金沢・東北もいいなぁ。

そういえば今年は新橋―横浜鉄道開通から150周年。それにちなんだ行事も見る。横浜は今の桜木町駅が当時の横浜駅であった。東神奈川から桜木町までは海の上に鉄橋を敷設していた。そのような工事をしていたことに驚く。東海道線を建設するにあたり戸塚まで伸ばすには一旦・凹路はまずいとして2回の移動をして今の横浜駅となった。みなとみらいを訪れたら桜木町が往時の横浜駅であったことの展示物を見るのも良いだろう。

さて、交通網は人・モノ・情報において重要なのは当然だ。最近、驚いたことに展示会の場所に新顔が出てきたことだ。羽田イノベーションシティだ。イノベーション拠点は日本に多数存在する。羽田イノベーションシティの展示ルームの規模は決して大きくはないが、アクセスに特徴がある。

先日、大田区ものづくり展の案内がきた。いつもの展示会で見る大田区中小企業だとしたら、過去見たことがあるので敢えて行く必要はないと判断していた。だが案内状を見ると展示会社・大学のほとんどがセミナーを開催とあって、ひょっとして通常より違うテイストかも知れないとして訪問。

展示・セミナーの会社や大学は沖縄・鹿児島・徳島・愛媛・・・・と大田区以外から参加も多数。聞いてみれば、目の前の地元空港から羽田まで直ぐに行けるじゃないの?と逆質問され、その通り! 聞いた方が恥ずかしい。羽田イノベーションシティは天空橋の改札に直結しており、空路、京急、モノレールにてアクセスできる。都内・横浜からは品川か蒲田で京急を利用するのが便利だが、渋谷・新宿方面からはやや不便。東急の線路が狭軌に対し京急は広軌なので相互乗り入れができない。過去何年も交渉などあるも進展しなかったが 最近、方向が見えてきたようだ

話が脱線した。今回の展示会はコンパクトだが従来にない参加大学・企業があり収穫があった。鹿児島大の教授から薩摩弁で話しかけられると一度は行かねばと思う。実に単純。でも些細なきっかけが発展することもある。愛媛の企業にはビックサイトや幕張メッセでお会いしていたものの、コンパクトな展示会でゆっくり情報交換ができた。展示会の規模がどうのこうのより、当然ながら中身が重要で参加者同士の人の繋がりができたことが良かった。羽田イノベーションシティにはロボット食堂があり、川崎重工のロボットがカレーを作り、テーブルまで持ってくる様を家族が既に経験している。その実用化前に、ある案件で訪れたとき、ロボットへのデータインプット作業をしている様を見た。単なる完成品を展示するだけでなく、インキュベートも見られる新しい試みだと感じた。

展示会は東京地区では幕張メッセ、ビックサイト、横浜パシフィコ、大阪地区ではインテックス、名古屋地区ではポートメッセ、福岡など多くある。中規模では東京都産業貿易センター(浜松町)が3年前に出現。今回は更なる新顔が出てきた。何を企画するかの勝負になってきた。これはユーザーにとっても非常に興味あるところだ。

以下は筆者のあくまでも個人的な展示場の印象(住居地域により変わるのは当然だが)

幕張メッセ:規模を生かして自動車・機械産業関係展示が得意。だがアクセスやや不便。筆者は東京駅構内での京葉線乗り場まで辿り着くのが面倒なので大井町から臨海線で新木場に出ている。京葉線乗り場は殆ど有楽町の下なので、ここから暫定切符を貰って行く方法もあるが試していない。広い展示会場巡りで疲労しやすい。元気回復になる飲食店などインフラがもっとあればと思うが、展示がない日を考えると無理。その他の客寄せする複合化があると好ましい。

ビックサイト:東京オリンピック終了に伴い東館が利用可能となり東西多種多様の展示。まさに日本の中心・代表的展示場。南棟を加えて更に充実。新橋からの「ゆりかもめ」はしばし観光気分を味わえる。駅からビックサイトまで徒歩が少なく助かる。だが臨海線の国際展示場を利用する人が増えてきた。ゆりかもめを経験すると、のんびりグルグル回るより、さっさと行ける路線を好む人が出てきたのだろう。

横浜パシフィコ;中規模からノースをつけて大規模に模様替え、周囲には豪華ホテル、レストラン、遊興スポットなど多い。足を伸ばせば中華街と交流する場はダントツに存在している。ビックサイトのあるお台場の開発がなんとなく間延びしているのは青島知事の博覧会中止の影響が尾を引いているのだろうが、横浜のみなとみらい地区の開発は当初予定よりは遅れたものの、着実にビジネス・観光の複合化を見せて、訪れたい・住んでみたい人気地域になっている。東急乗り入れのみなとみらい線でダイレクトにアクセスできるのも強い。

さて、あなたが展示するなら、どこを選びますか? 視察は2時間程度が平均だとすると、アクセスが悪く丸1日潰れるのは困るのが本音だろう。さすれば、新顔の羽田イノベーションシティは注目されるのではないだろうか。

バイオ材料を支える化学

ニュージィランドの首相が牛のゲップに課税すると発表して驚かせた。牛のゲップにはメタンガスが含まれており、CO2の4倍温暖化が理由。畜産農家は価格に上乗せるので競争力低下は避けられないとして抵抗している。対策はゲップが出ない餌の開発に向かっている。牛からみれば食べ慣れている定食を取り上げられて妙な創作餌を食べさせられる訳で、ストレスに繋がり肉質が変化するのではないだろうか? モーTAXサンと叫んだかどうかは知らないが。

先日ビックサイトで開催のTOKYO PACK 展を覗いた。紙によるパッケージ、木粉などバイオ材料を51%以上配合した樹脂製品など環境配慮型のオンパレードであった。100%樹脂に見える製品でも、原料がサトウキビ、とうもろこし、芋などからアルコールを摂り、オレフィンを合成し、後は従来の石油化学の製造法で樹脂を製造する“バイオ由来の樹脂”である。

紙容器に水など液体物を充填すると膨潤するので、内面にポリエチレンやポリエステル樹脂をコーティングする必要がある。一般的に紙の表面は水酸基OH、カルボキシ基COOHなどの官能基があり、ポリエチレンのC H 2-C H 2- からなる分子とは馴染まない。そこでポリエチレンを溶融積層(ラミネート)加工中に分子の一部を酸化させてOH,COOHの親和性を付与して紙と融着させる。そこで完成ではない。というのは融着させるための官能化されたポリエチレンが匂うと感ずる人もおられる。そこで、ラミネートした上から無臭のポリエチレンを重ねてラミネートの2層構造にしている。この無臭のポリエチレンを製造するには工夫がなされている。市場ではポリエチレンを製造するにどれだけ工夫をされているか知らない。裏方に徹しているのは気の毒なところがある。牛乳パックの牛乳の味を不思議に思わないで飲む。北海道産の牛乳が本州まで物流しても味に変化がないが誰も不思議に思わない。その働きを静かに実行しているポリエチレンを少しは評価しても良いのかも。

一方、木粉、竹粉、紙粉を樹脂に配合している製品としてスプーン、フォーク、カップなどがあったが、セルロースを主成分とするこれらは耐熱性が精々150℃まで。一方でトレーなどに使用されているポリプロピレンと混合するには樹脂温度が180℃〜230℃であり、セルロースは分解し着色、異臭を放つことになる。したがって150℃以下で混練や成形が可能なポリエチレンが主役となっているようだ。剛性がポリプロピレンより低いこともあり、相当量の木粉、竹粉、紙粉の配合となる。一般的にこのアイテムに挑戦している企業は樹脂における配合研究の蓄積が少ないケースが多々ある。ここは樹脂メーカーの底力で突破してほしいものだ。

セルロースの分解生成物は化学式で優に30〜50種類があり色や匂い対策は厄介だ。日本は無臭がベストで香り付き洗剤も色々変遷があった。電車でポテチはもとよりクリームを誰かが塗れば一斉に視線が突き刺さる。隣に座る人によっては、そっと他の車両に移動する人もいる。ワキガや加齢臭も本人に罪はないが、自分は臭いに気をつけているつもりで、かつマスクをしていても、体の皮膚からは臭い成分を発生していることを知らない。

“皮膚ガス分析サービス”会社が現に存在する。ニンニク、ニラを食すると皮膚からはアリルメチルジスルフィドが出ている。因みに加齢臭はノナン酸(皮膚が酸化して分解)である。皮膚ガス分析会社の資料によれば皮膚常在菌と紫外線により発臭原因になるもの、血管中の成分と皮膚腺と反応するもの、血液由来のもの 3種類に分類されるとのこと。

逆に血管内成分を皮膚ガスで分析することで例えば疲労度が定量されるようだ。すなわち手首にアンモニアセンサーを取り付けることで、疲労度が測定される。

冒頭のニュージィランド牛に餌の変更前後の皮膚発生ガス分析をしたら、何を読み取るであろうか。腸内細菌の変化が脳にリンクして制癌剤の体内生成に変調をきたしているが、それでも食べる?と言うかも。

ある人に石炭は過去のものを掘削するだけで、今現在石炭はできている?と聞いてみた。咄嗟のことで戸惑っていた。過去にできていたなら、現在はその種ぐらいは見つかってもよさそうだと考えるのが普通。木材、竹など伐採されずに放置され倒れて地面に接触するとヘミセルロースやセルロースを好物とする菌により分解される。この分解によるCO2もバカにならない。やがて何万年前に残りのリグニン(これが石炭の素)を餌とする菌が現れたことで、それ以後、石炭はできなくなったとの説が有力である。

何万年にわたる時間の中で、それまで地球環境が汚染されるままで良いとは言わないが、自然は妙な差配をするものだと感心することがある。

タイパの落とし穴

タイパはZ世代の言葉だとか。タイムパフォーマンスの略と何となく察しはつく。家族にZ世代はいないがTVは録画してスキップか速度モードで観ている。You tubeは5分〜15分程度であるが、それでも尺が長いなぁと筆者でも結論を先に見ることもある。最近はさらに15秒前後のダイジェスト版が見られるようになっている。

答えさえ知ることができれば、前後は省略してもよい風潮がある。答えを沢山知っていることが優先されるようだ。クイズ選手権にでも参加するのならそれも結構かも知れないが、このタイパが通用するには閾値条件があるように思う。

それは創造不要、進歩不要であるとの条件ではないだろうか。それで社会で務まると考えるのならそれもよし。

だが、人間はもとより創造的生物であるから、長ずるに従ってタイパはダメだったと感ずることになろう。会社でも社会でも特に自然災害、経済的混乱、戦争など予期せざることに遭遇した時、過去に覚えた答えの中から探しても役に立たない。

受験勉強で優秀な成績を収めてなったはずの官僚社会に見るように、いざというときに主役にはなれないのは知られている。(勿論、例外がある) 民間会社でも企画部に配属されると、調査会社にオーダーを出して“答え”を要求する社員がいる。それなりの大学との長い関係から、それなりの部署へ配属と会社は配慮するが、変化を求める企画部を任せるには適していない。精緻な分析に基づく計画立案が優秀社員であるとの信念?がある。企業統合して初めて聞いた言葉が精緻・精緻・精緻。なるほど過去問は得意だったのだろう。だが、そこが大問題なのだ。

技術開発部門において、研究のスタートを特許調査から入ると重箱の隅をつつく平凡な案を出してくるか、そもそも案すら出なくストップしている人がいる。膨大な“答え”を見せられると、それ以外に創造することは無理として出来ない理由を考え始めるのだ。そうではなくて創造的案をまず作り、抵触する特許、文献はないだろうなとして調査することが望ましい。自惚でも構わない、このような案は誰も考えないだろうと妙な過信が技術を進歩させることが多いのが筆者の経験である。

精緻な分析ができる人に限って、異質・異能な人物に出会うと「この人の話すことがなんと無駄が多いのか?整理されていない。利口ではなさそうだ」と片づけてしまう。でも異能な人は違う見方をする「なぜこの無駄とも言える話を持ち出すのだろうか?」結論に至る考え方にこそ本当に伝えたいことがあるのでは?と考える。

別の言葉で言えば、前者の整理がデジタル処理、後の考え方がアナログ処理。

アナログ的思考こそが、いざという時に「考え方―考え方」を繋げることで新しい展開ができることがある。それが得意な人材を筆者は知っている。日頃妄想(pipe dream),(chasing rainbow)的なことを言って部署を任せるに足るか訝るような人である。Chasing rainbowとは実現不可能なことを追っかける意味である。だが、太古の時代、いや江戸時代において空を人間が飛ぶことはおよそ実現不可能と考えていたはずだ。創造性のある人物は存在している時代の中では変人扱いされたのであろう。受け取る方が変わらないことこそ変人であるとの自覚が必要なのだろう。デジタルを駆使しつつ、その限界を見据えてアナログ思考を大いに生かすことだと考えると、デジタル苦手であってもシニアが活躍できる場面はあると考える。シニアの方、自信を持って下さい。

You tubeで答えを急ぐ人にはピース又吉の「渦」における文章添削をゆっくり見るといい。作者の意図を深堀し膨らませ新しい作品に仕上げるその様は面白いと感ずるだろう。

今回のタイトルがタイパなので通常より手短にしてみた。如何だろうか。

現場感シミュレーション

10月1日から横浜市の人口が衝撃的に急増した。9月30日からたった1日の出来事にそんなことがあるはずがないが。その理由は次の通り。地下鉄改札出入り口の流れが大混乱しており、あたかも人口が増えたと思わせるからだ。

横浜に限らず他の都市でも老齢者パスが70歳になると配られる。年収により無料〜9000円まであるが地下鉄、バスを利用するには非常な格安システム。

従来は老齢者パスを有人改札で見せるだけでスムーズに出入できたが、10月1日からICカードとなり、特定の読み取り装置①にタッチして○印を確認し、有人改札②で駅員に見せる二度手間システムに変更された。装置は駅の死角しか置けない事情なのか、どこにあるのか案内人を2〜3人配置する必要があり、普通の自動改札から出入りする人の流れを邪魔しないと辿りつけない。

図中の①→②へ移動。この図で左から来る人は2回人の流れを横切ることになる。(図は地下鉄桜木町駅 みなとみらい地区、市役所関係で乗降客は絶えない。)

若い人は押し並べて背が高いので読み取り装置がどこにあるのかウロウロ。改札から吐き出される怒涛のような流れの中で、なおさら高齢者は漂流するのみ。漸く辿り着いたところは一種の集団状態に。Suica、pasmoと同じパスカードに入れないで別にするように注意されているらしく、いざ読み取りになるとパスカードの出し入れに手間取って渋滞している。

係の人に聞いた。高齢者は何も通勤などの時間帯に行動しなくても良いのでは? すると駅員の答えは非常に簡単なもの「通院!」。なるほど。読み取り装置案内の人に話を聞いたところ、高齢者の苦情にホトホト参っている。苦情が的を射ているだけに市役所の意思決定システムが壊れていると思うとまで言い切った。苦情の電話をして下さいとコンタクト先の紙を渡された。ここで役所は現場感がなく適当に決めたのだろうとは推察はできるが、言いたいことは、決めた役所も苦情を電話で受け付けるシステムもこの時代に合っていないのではないだろうか。

先の国葬でデジタル献花が50万人を超えたとのこと。横浜市老齢パスに関する意見をSNSなどを通じて集める方が“統計学を専門とする”市長には有益ではないだろうか。決める方については流動解析エンジニアリングソフトで人の流れの中に方向と速度の違う人物を置いた場合の流れの混乱(乱流・渦)が計算できる。横浜国大をはじめ、横浜には工学部を有する大学が多くある。そこを利用すればシミュレーションできたはず。

最適な読み取り装置の場所も計算で求めることが普通にできる時代。現場感とシミュレーションの重要性の具体的事例を見た

ここまでお読みになられた人は「普通の自動改札を利用できるようにするのが本来やることではないのか?」 全くその通り。 自動改札の改造は不要。子供用のカードで反応しているのだから、それを利用するのだ。子供表示が出るが、高齢者はウイットがあって良いと喜ぶだろう。子供なのだからもっと勉強しなければ・・・と受け止める高齢者は明るくて長生きすると思う。

話はそれるが、ウイットに欠けるマニュアル社員ではユーザーから疎遠にされると明言してもよい。

最近の出来事だが、試験用に500g程の材料が必要となりメーカーに依頼。普通はサンプル程度を所持しており試験結果を聴取し商品戦略に活かす。このメーカーは総合商社の取次店に案件を回した。25kg製品なら販売する。発注書はFAX。時代遅れのアクションに驚いた。と同時に取次店の置かれている立場も分かった。

残りの24.5kgは不要だが、廃棄処分するとSDGs面でも拙い。入荷したことの連絡メールをした文の最後にPSとして、残り24.5kgはSDGs面からもなんとかしないと・・・と記載して送付。その返信が「当社は25kgが最低販売量です。の一行のみ」。この返信で、この会社は当方を一過性ユーザーと判断したとして、次は違う代理店か担当を逆指名する。

次に繋がりそうだからのシミュレーション、ユーザーの履歴など調べた上で対応するのが普通。答えるなら 「A:新用途が見つかったら当方も会社も嬉しいです。B:新用途いいですね〜。出荷ローリーを手当して待っています。」

昔、樹脂袋から竹箒の小片が発見されたと会社にコンプレイン一報があった。時の担当者は平然と「次はチリ取りを入れておきます〜」で相互爆笑。親密度は以前より増した。明日は今日より成長できるとの社会的前向きの時代背景はあっただろうが、ユーモアは時代によらず、人がビジネスをしている間は必要だろう。それも広い意味でのシミュレーション。