2022年 6月 の投稿一覧

家庭内バランスシート

「家庭内バランスシート」って聞いたことありますか? 勿論ないですよね。と語る定年を過ぎたシニア男性にお目にかかった。奥様が怖くて帰宅できない弱い男の物語ではない。バランスシート(B/S)は会社の健全さを示すことで、資産の部と負債の部が比較対象となっている表のことで、1年に1回から四半期で1回、上場企業はIR報告として提出している。これの家族内バージョンのことだとしたら、ああなるほどと気がついた人は救われるが、何言っているの?と怪訝に思う人は続きをお読み下さい。

ここで注意すべきは「家庭」ではなく「家庭内」とあることだ。「家庭」とした場合、資産の部には現金、株、投資信託、不動産が入り、負債の部には社会保険、食費、維持費、家ローン、進学子供のローンなど借金が、及び親からの援助・相続などの会社でいう資本金と剰余金が入る。左右が同一金額になる。ところが「家族内」となると資産の部に何が相当するのだろうか?がわからなくでも、負債の部はすぐ理解される。専業主婦、短時間のパートなどは家事・育児・就学問題に毎日・毎日取り組んでいる。旦那が単身赴任をされていると、負担がさらに追加されてくる。

定年までのこれらを金額に換算したら恐らく2億円といった人がいたが、少なく見積もっても1億円は超えると言える。そんなことはない、「毎日洗濯もせず、ソファーに寝そべりポテチを食べて韓流ドラマにハマっている。」と漫画のようにいう人もおられようが、それでも夕食の献立を考え、スーパーのチラシをチェックし、遠くとも厭わず出かける。それも“労働”の対価に算入されるのだ。

ところで、家事においてゴミ出し程度しかしていないシニアの方はこの家庭内旦那名義バランスシートにおいて、奥様に対して1億円〜2億円の半分は負債を負っていることにお気づきであろうか。これからの相当の期間、家事をこなさないと負債完済とはならず債務超過になっていませんかと。

冒頭に筆者に語ったシニアは仕事をしながら、家事をまだまだやらないといけないと話してくれた。調理(簡単な下拵え程度)、食器洗い、掃除、片付け、洗濯干し、アイロン掛け、お風呂掃除とお湯張り、アッシー君などの業務をルーチンワークとしてこなしている。本人はイチローのルーチンと同じだと言うが、大谷の二刀流に相当するではないか。確かに、負債の部は返済が進むだろうが、では資産を増やすにはどうするか? 賢明な読者はすでにお分かりのように(日本人には馴染まない“愛”)ではなく慈しみあう雰囲気による明るい家庭運営と言えるだろう。

先日、スーパーに入居している保険統合呼びかけるお店の前で、80歳以上と見られる老夫婦が今からでも入れる保険はありますか?と大声で問いかけていた。厳しいのだろうと素人目には思ったが、お互いに労わる様に金銭的には裕福ではなさそうだが、仲良しで来られているのは家庭内バランスを積み重ねてこられたのだろうと思った。

と同時に現在の医療保健は以前より建て付けが変わっていることから我が身も検討しなければと思い付いた。医療技術の進歩により手術や入院も短期で終わることに対して、従来タイプは短期では保険適用にならない。

筆者の生命保険をチェックしたところ、男性(稼ぎ中心者)に重き、配偶者は付録的な位置付のままであることを改めて確認。生命保険会社としては支払い能力のある人を対象にするのがビジネスの常識になっているのはわかるが、家庭内の分配で対処できることから見直しをすることにした。専業・パートで働いている人が倒れた場合の命の価値は男女問わず同じはずだ。まして年金だけしか収入がない定年退職者の夫婦が従来通りのパターンになるのはおかしい。

男子が育休や短時間勤務を要求し難いのは上司が男子たるもの働くのが本懐だとの家庭破壊理論がある。家庭内バランスシートが浸透すれば、その上司も家庭あっての会社であることに気がついて最後には社会も変貌するのではなかろうか。あなたもB/Sをつけてみてはどうでしょう。他人に言う前に自分も。

節電要請はEV追い風それとも?

経産省は今年の夏は電力がショートするとして企業・家庭での節電警報を発した。特に東京電力地域は深刻とのこと。3月福島沖地震で石炭発電所が二箇所故障停電したことで綱渡状況が現在も継続していると報じられている。

知らなかったが火力発電のボイラーは約1000℃に熱せられるので線膨張で下から支えられないので、吊り下げ方式とのこと。確かに地震で揺れが来たら大揺れに揺れるだろう。綱渡がかろうじてできたのは水力発電の揚水発電、関西電力からの供給と大口企業への操業調整指示。それでも部分停電が東京で発生した。ここに太陽光発電が活躍したとは聞こえない。管内には約1400万K Wのパネルがあるが好天でも寄与率は8%、曇天、にわか雨では更に低下する。6月でも雹が降った関東地方。

一言で言えば頼れない太陽光に電力会社は一般消費者から補助金を徴収している形で不思議な構図だ。(家庭賦課金10,764円)。各種物価上昇のおり家庭の負担は厳しいところがあり、その資金があるのなら原電保安(現在はテロ対策)に振り分けてさっさと工事を進めてほしい。

全国の原電で5箇所(9基)が再稼働しているが、加圧型の関西電力(大飯)は稼働しているのに対して沸騰型の東電は稼働ゼロ。何が保安上違うのか素人には分からない。東電でも厳しい審査を経て工事が終了している原電を稼働させれば良いのだが、そうならないのはなぜか? 関西電力美浜3号が2ヶ月前倒しで運転の報を聞くとなおさらだ。

石炭火力はCO2排出で問題だというが、日本の最新の火力発電を世界に誇るCO2対策がある。発生したCO2を地下に埋設するテストも長く実施されている。かつ、製鉄における熱量を利用しての水素生成も可能として開発が進んでいる。日本は原発、地熱、石炭、水力のベース電源があるのだから、有効に持ち手を使わない法はない。安定に最近もう一つの候補が海水温度差発電。亜熱帯地区が候補だが沖縄を例にすると余剰電力も出るとのこと。ここにも予算をつけてはどうか。

東北地震の時は節電に国民は協力した。エスカレーター使わず、照明もLEDに切り替えた。現在はあれから高齢化が進んだ、階段を徒歩で上がるのは高齢者には厳しい。クーラーなしで外出を控えると熱中症にもなる。あれから7年。コロナ禍で医療設備充実が問題になったが、停電の追い打ちがあったら、それこそ大混乱になっただろう。ミニ原発に関して総裁選挙でも話題になったが、意識のない人がトップになると霧散してしまった。

政府が国民にお願いすることがクーラーある部屋に集合して暮らしてくれ、大型店での節電要請では情けない。スーパーでの貯蔵温度を見直しすれば賞味期限から廃棄食品もしくは値上げが待っている。家庭の冷蔵庫の温度にまで言及しているが食中毒が懸念される

一方、EVは停電時の補助電力としても利用できると言われてきた。停電になってもEV車からの電力で普通の住宅であれば2〜3日は持つ。だが北海道の停電事例では長期に渡ったこともあり、2〜3日の後の放電したEV車は利用できない。大袈裟に言えばビジネス・物流が止まる。IH調理の家庭は3.11東北大震災時の長期停電・節電で大変な目に遭った。基本は節電せざるを得ないと見通しがあるなら、原発を稼働させるに限る。さらにEV一辺倒でなくガソリン車も共存させるのが国体維持の基本的考えかと思う。

一種のブームでEVを生産しないと“遅れているメーカー”と揶揄されがちである。ガソリン燃費では負け、HEVも分厚い日本の技術に負け、残るはEVしか製造できない欧州メーカーが戦略的・政治的に発している背景がある。EVはエンジンより部品点数が少なく、外部からモジュールを購買すれば簡単にできるとして雨後の筍のように製造会社が出ているが、筆者はそうは見ない。最後はエンジン機構部品技術に優れた企業群がEV統合システムで勝ち残れ、ブームに乗った会社はその品質競争から撤退するのではないだろうか。その一例がトヨタ関連会社がbZ4Xに採用したe-Axle(モーター、インバーター、トランスアクスルを一体化した電動駆動モジュール)による小型化技術などがきっかけになるだろう。

クルマに限らず市場はクールで合理的である。製造できる物を売るのではなく、売れる物を売る。クルマと言えばSUVが大人気の米国においてマツダは3リッター車がなく売り負けていた。そこで直列6気筒エンジン・簡易HEVの(C X-60)製造販売に乗り出した。HEVの技術はトヨタの支援を受けているが、ガソリンエンジンについては古くはロータリーエンジン、最近でSKYACTIVEを開発しただけに面白いクルマとなっているようだ。スタート時はEVで走り始めエンジンに切り替えるのが普通。それに対して、逆にスタート時はエンジン音がする。米国人の気質を取り入れた仕込みとみた。

この事例で知ったことだが希薄燃焼エンジンでは容量が大きい方が燃費が良いとのこと。エンジンの効率を高めるにはエンジンのみならず潤滑がポイント。駆動機構のそれぞれで摩擦抵抗を低下させる必要のあるのはEVも同じ。そこが上記で表現したエンジンを追求した会社が最後はEVでも残ると言った根拠の一つだ。EV一辺倒でエンジンを放棄してしまったら、後悔することになりかねない。それが可能なのは頑張っている技術継承シニアと合理的な考えができる若者がいる日本だからこそ可能ではないだろうか。

その一例になるか。川崎重工が水素航空機の開発を発表した。エアバスなどに部品供給するとの報道。水素サプライチェーンとして出口として大胆なアイテムではあるが、そこで排出される水が核となって旱魃地域に降雨をもたらせるとなる妄想を抱かせる。大いに期待したい。

ポリフェノール・腸の働き

ポリフェノールは馴染みワードになっている。化学が苦手な人でもフェノールとはフェニル基(ベンゼン環)にOH(水酸基)がついている形をしていることを子供の頃から(町医者の診察室に漂うフェノールの匂いで)知っている。

樹脂は電力ケーブル被覆材料、自動車、家電、など身近に使われているが、製品寿命に合わせてフェノール系酸化防止剤が基本配合されている。長寿命製品の代表格は電力ケーブルや通信ケーブル被覆材料であり、100年維持設計には水・湿気・温度の環境下で滲み出さない(ブリードアウトしない)フェノール系酸化防止剤が基本。フェノール酸化防止剤が酸素と反応した後で再活性化させるヒンダードアミン系相乗剤との併用、紫外線吸収剤などの配合がなされている。

横道にそれるが、一般的に破壊寿命は製品の50%がある劣化基準点に達したときをもって寿命としているが、電力・通信関係は初めの1つが劣化基準点に達した時をもって寿命としている。それだけ国のインフラは信頼性を高く設定する必要がある。筆者は若い時、この材料開発に従事しており、この初めの1点に泣かされたものだ。 今や人間100歳が言われている。そうか、各内臓の50%が不具合ではタマラナイ! ここはどの臓器でも初めの1つが劣化起点に至らないようにするのが重要で、その秘訣は腸細菌叢にあるとの報告は多くある。

フェノール基の数が2〜4(〜それ以上)と多いのがポリフェノール化合物である。 食物でいうところのポリフェノールは化学合成された酸化防止剤とは分子構造は異なるが、複数のフェノール基を分子内に持っている点は同じ。機能(医学用では機作という)は酸化防止剤として作用して体内の活性酸素と反応する。

ここで、お茶のカテキンは低分子のポリフェノールだが、発酵するウーロン茶やワインのそれは重合ポリフェノールであり分子量が高い。不思議に思ったのは、低分子のポリフェノールであれば腸から吸収されやすいが、高分子ポリフェノールは吸収されるのであろうか。活性酸素と反応するには至近距離に存在する必要がある。

しかしながら、ワイン、カカオ、りんごなどを多く摂ると肥満、糖尿病、高血圧、心筋梗塞などに効果があるとするなら別の機作があるのだろうと漠然とTV放映で「ポリフェノールは活性酸素・・・」を聞くたびに思っていた。同じように食物繊維の中でも不溶性食物繊維は便通だけではないのではないか?とも。

そんな中、以下の文献・情報を目にした。詳細はオリジナル文献にてチェック願いたい。

文献からの二次情報であるのでブログではなく、あくまでも筆者の備忘録に過ぎないが紹介する。

  • 「ポリフェノールと腸内細菌 腸内細菌叢の変動を介した生体調整機能」 (化学と生物vol 60,No3 2022 福島大准教授 升本早枝子)
  • 「早期パーキンソン病患者において 2 年後の症状進行を予測する腸内細菌を同定」日本の研究 プレスリリース:2022.06.02 名古屋大学 大野 欽司 氏複数
  • Gut bacteria and mind control; fix your brain, fix your gut! Prof. Simon Carding. Quadram Institute (英国)  (2015年You tube講演)

4) 考える「腸」と「脳」:その不思議なメカニズム 健康・医療科学 環境・自然・生物2022.03/28東北大学大学院教授・福土 審

文献1 は全体を理解するには優れた文献。 序説では、赤ワインに含まれるカテキン、リスベラトロールがLDL(悪玉コレストロール)の酸化を軽減し動脈硬化の進行を抑制し、心血管疾患のリスクを低減したことを挙げ、ポリフェノール類の機能性については動脈硬化抑制、LDL抑制、脂質代謝促進、抗炎症、血圧上昇抑制、血糖値の上昇抑制が報告されていると紹介。

このほか、デンマークではフラボノイド類摂取により癌死亡率、糖尿病・肥満リスクの低下を、日本でもポリフェノール摂取量が脳血管疾患、消化器疾患死亡率と逆相関にあることが明らかになっている。このように脳にはじまり各臓器の活動に深く影響しているのは分かった。

だが、筆者の疑問はまだ解けない。高分子量ポリフェノールの機作(腸内細菌叢との関係)だ。

ポリフェノール類が生体調節機能を発揮するには、腸管から吸収され、その分子構造が保たれた状態で、各臓器・組織・細胞へ到達することが望ましいが、文献著者の升本氏は面白い実験をしている。リンゴ由来プロシアニジン類の低分子オリゴマーポリフェノールとin vivo試験では吸収されない高分子量ポリフェノールを肥満モデルマウスに別々に投与。その結果、低分子量オリゴマー、高分子量のそれは共に同程度の体重増加抑制や脂肪蓄積抑制が示された。

そこでオリゴマー群と高分子群の盲腸内容物の腸内細菌叢を解析したところ、高分子摂取群のみでBacteroidetes門比率が増すことを明らかにした。更に高分子群ではAkkermansia属の増加が顕著に認められた。 この属は肥満者や高コレステロール血症、高血糖などの症状を有する人は少ないことが分かっている。Akkarmansia muciniphilaの増加により肺細胞からの上皮性粘液(ムチン)の分泌が亢進すること、腸管上皮細胞のタイトジャクション関連因子の遺伝子発現が増加し、バリア機能が向上するなど分かっている。図参照。

この文献は紹介すべきところが実に多く、文献2、3、4とも深く関連するところがあるので機会を見て紹介する。特に認知症は気になるところである。平易な言葉で腸と脳の関係を説明しているのが文献4であるので、簡単であるが紹介する。

脳と腸が情報を交換し合う現象を「脳腸相関」と呼ぶが、福土さんによると近年、腸は脳からの指令で動くだけではなく、自ら判断し、行動する臓器であることが明らかになってきた。腸の状態が脳に伝わり、伝達の過不足が、喜怒哀楽や好き嫌いといった心の状態にも変化を及ぼすという。だからこそ、福土さんは「消化管、腸、脳の関係を捉えなおす必要があります」。とのこと。これって禅の教えの心身一如とも通ずると考えるが如何であろうか。

と偉そうなことを言えば血が通わないブログになる。知り合いの人は「りんごの食べ方知っていますか? 皮を剥かないでりんごを横にして輪切りにする。これこそ栄養価が高い」と教えてもらった。(農薬が気になる人は重曹で洗浄)。 子供の頃から包丁での皮剥きは得意だったが、残念! 輪切りは芯のカットする部分が少ないと納得。されば遊び心で、ミキサー(レコルト・ボンヌ)でりんごを破砕(5秒)または“おろし”、ヨーグルト・蜂蜜を掛けてみたところ美味しい。調子に乗って冷凍バナナとリンゴの共粉砕でジェラート風に。これも行ける。ピーマン嫌いの子供にも試してみよう。 ポリ(多くの)やり方で摂るのもポリフェノールに相応しいか?と我田引水。このブログではコーヒーについて述べたが、カテキンにもっと光を当てるべく、それならと最近入手した緑茶(奈良の月ヶ瀬茶)を飲用。

なお、文中で細菌の名前・分類について注釈をしなかった。興味を持っていただいて文献調査をすることで医学分野は面白いと感じてもらえたらと考えた。免疫など解明すべき課題の解決ははその方々に委ねたい。

敬語とマナー

ある会社から返信用封筒が同封された見積書が送付されてきた。「お見積りに同意したら発注書に記入・捺印して送付して欲しい」発注書の発注先蘭及び返信用封筒には***株式会社 御中。

国語に自信がない筆者でも驚いた。マナー講師と江頭2:50のマナーバトルが炎上しているそうだが、エンターテイメントとしての出来事なので炎上してある意味成功している。挑発的にマナー違反をする江頭2:50に対して激昂しながら指導する講師。これが、お淑やかに指導していては番組のコンセプトに合わない。結果として局を含め三者とも視聴率を稼いだ。

今回の見積書事案でブログのネタを提供してもらった形である。勿論冗談だが、真面目な話ビジネスであれば、赤ペン先生ならずとも、ツッコミたくなる。

ただし、この会社の言い訳にはなるが、担当が業務を長期間放置しており迷惑をかけたこともあり、書類送付案内付箋に長いお詫び文章が綴られている。そこは尊敬語、謙譲語、丁寧語を混合して駆使されている。読みづらいがお詫びの誠意は汲み取れた。しかし残念ながら最後の最後で力尽きたのであろうかミスをした。TV視聴率的に表現すれば番組打ち切りに近い。

既に皆様ご理解の通り、自社宛に「御中」は使わない。個人の手紙で自分に”様”を付けることはない。返信用封筒宛先の御中には「行」と書き、差し出す人が「行」に線を引いて御中とするのがマナー。この会社の返信用封筒は初めから印刷されている。返信する人の手間を省いているとも言えるが、まだ多くの割合の人はそうは見ないだろう。

「御中」は会社全体に当てたもので、開封した人が社内組織に従って転送・割り振りをする。今回は名刺が同封されていたこともあり、「会社+個人名+様」の形で返信した。

発注書に記入するところは発注者の名前だけなので「署名・捺印」が普通。その他の箇所も指摘されるが国語は時代によって流動するだけに大目に見ないといけないのだろうか。

も、個人宛に「様」ではなく「殿」と記載されると妙な気分になるのも日本人。ご承知のように「殿」は”しんがり”。戦国時代の争いで退却する際に敵に追撃されないように強者に任せたのが”しんがり”。なので、殿と書かれると「あなたは決してトップではない」と烙印を押されたとなる。 今後は宛先などは To 、 From が普通になるかも。日本語は他言語をミックスするのが上手だから。

さわありながら、(ややシツコイが)お見積りの「お」や詫び状の中の「ご提案させて頂きます」の「ご」に引っかかる人がいる。この時の「お」「ご」は尊敬語ではなく謙譲語だが、なんとなく自分の行為に尊敬語をつけるか?と誤解する人は多い。次の「させて」は頻繁に目にする。貴方が命じたので的な使役動詞。こちらからお願いしたことではないケースでは妙に聞こえる。全体的に「提案します」の方がスッキリする。

話は転じて。

国語と数学は世界が違うようで、実は数学は国語表現の一つであると言う人は多い。小学校の頃の算数文章問題は数式(方程式)の空欄を埋めるための国語表現だとわかる人は多いだろうが、難解なアインシュタインの相対性理論も国語と言えばホント?。理路整然たるシナリオ(理論)を文章にすると小説に、式に置き換えると理論物理になる。数学・理論物理は長年の積み重ねで到達しているが、その間において確立した形式は継承している。

世界の巨大化学メーカーの経営者や重鎮には化学工学出身者が圧倒的に多い。化学工学は化学物質を扱うものの、考え方は数学(ニュートニアン力学で十分)だけに経営にも応用ができるのであろう。日本の経営者において数学が本質的に嫌いな人は珍しいと思いたいがどうだろうか。雰囲気だけの気合いだけのコメンテーターは淘汰され理論数理学経済学者に信頼が集まったのはなぜか。数式に裏打ちされた図表など表現が馴染みのある国語として理解されたのだろうと思う。

マナーで思い出したのは京都の和菓子。何十年も前の話だが、ある家でお茶とともに和菓子がでた。筆者はその和菓子が提供された意味を知らなかった。隣にそっと合図を送る女性がいて手が止まった。長い歴史の中で提供された和菓子には意味があったのだ。無知蒙昧と恥いった次第。それにふさわしい会話をしてから頂戴する作法だったのだ。最近関東地区で頂いた和菓子で思ったのは、甘いことが最高の贅沢だった時代のお菓子については、現在の健康志向の動きを微分して変化しないと、取り残されることになるのではないか。それが新しい礼儀マナーだとして。

人とくるまのテクノロジー展から

ブログの本題とは関係がないが、つい最近の出来事。ドアホンから宅配ボックスに間違って配達したので取り出して欲しいとのアマゾン配達員を名乗る男の声と顔が。在宅か確認せずに直接宅配ボックスに入れるのはアマゾン流なのか、配達員の対人苦手によるものかわからないが、テレワーク会議の途中であったが気の毒なので対応した。真面目な配達人に見えたが、後で考えると、宛名を見る余裕がなかっただけに、はてさて本当に間違ったのか、故意だったのか疑念も出た。厄介な品物のロンダリングだったかも知れない。即渡すのではなく、確認する必要はあったかも知れないと反省。一方でアマゾンデリバリープロバイダーの経営状況は佐川が撤退したように厳しいコスト要求を受け物流の末端まで影響している可能性は否定できないなと(あくまでも)推測した。在室確認し届ける時間は宅配ボックスがあるのなら無駄としているのだろう。物流合理化にはドライバー不足と省エネから長距離トラックの合理化には過去から種々提案があった。古くはピッギー輸送、現在では先頭車両にだけドライバーがおり、あと数台のトラックは無人・数珠繋ぎ運転方式が提案されているが実現に至っていない。

テレワーク会議に戻り、中座のお詫びをしたところ、「誤送金とは違うのか」「食料品であって食べてしまった時の責任はどうなのだろうね」と山口県阿武町の案件と重なり妙な話題提供をしてしまった。

前振りが長くなってしまったが自動車税納付期限になった。自動車税の納付先は普通車では都道府県、軽自動車では市町村になり、地方自治体としては道路に関係なく一般財源として利用できる。そろそろ見直しをしてはどうかと思う。理由としてクルマの自動運転により歩行者もクルマも安全両立するためのレベル4、5を達成しようとすると現在のLidar, カメラ等による自律型自動運転ADASでは限界があると考えるからだ。業界誌によるとV2Xに注目が集まっているとのこと。Vehicle to Everythingの略であり、Everything なので自動車同士(現在の200m程度からロングスパン)、道路からの情報(落下物・事故・工事)、瞬時の気象状況などの変化を反映させる相互通信網とデバイスが必要となる。相当前に、国交省が将来ありうる姿としてスポット試験をしたことがあったが、道路サイドからの通信に費用が重いとの結果だったと記憶している。これが欧州では実用化直前となっている。道路・通信インフラなど巨額の予算を必要とするだけに、自動車税やガソリン税を一般財源にしていることを見直ししないと遅れをとるのではないだろうか。

そんな意識で横浜パシフィコにて開催された人とくるまのテクノロジー展を見たが、ADASの改良バージョンはあった。しかしながらV2Xを思わせる展示は見たかぎりなかった。カイゼンを得意とする日本とも言えるが骨太の将来図を示して、これから背負う若い人が自動車世界を魅力あると感じて欲しい。

モーターショーより技術志向の展示会だけに技術者の参加者が多く、最終日の午前中は豪雨にも関わらず鮨詰め状態の盛況だった。多少皮肉な性格の筆者としては、展示されていない案件を探す癖がある。それで言えば、CFRPの出展が1社だけと一時のボディをはじめ軽量化の切り札としていた割には異様な感じだった。今はEV化、ADASを充実する方が優先されていることと、相変わらずCFRPのコスト問題が解消されていないのだろうと想像する。熱硬化CFRPは大型加熱炉に入れて長時間の硬化反応はコスト的に厳しい、さりとて熱可塑性樹脂CFRTPではナイロン樹脂が圧倒的に不足しているので、今すぐ対応は厳しいのだろう。CFと並んで高強度が謳い文句のセルロースナノファイバー複合材料の製品はなかった。ここもセルロースナノファイバーを自動車に適用するだけのコスト乖離が大きいことと(小生が指摘しているに過ぎないが)複合材料の靭性不足をどのようにカバーするか、実用試験を重ねないと採用しない日本風土では相当の時間と資金を材料メーカーやTiear1は必要とするだろう。

一方で水素タンク関係が4社展示されており、ジワリジワリと波を寄せつつあることを感じた。化学企業の展示は多くはバイオ材料とリサイクルに集中していた。ただ、化学会社としては化学プラントでは水素を多く使用していることもあり、合理的な水素の製造法、バイオ合成燃料の実用化に期待している。石油化学で培った触媒などノウハウは既に有している企業が骨太でやるならと期待しているが、さてどうなのか。