球磨川集中豪雨と為政者の決断

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この度の熊本・鹿児島・佐賀・長崎・福岡における線状降水帯豪雨による被災に遭われた方々に衷心よりお見舞い申し上げます。 先祖代々の土地・家を守ってこられたご高齢の方の落胆・悲哀をTV等で見る度に、心が痛みます。 濁流が鉄骨製の橋を岸から剥ぎ取り流出する様は筆舌に尽くしがたいものでした。 

熊本県樺島知事は言う「ダム無し治水が悔やまれる」と。ハテサテ、どこかで聞いた台詞だとお気づきの方も多いと思う。直近では北陸新幹線・車両基地が長野千曲川の氾濫により水没した。12全車両廃棄処分。千曲川は演歌歌手がのどかに歌い上げる題名の雰囲気があり、氾濫するとは思わなかった。治水にもダムかダムに依らない方法か?と問われれば、後者が可能であれば、それは好ましいが、ダム回避決定した当時の田中知事(小説家)は後者をとったが、その結果は大被害をもたらした。 

ラグビーワールドカップの最中に関東地区は豪雨に襲われ、開催が危ぶまれたが新横浜地区は競技場の1階及び地下の巨大な遊水池に助けられて無事開催継続することが可能となった。東京も数カ所に巨大な遊水地下構造体の建設したことも精神的安定に寄与した。但し抜本的には上流の利根川の八ッ場ダムが完成してほぼ空っぽ状態だったので警戒水位を越えることはなく、下流ではダムがあって良かったとの声が大きかった。

無論、ダム無くても関東平野の水量は数センチしか上がらないとの計算も反対する人々から異議が唱えられていることは事実である。だが、昔は田んぼが保水能力があるが、都市化に伴い減少すると水の流れは(折からの線状降水帯・異常気象のせいもあって)急峻・増水になることは間違いがない。

八ッ場ダムにストップをかけたのは民主党政権時の前原国土交通大臣。地元住民の反対の声を聞いて、なるべくダムに依存しない治水をと訴えたが、妙案がなく、時間だけ無駄に過ぎ、野田政権で復活したことは記憶に新しい。 当時「コンクリートから人へ」と政権党は謳った。だが「命を守るコンクリートを悪と見なして人命を奪った」それが政治結果。 野田があの党にいて最悪を回避できたのは奇跡としか言いようがない。彼は評価に値する。 今回の都知事選挙で東京都の災害対策に具体的に触れた候補者がいたであろうか? 避難困難な荒川区、足立区、墨田区、北区をどうするのか?危険度マップはある。しかし特別警戒情報を流すだけが対策とは熊本と同じレベル。石原都政が蓄財した資金の使い方がオカシイ。金は活かして遣うべきである。

 言いたいことは大局からの視点で判断することが為政者には求められる。 海のマイクロプラスチックス云々はそれ自身取り上げるのは悪いとは言わないが、濁流で建築物や生活物質が全部海に流出することの環境破壊はマイクロプラスチックス問題を遙かに超えている。石炭発電は悪だと決めつける前に現在の日本の火力発電の効率はどうか調べた上で、水力発電のハイブリッド化を狙い、治水は何よりも人の命を守り環境問題にも貢献する。

 熊本県がダムなし治水の構想をどこまで検討したか、部外者が知らないので申し訳ないが、政治は結果責任である。悔やまれるならその前に行動するのが為政者である。会社であれば、そのような言い訳は誰も聞いてくれない。 知事が学者、アカデミズム、評論家出身は兎角結論が遅いか、方向違い傾向にある。PDCAがある(Plan Do Check Action)。口が悪い連中ならPDCAではなく、PPPPPいつまでもP)だと言うだろう。そうかもしれない。 

現在の会社でこれを信用している社長・社員はいない。 Doが先にないと置いてきぼりになる。 でも、この説をオカシイと言うなら、ソニー、ホンダ、の会社設立当時はこれだった事を考えると実は本筋なのだ。 ソニーの場合は手に半田ごて、ホンダの場合はスパナを手に昼夜邁進没頭した。

 今は、スパコン富岳もあれば、3Dプリンターがあり容易に災害シミュレーションが可能である。

筆者は和光の理化研をメンバーとする3Dプリンター研究会に属している。仲間の会社では詳細な都市を3Dプリンターで再現している。 それをみるにつけ、この3Dプリンターを急峻な日本の山岳及び扇状地帯における流水拡散状況、地盤への水の浸透モデルに利用できれば、恐らく具体的に誰にも理解できる対策案が提示でき、政策の迅速な施行ができるのではないかと考えている。如何だろうか。 

昨日、東名高速を社用で走行していたら、追い越し車線を災害救援と表示された陸上自衛隊独特の塗装された頑丈な大型トラック複数が西に向けて走っていった。思わず手を自然と振った。感謝・感謝である。

 

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