2020年 7月 の投稿一覧

超々臨界火力発電

ついに我が家の照明はLED化工事を余儀なくされた。蛍光灯の水銀問題から国内で生産中止になっていたのは知っていた。早晩、この工事が必要なことは分かっていた。長寿命で低電力消費だから切り替えをとのメーカーの声がある一方で、蛍光灯の取り替え頻度と当時のLEDの価格を比較すると、慌てて飛びつくような話ではあるまい。と構えていたのが正直なところ。

国内の家庭でのLED切り替え率は2107年統計でやや古いが55%なので、恐らく現在は60%を越えているのだろう。量販店でもLEDしか陳列していないので万事窮す。LEDが開発された当時、白色度、暖色度、寒色度などLEDの素子によって異なり、如何に昼の光源と同じになるかの競争がなされていた。 前職のショールーム(LED原料や封止材料開発)ではステーキ肉が美味しく見えるのはドッチ?的な箱をしつらえていた。 ステーキ肉を用意できないときは、手を箱の中に入れてもらうことで代替した。余程のことがない場合は“この手”で対応した。

さて、水銀問題は当然納得していたが、ビル内照明でLED徹底浸透した現在、皮肉なことにオフィスがテレワークは“がら空き”になって照明を消しているか、間引きしているところが目に付く。 極端に言えば「コロナ自粛期間、アフターコロナ新勤務状態」で電力供給が減少したり、

急に増加したりと電力供給サイドとしては表に出ない苦労があり、今でも継続しているのだろうと推定している。 おまけに太陽光発電など再生エネルギーは集中豪雨の毎日で効率が上がらない。 昼でも夜間並の発電パターンでカバーしなければならない。

 

今回のコロナウイルス罹病率・死亡者数割合いはも圧倒的に小さい。しかしながら、決して威張らない。理由が明確でない時に間違っていれば恥になる。それも反映しているのかも知れない。

しかし我が国のエネルギー政策を知らないで発言し、まして国際的な場でするのは流石に拙い。 COP25でK環境大臣がまだ日本は石炭発電を継続し、増強するのか?と質問され、答えに窮したことから、日本ダメとの印象を持たせてしまった。同時に国民にも負い目を持たせてしまった。 「石炭発電」言葉は同じでも「State-of-the-Art Thermal Power Generation」 であり、そのプロセスは「先進超々臨界圧火力発電」を旧装置を置き換えて行く。と説明すれば、興味を引いたかも知れない。 そもそも、これが何か分かっていなかったと悪いが想像する。各国のエネルギーは下記の通りで、決してキレイゴトでは済まない事情を抱えているのだ。

 

ドイツは石炭発電は2038年には停止すると発表しているが、隣のフランスの原発を利用することで成り立つ話である。 石炭も原発もやめろと言うのは暴論であることを知るべきであろう。原料が石炭であれ、液化天然ガスであれ効率が非常に高い先進超々臨界火力発電に置き換えるのが現実的なエネルギー政策である。

 

では、日本だけが先進超々臨界火力発電が可能であるかを簡単に説明しよう。

基本原理は蒸気でタービンを回す。水はご承知のように1気圧100℃で液体から水蒸気になる。超々高圧の35MPaで700℃の条件では気体のようで気体でなく、液体のようで液体ではない“臨界状態”になる。これをタービン室に誘導してタービンを回転させることで、入力エネルギーに対して48%前後の効率で発電ができる仕組みである。従来に比較して圧倒的である。 ここでは日本の材料メーカーのチカラが設計を支えていることが分かる。

即ち、超臨界状態ではタービンの金属は腐蝕が激しい。また高温・高速でタービンが回転することで、回転軸はクリープ破壊となる。 まして超々臨界状態である。そこで、この開発については平成22年から企業連合軍で分担し開発とイジメテストを繰り返した。

 

 

クリープイジメ実験のデーター例

 

 

最後に。

日本には蓄積された材料開発と実用評価技術インフラがあり、冷静に解析する技術者が日本のもの作りを支えている。 今回紹介のLEDについては企業内研究者がコツコツと開発したものであり、超々臨界タービンも同じである。今回紹介の事例で全てではないが、環境改良には、いきなりの王手はない。藤井棋聖の2億手先読みアルゴリズムを学び継続進歩を続けることか。将棋にちなんでSilver Bullet(一発で効く簡単な薬)はない。

 

3Dプリンターと都市防災

まずはこの作品を見て欲しい

 

建築モデル作成で有名な株式会社BENAの作品である。会社のある板橋地区の3Dプリンターによる都市モデル。カラー着色の3Dプリンター。首都高5号線の橋脚、道路上のクルマ、ビルの窓まで詳細に再現されていることは驚きである。1.2m四方に亘って忠実に民家も含め再現していることに驚きが重なる。3Dプリンターが出現する前は手作りの紙や粘土で作成していておりペイントも含め長時間の忍耐作業を必要としていたが、3Dプリンターであれば昼夜厭わず稼働することで遙かに短時間(この作品の場合は一週間前後と聞いているが)で仕上がっている。板橋、成増地区に詳しい人ならば、病院や区役所など直ぐに分かるだろう。そして災害があれば避難場所はあの空間だとすぐ分かる。 同社のWEBにも代表的建築物の作品があるので参照願いたい。

現在の喫緊の課題は洪水、地震、津波、火災などの被害を最小限に抑える国土・都市設計である。 対策案が発表されると地域でのヒヤリングがなされる。その時は平面図での説明であるだけに真剣味が不足していることは否めない。この3Dプリンターで例えば球磨川流域を作成して、山側から定量の水を流し込んだ場合、洪水までの時間、範囲がどうなるか、知事、住民に見て貰い理解することで、経済的・人名的損失は最小限にできるのではないか。 頭の中で想像するより、コンピュータグラフィックでプレゼンされるより、遙かに説得力がある。 都市でも昨年の多摩川越水問題。住民の景観が堤防強化では損なわれるとの反対意見があり、施工しないままになっていた。その時に3Dプリンター模型で越水すると被害が拡大することでone for allだと理解させることができたのかもしれない。

友人から信玄堤の話を聞いた。武田信玄の治水方法であるが、堤の一部を越水するようにしている。 上流からの下流への流量削減と流速のセーブの為である。 現在なら、適切なところにダムを造るand/or 切れても被害が最小限になるように河川を設計する(実際一部はなされているが)ことになる。

東京駅から皇居に向かってのデザインが随分変化した。昔は駅・大丸ビルがで~んと構えており、海からの風がストップしていたが、両サイドに高層ビルを建て中央を空けることで風がとおり、丸の内側の温度が灼熱から緩和することができた。 都市にとって温暖化とは都市発熱と風の通り難しに大きく依存する。 打ち水だけでは済まない。 3Dプリンターで作成して風洞実験して「風、熱流の流れを見える化」することで建築制約、都市集約デザインをすることで無駄な電気エネルギーを削減することができるだろう。 北区、足立区、葛飾、江東区などの東部地区の洪水問題、世田谷地区密集住宅街の防火問題などは、地域住民の個々の事情があって、中々動かないテーマであるが、その解決に3Dプリンター都市・国土モデルは有益ではなかろうかと強く思う。

因みに、和光市の理化研、商工会と3Dプリンター活用企業のメンバーが研究会を構成してソフト、ハード、材料、マシンなどのついて研究開発事業を推進している。BENA社そして筆者も会員である。(過去のブログで和光市民祭りで作品の一部を紹介したことがあるので参照願いたい。

先日。日経は「自治体の9割、浸水危険地域でも住宅立地 転出に遅れ」を報じている。

自治体の都市計画では水害や土砂崩れで危険だから「居住誘導区域」を推奨しているが、その誘導区域が危険である割合いが高いとのこと。いやはや、これでは移住したくなる動機は小さい。 仕事を求めて都会に来る。マイホームを建てるには資金面で建築する地域はあまり選べない。無理からぬところである。 東京も徳川家康が城を構えるまで人が住める場所は青梅や日野の武蔵の国。河川を付け替え、干拓をして土地拡大してきた。

最後に干拓ついでに横浜も。明治になり新橋―横浜に汽車が開通した。その終着駅の横浜は当時は海の中。東神奈川あたりから海の上を鉄橋で桜木町まで線路が敷設されていた。 6月に桜木町に新駅ビルができ、復刻実寸汽車が展示されている。みなとみらい散策のついでに寄ってみては如何でしょうか。これも3Dプリンターで製作できる日は来るだろう。

樹脂成形とジルコニア焼結に共通するものは

他山の石・対岸の火事・人の振り見て我が振り直せ・・・子供の頃から親・教師から言われきた。企業活動においても他山は参考になる。良い意味では切磋琢磨。悪い意味では他企業の失敗の轍を踏まない。 自動車は約80万点の部品からなり、どの一つに欠点があってもトラブルの元になるだけに、品質管理には厳しい。トヨタ品質管理はISOより厳しくレベルが高いことから傘下企業は勿論、材料メーカーも同様の品質管理意識が徹底している。

御三家の一つデンソーが燃料タンクの中に内蔵する燃料ポンプのインペラー(回転部品)の品質管理に手落ちがあって340万台のクレームを受けた。2200億円の損失計上して惨憺たるIR発表となった。走行中に燃料切れで停止のトラブルと報じられている。材料は燃料に強いPPS(ポリフェニレンサルファイド)。射出成形により溶融して金型に射出し冷却して取り出して製品としている。 寸法や重量などは成形毎に工程管理されているはずで、抜き取り検査として強度や複合材料の存在形態など測定している筈である。その範囲では全く異常がないことで合格品として継続納入していたと推察される。

 

PPSに限らず、樹脂は溶融され極めて小さいゲートから射出圧力で充填され溶融温度より低い金型表面温度と接触して流動して形になり、冷却時間の中で固まる。 下線部の成形の条件が常に制御されていることが必要である。 厄介なのはどれかの条件が外れていても見かけは同じ製品に見えてしまうことである。 製品の引張り強度試験では分からないのが今回トラブルの原因とみている。今回のインペラー製品は使用中に寸法が変化してホルダーに接触した。では何故寸法が使用中に変化したのか。 材料屋の目では射出成形中の残留応力・残留歪みが解放したこと、それに結晶化が促進したのではないかと思われる。 金型温度、成形サイクル、ゲート位置の取り方、冷却温度パターンが初期のころの設定から変わったのではないか気になる。

残留応力の測定は金属では広範に利用されており、トヨタ圏の企業には装置が導入されていることは知っている。が、樹脂となると導入例は少ない。

筆者は樹脂の残留応力について種々検討して解決するべき材料特性と成形条件について特許を出願し登録されている。 フルデンチャーを樹脂で一気に成形するケースが来るかどうか分からないが、その時は利用できる技術ではある。切削調整にも可能な材料としている。

歯科から将来の外科への適用では失敗は許されない。 成形サイクル短縮を軽々に適用して目の前の“合理化”を追うことは、なおさら厳しく、合理化と真逆なことも勘案して取り組む誠実さが要求される。

さて、ジルコニアである。 メタルに代わって安全性、強度、審美性に優れた材料である。ジルコニア正方晶系の結晶単体では非常に硬い靱性を高め、切削性を改良することからイットリムを2~5%配合して調整している。結晶系もイットリウムが配合されることで安定な領域を占め、広い範囲で硬さ、透明性が変えられる特性が発現された。イットリウム配合のジルコニアをプレス成形してディスク状にして販売されている。コスモサインは世界トップブランドと技術を誇る東ソーの粉末からなるディスクを単層の時代から現在の3D-proに至るまでのAidite製ディスクを販売している。切削加工したのち焼結工程を得て製品となるが、ここでの注意点は焼結温度までのステップワイズ昇温パターン、焼結温度とホールド時間、及び冷却パターンである。イットリム配合ジルコニアは焼結温度により密度が異なること、結晶粒界におけるイットリウムの存在濃度が変化することから、焼結作業には注意が必要。しかしこの重要なポイントを抑えて無駄な時間をトリミングすることで合理的な速度で焼結が可能となる。コスモサインが1月より販売開始したAidite焼結装置CAMEOにはカーボンシリケート加熱ヒータ-を採用していることも焼結作業時間短縮に寄与している。CAMEOの動画を作成You Tubeに投稿して頂いた技工所の作品をご覧いただき、是非のお問い合わせについてはコスモサインはお待ちしています。  図はイットリムの存在パターンについて(東ソー技報63巻2019より抜粋)

球磨川集中豪雨と為政者の決断

この度の熊本・鹿児島・佐賀・長崎・福岡における線状降水帯豪雨による被災に遭われた方々に衷心よりお見舞い申し上げます。 先祖代々の土地・家を守ってこられたご高齢の方の落胆・悲哀をTV等で見る度に、心が痛みます。 濁流が鉄骨製の橋を岸から剥ぎ取り流出する様は筆舌に尽くしがたいものでした。 

熊本県樺島知事は言う「ダム無し治水が悔やまれる」と。ハテサテ、どこかで聞いた台詞だとお気づきの方も多いと思う。直近では北陸新幹線・車両基地が長野千曲川の氾濫により水没した。12全車両廃棄処分。千曲川は演歌歌手がのどかに歌い上げる題名の雰囲気があり、氾濫するとは思わなかった。治水にもダムかダムに依らない方法か?と問われれば、後者が可能であれば、それは好ましいが、ダム回避決定した当時の田中知事(小説家)は後者をとったが、その結果は大被害をもたらした。 

ラグビーワールドカップの最中に関東地区は豪雨に襲われ、開催が危ぶまれたが新横浜地区は競技場の1階及び地下の巨大な遊水池に助けられて無事開催継続することが可能となった。東京も数カ所に巨大な遊水地下構造体の建設したことも精神的安定に寄与した。但し抜本的には上流の利根川の八ッ場ダムが完成してほぼ空っぽ状態だったので警戒水位を越えることはなく、下流ではダムがあって良かったとの声が大きかった。

無論、ダム無くても関東平野の水量は数センチしか上がらないとの計算も反対する人々から異議が唱えられていることは事実である。だが、昔は田んぼが保水能力があるが、都市化に伴い減少すると水の流れは(折からの線状降水帯・異常気象のせいもあって)急峻・増水になることは間違いがない。

八ッ場ダムにストップをかけたのは民主党政権時の前原国土交通大臣。地元住民の反対の声を聞いて、なるべくダムに依存しない治水をと訴えたが、妙案がなく、時間だけ無駄に過ぎ、野田政権で復活したことは記憶に新しい。 当時「コンクリートから人へ」と政権党は謳った。だが「命を守るコンクリートを悪と見なして人命を奪った」それが政治結果。 野田があの党にいて最悪を回避できたのは奇跡としか言いようがない。彼は評価に値する。 今回の都知事選挙で東京都の災害対策に具体的に触れた候補者がいたであろうか? 避難困難な荒川区、足立区、墨田区、北区をどうするのか?危険度マップはある。しかし特別警戒情報を流すだけが対策とは熊本と同じレベル。石原都政が蓄財した資金の使い方がオカシイ。金は活かして遣うべきである。

 言いたいことは大局からの視点で判断することが為政者には求められる。 海のマイクロプラスチックス云々はそれ自身取り上げるのは悪いとは言わないが、濁流で建築物や生活物質が全部海に流出することの環境破壊はマイクロプラスチックス問題を遙かに超えている。石炭発電は悪だと決めつける前に現在の日本の火力発電の効率はどうか調べた上で、水力発電のハイブリッド化を狙い、治水は何よりも人の命を守り環境問題にも貢献する。

 熊本県がダムなし治水の構想をどこまで検討したか、部外者が知らないので申し訳ないが、政治は結果責任である。悔やまれるならその前に行動するのが為政者である。会社であれば、そのような言い訳は誰も聞いてくれない。 知事が学者、アカデミズム、評論家出身は兎角結論が遅いか、方向違い傾向にある。PDCAがある(Plan Do Check Action)。口が悪い連中ならPDCAではなく、PPPPPいつまでもP)だと言うだろう。そうかもしれない。 

現在の会社でこれを信用している社長・社員はいない。 Doが先にないと置いてきぼりになる。 でも、この説をオカシイと言うなら、ソニー、ホンダ、の会社設立当時はこれだった事を考えると実は本筋なのだ。 ソニーの場合は手に半田ごて、ホンダの場合はスパナを手に昼夜邁進没頭した。

 今は、スパコン富岳もあれば、3Dプリンターがあり容易に災害シミュレーションが可能である。

筆者は和光の理化研をメンバーとする3Dプリンター研究会に属している。仲間の会社では詳細な都市を3Dプリンターで再現している。 それをみるにつけ、この3Dプリンターを急峻な日本の山岳及び扇状地帯における流水拡散状況、地盤への水の浸透モデルに利用できれば、恐らく具体的に誰にも理解できる対策案が提示でき、政策の迅速な施行ができるのではないかと考えている。如何だろうか。 

昨日、東名高速を社用で走行していたら、追い越し車線を災害救援と表示された陸上自衛隊独特の塗装された頑丈な大型トラック複数が西に向けて走っていった。思わず手を自然と振った。感謝・感謝である。

 

石鹸の驚き殺菌作用

お店によってはアルコール殺菌と検温の両方をしないと入店拒否されることがある。昨年末から6ヶ月の間、手の皮膚はアルコール殺菌、泡ハンドソープなどでの洗浄頻度が急増している。一般医院が患者激減で経営が苦しいなか、増加しているのが皮膚科。皮膚の表面が脱脂されることにより手荒れ、ガサガサ、水疱などの治療が多いと聞く。市販の塗り薬で対応するも、塗り方が適切でないと正常な部分が逆に冒され拡大するに至って皮膚科を訪れるとのこと。

こんな時に「アルコールアレルギーのお客様には******」を勧めるようなお店があれば、お客様の立場を理解しているとして、買う動機のボルテージは高くなるだろう。極端だが画一的なアルコールしか眼中にないような店には、商品やサービスを期待はしない。

筆者は注射や採血時にはアルコール脱脂綿より、クロルヘキシジングルコン酸塩をお願いしてきた。早口言葉的で最後まで言うと看護師さんの当方を観る眼が違ってくる。(多分変人だぁ!と)。注射程度で赤くなったり、痒みが発症する程のアルコールアレルギーではないが、看護師さんとの会話目的が半分の理由。脱線ついでに、採血では静脈を探すが、静脈が細いか内部に存在すると看護師泣かせで、筆者はそれに相当する。健康診断時に一発で当たると凄いと褒め、何回でも刺したり抜いたりの繰り返しの看護師には激励して、心配無用、既に赤外線を利用した静脈位置測定装置があるので何れ普及するとか、また唾液からも現在の採血に代わる分析が理論上は出来ているので、採血の腕を磨く必要はないなど会話をしながら採血が終わるのを待つ。隣では筆者が終わるまでに3人は終了している。(注:唾液からの成分分析精度は血液の1/1000なので本格実用化は先)

上記で「******を勧める」とあるが、さりとてクロルヘキシジングルコン酸塩は普通はない。それではどうするか。基本は石鹸による手洗い。手洗い動画はピコ太郎さんら芸能人により衆知徹底広報がなされた。石鹸での手洗いによる殺菌はザックリ言えば洗濯の原理と同じである。

今回の新型コロナウイルスを対象にした研究ではないが、インフルエンザのウイルスに対して普通の石鹸が非常に有効であるとの報告が北九州市立大学、広島大学、および石鹸メーカーから発表された。(引用:日経 山根真一)

インフルエンザウイルスの表面(エンベロープ=外殻)は、脂質二重膜で覆われている。つまり、これらのウイルスは1ミリの1万分の1という極微小の「脂くるみの玉」とみたてると、洗剤の界面活性剤は布に染み込んだ脂汚れを引き剥がすが、ウイルスの外殻も脂なので同じようにその脂を引き剥がす。洗濯と理屈は同じ。その様の動画がある。米国の蛋白質構造データバンク(日本支所は大阪大学蛋白質研究所)が製作したものでTVで宣伝される界面活性剤による洗濯や食器洗いのイメージと同じである。

米国の蛋白質構造データバンクが製作した動画「Fighting Coronavirus with Soap」の一部を図示した。

 

ところが、昔ながらの自然素材無添加石けんは通常のハンドソープの100倍以上の対ウイルス殺菌効果があることから、単なる洗濯原理ではなく、別のメカニズムがあると先述の研究者らは突き止めた。

自然素材無添加石鹸には「オレイン酸カリウム(C18:1)」を含有しており、ウイルスと「静電的相互作用」して棘を抜き取ることで殺菌効果が大きいと結論付けている。この結果を実験で観察するには界面活性剤が吸着するときに発熱するか、急熱するかの超微量カロリーメーターが開発されたことが大きい。詳しくは引用文献を参照されたい。

自然素材石鹸は共同研究会社のシャボン玉石けんから求められるが、日本で最初にフランスから石鹸がもたらされ国産化した当時は現在の合成界面活性剤は存在していなかったので、玄武石鹸なども広い意味で自然素材無添加石鹸に該当するのだろう。現在も玄武石鹸はあるが業務用なので、手洗いに適用は要確認。

もとより、石鹸は手の正常な脂質を除去することから、手洗いの後はハンドクリームを塗ることが必要であり、これが医療従事者にとって手洗いの頻度が高いだけに厄介である。

さりとて、樹脂製の薄い手袋を終日装着していると蒸れて異汗性湿疹になりかねないし、手袋の内面に滑りをよくするための無機フィラーが配合されていると、それによるアレルギー反応をもたらす。(手術室で使用の手袋は滑り剤は配合されていない。空中に飛散することを回避している、)

筆者はここに新しい需要がありそうだとみており、いずれの開発アイテムに取り上げている。当然のことながら歯科、歯科技工も対象としている。さて、その秘密は?