経産省は今年の夏は電力がショートするとして企業・家庭での節電警報を発した。特に東京電力地域は深刻とのこと。3月福島沖地震で石炭発電所が二箇所故障停電したことで綱渡状況が現在も継続していると報じられている。
知らなかったが火力発電のボイラーは約1000℃に熱せられるので線膨張で下から支えられないので、吊り下げ方式とのこと。確かに地震で揺れが来たら大揺れに揺れるだろう。綱渡がかろうじてできたのは水力発電の揚水発電、関西電力からの供給と大口企業への操業調整指示。それでも部分停電が東京で発生した。ここに太陽光発電が活躍したとは聞こえない。管内には約1400万K Wのパネルがあるが好天でも寄与率は8%、曇天、にわか雨では更に低下する。6月でも雹が降った関東地方。
一言で言えば頼れない太陽光に電力会社は一般消費者から補助金を徴収している形で不思議な構図だ。(家庭賦課金10,764円)。各種物価上昇のおり家庭の負担は厳しいところがあり、その資金があるのなら原電保安(現在はテロ対策)に振り分けてさっさと工事を進めてほしい。
全国の原電で5箇所(9基)が再稼働しているが、加圧型の関西電力(大飯)は稼働しているのに対して沸騰型の東電は稼働ゼロ。何が保安上違うのか素人には分からない。東電でも厳しい審査を経て工事が終了している原電を稼働させれば良いのだが、そうならないのはなぜか? 関西電力美浜3号が2ヶ月前倒しで運転の報を聞くとなおさらだ。
石炭火力はCO2排出で問題だというが、日本の最新の火力発電を世界に誇るCO2対策がある。発生したCO2を地下に埋設するテストも長く実施されている。かつ、製鉄における熱量を利用しての水素生成も可能として開発が進んでいる。日本は原発、地熱、石炭、水力のベース電源があるのだから、有効に持ち手を使わない法はない。安定に最近もう一つの候補が海水温度差発電。亜熱帯地区が候補だが沖縄を例にすると余剰電力も出るとのこと。ここにも予算をつけてはどうか。
東北地震の時は節電に国民は協力した。エスカレーター使わず、照明もLEDに切り替えた。現在はあれから高齢化が進んだ、階段を徒歩で上がるのは高齢者には厳しい。クーラーなしで外出を控えると熱中症にもなる。あれから7年。コロナ禍で医療設備充実が問題になったが、停電の追い打ちがあったら、それこそ大混乱になっただろう。ミニ原発に関して総裁選挙でも話題になったが、意識のない人がトップになると霧散してしまった。
政府が国民にお願いすることがクーラーある部屋に集合して暮らしてくれ、大型店での節電要請では情けない。スーパーでの貯蔵温度を見直しすれば賞味期限から廃棄食品もしくは値上げが待っている。家庭の冷蔵庫の温度にまで言及しているが食中毒が懸念される
一方、EVは停電時の補助電力としても利用できると言われてきた。停電になってもEV車からの電力で普通の住宅であれば2〜3日は持つ。だが北海道の停電事例では長期に渡ったこともあり、2〜3日の後の放電したEV車は利用できない。大袈裟に言えばビジネス・物流が止まる。IH調理の家庭は3.11東北大震災時の長期停電・節電で大変な目に遭った。基本は節電せざるを得ないと見通しがあるなら、原発を稼働させるに限る。さらにEV一辺倒でなくガソリン車も共存させるのが国体維持の基本的考えかと思う。
一種のブームでEVを生産しないと“遅れているメーカー”と揶揄されがちである。ガソリン燃費では負け、HEVも分厚い日本の技術に負け、残るはEVしか製造できない欧州メーカーが戦略的・政治的に発している背景がある。EVはエンジンより部品点数が少なく、外部からモジュールを購買すれば簡単にできるとして雨後の筍のように製造会社が出ているが、筆者はそうは見ない。最後はエンジン機構部品技術に優れた企業群がEV統合システムで勝ち残れ、ブームに乗った会社はその品質競争から撤退するのではないだろうか。その一例がトヨタ関連会社がbZ4Xに採用したe-Axle(モーター、インバーター、トランスアクスルを一体化した電動駆動モジュール)による小型化技術などがきっかけになるだろう。
クルマに限らず市場はクールで合理的である。製造できる物を売るのではなく、売れる物を売る。クルマと言えばSUVが大人気の米国においてマツダは3リッター車がなく売り負けていた。そこで直列6気筒エンジン・簡易HEVの(C X-60)製造販売に乗り出した。HEVの技術はトヨタの支援を受けているが、ガソリンエンジンについては古くはロータリーエンジン、最近でSKYACTIVEを開発しただけに面白いクルマとなっているようだ。スタート時はEVで走り始めエンジンに切り替えるのが普通。それに対して、逆にスタート時はエンジン音がする。米国人の気質を取り入れた仕込みとみた。
この事例で知ったことだが希薄燃焼エンジンでは容量が大きい方が燃費が良いとのこと。エンジンの効率を高めるにはエンジンのみならず潤滑がポイント。駆動機構のそれぞれで摩擦抵抗を低下させる必要のあるのはEVも同じ。そこが上記で表現したエンジンを追求した会社が最後はEVでも残ると言った根拠の一つだ。EV一辺倒でエンジンを放棄してしまったら、後悔することになりかねない。それが可能なのは頑張っている技術継承シニアと合理的な考えができる若者がいる日本だからこそ可能ではないだろうか。
その一例になるか。川崎重工が水素航空機の開発を発表した。エアバスなどに部品供給するとの報道。水素サプライチェーンとして出口として大胆なアイテムではあるが、そこで排出される水が核となって旱魃地域に降雨をもたらせるとなる妄想を抱かせる。大いに期待したい。