2024年 9月 の投稿一覧

腸内細菌叢と疳の虫

ウェブで疳の虫が強い子の特徴は?と検索すると

落ち着きがない、走り回る、かんしゃくを起こす、キィーと声を上げるなど、「癇(かん)の強い」と言われる子どもがいます。 働きかけても拒否や反発といった行動で返ってくるため、保護者も支援者も対応に苦慮します。と回答例があった。

キィ〜の声が益々強くなり、抱っこしても、あやしても収まることがない。こうなると、電車移動中に発生すると降りる必要のない駅で途中下車することもあると聞いた。親になることは実に大変だ。男親も育休をとる背景が理解される。とても母親だけに任せるには行かない。 いつもニコニコしている幼児もいる。そうなると両親のほうで癇癪持ちはそちらの家系、ニコニコはこちらの家系と押し付けが始まる。

その解決策として疳の虫封じの神社、お寺にお参りなどするところがある。多分遺伝のなせる技だと思いつつ。

ところが9月6日京大・阪大のリリース記事によれば「幼児期の気質は腸内細菌叢と関係する―心身の健康づくりを生後早期から始める取り組みを目指して―」とある。

要旨を引用すると

3~4 歳の日本人幼児284 人を対象に、気質と腸内細菌叢の関連を検討しました。その結果、不快情動の表出や、新奇な環境を積極的に探索接近する特性は、腸内細菌叢の構成の違いや多様性と関連することが明らかとなりました。

腸内細菌叢の構成の違いに寄与する腸内細菌を調べたところ、炎症の誘発に関連する菌(e.g., Flavonifractor、Eggerthella)や抗炎症作用に関連する菌(e.g., Faecalibacterium)が、幼児期の気質と関連をもつことが示されました(図1)

さらに引用する。

腸内細菌叢は、免疫系や内分泌系、自律神経系を介して脳と相互作用しています。これを「腸内細菌叢―腸―脳相関」といいます。成人を対象とした研究では、腸内細菌叢の多様性や構成が、精神疾患や認知機能の低下と関連することが示されています。ここで重要となるのは、個人が生涯もつことになる腸内細菌叢の原型は、生後3~5歳頃までに安定化することです(Roswall et al., 2021, Stewart et al., 2018)。この時期は、がまんなどの感情制御や、推論、記憶、イメージなどの認知機能の中枢となる前頭前野が著しく発達する時期でもあります。この時期の前頭前野の発達は、成人期の健康状態や社会経済状況を予測することも知られています(Moffitt et al., 2011, Richmond-Rakerd et al., 2021)。

成人まで影響とは驚くが、高齢者の突然キレる、奇妙な行動をするのも幼児返りではないかと筆者は考える。今回の京大・阪大の研究成果を庶民レベルではどうするか?癇癪を起こしにくい腸内フローラを増やすための有効的な方法はいずれ見つかるだろうが、今の段階では普通の腸内フローラ増加事例を挙げる。

  1. 食生活の改善 (食物繊維 発酵食品 オリゴ糖)を摂る
  2. ストレスを軽減する
  3. 睡眠をしっかりとる
  4. プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメントを検討する
  5. 定期的な運動
  6. 禁煙

現役リタイアの高齢者は1、2、3、5、6が欠如しやすい。4を購入する費用もない。さて、どうする?

CO2濃度と眠気

9月中旬なのに暑い! エアコンは終日夜間も稼働しているが、つい換気には“せっかくの室温がもったいない”意識が働く。フルオープン窓換気頻度は少ない。

知人がパソコンなど作業部屋(8畳・一人)のCO2濃度を時間と共に変化するかをチェックしたことがある。彼によると相当速くCO2濃度が高くなる結果を得ている。次のとおり。

「マンションの24時間換気を作動下において8畳(ベッド、本棚、机の体積分は減る)においては、一人が居室すると、6〜12時間程で凡そ1000〜2500ppmに上昇。窓を開放しても4時間程換気しないと500ppm以下(正常値範囲)に戻らない。

再度、窓を閉め密閉するとこの繰り返し。センサーのマニュアルに記載されている二酸化炭素濃度は、500ppm以下:正常 500〜1000ppm:注意 1000〜2000ppm:危険」。 彼から特に注意されたのは「自動車空間は狭いので窓あけ換気をするように」とありがたいアドバイス。

室内でのパソコン作業効率が低下すると、コーヒーによる覚醒とついでに糖も摂るが、効率の波が低い方向に次第に収斂して最後は睡眠に誘うことに。皆さんもきっと経験がおありだろう。

それがCO2の所為なのだとの文献がリリースされた。東北大学9月3日発表『健康なボランティアの睡眠潜時に対する二酸化炭素曝露の影響: ランダム化対応クロスオーバー研究、睡眠潜時反復検査による証拠』

内容を極めて大雑把に引用する。

1)建築物環境衛生管理基準では 1,000 ppm 以下、事務所衛生基準規則では 5,000 ppm 以下に抑えるよう基準値が定められている

2)実験として、日中に 2 時間毎に 4 回行われる、各 30 分の検査中に 5,000ppm(注 2)という比較的高い二酸化炭素濃度にさらされると、日中の眠気が顕著に強くなることが示された。

さて、対策となると

・観葉植物の設置。サンセベリア、ポトス、ドラセナが比較的CO2を多く吸収すると言われているが5000ppmは無理。

・空気清浄器の稼働。 活性炭フィルターやHEPAフィルターによるPM2.5はキャッチするが、濃度センサーはNO2、CO2はあるものの、センサーであり吸着・吸収機能はない

・CO2は弱酸性なので、化学屋さんならアルカリ化合物をおいてCaCO3などへの転換を考えるだろうか。

 

などあれど窓を開けるに越したことはなさそうだが、冒頭の知人の実験では短時間に換気はできそうにない。

そこで以下の条件で計算してみた。

6畳部屋・窓1つ(1m平方)でCO2が5000ppmであるときに窓を開ければどの時間で外気CO2濃度と同じになるか? (換気率1回/時の条件)ざっくりの計算は76時間。当然ながら室内温度=外気温度となる。確かに“せっかくの冷えた部屋の温度面では損”。換気率を上げるには追い出し(反対側の窓空け、扇風機、換気扇の併用)が必要となる。

そして、その間はショート散歩を入れるのが仕事効率アップに良い。筆者の場合はショートどころかロングが問題ではあるが。それと知人の自動車運転時の換気は、車外の音を聞くことによる眠気防止にも役立つことから注意は非常に重要だと再認識した。

地震予知への一歩になるか

国勢立て直しになるのか自民・立憲両党の党首選挙が本格的にスタート。ぜひ政治屋ではなく政治家らしい議論により選ばれて欲しい。このブログでは政治的な案件にタッチしない。ただある候補者の演説予定される駅前では前日から下部議員の演説と大量のビラ配りを手に多くの運動員が活動しているところをみると、党首選直後の解散ありきだと政治に疎い者でも理解した。

一方、地上の出来事は眼に見えるが、地下、深海の動きはわかりにくい。

無茶ぶりだがAIに次の地震はいつ、どこ?と質問すると。南海トラフ、首都直下、千島海溝・日本海溝周辺海溝型地震。いつは予測不能。だから家具固定・防災グッズが大事と常識的な返答。

しかしながら、地震ドジョウ説を半分は信じていた江戸時代の人は自然観察力に鋭い神経を持っていたのでは?と想像している。偶然かも知れないが、能登半島地震が発災する前年の越前カニが不漁の一方で能登半島沖のカニが前代未聞の豊漁だった。越前カニ同様美味しさは変わらなかったが、毎年送ってくれる人から何かオカシイ?とのメッセージ。そして正月の能登半島地震。偶然かも知れないので断定はしていないが何故かモヤモヤしていた。

そのような時に9月2日筑波大学のプレスリリースは驚きを持って読んだ。タイトルは

「有馬温泉直下の地下深部洪水が阪神淡路大震災を引き起こした可能性を発見」

 リリース要約は

 過去半世紀以上にわたる有馬温泉水の水素・酸素安定同位体比および塩素イオンのデータから、その直下で沈み込むフィリピン海プレート由来の水が 1994 年頃に地下深部で洪水のようにあふれ出し、それが1995 年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の引き金となった可能性が高いことを見いだしました。

 温泉水は海プレート由来の水と雨など天水の混合物であるが、通常であれば雨水などにより海プレート由来水の割合が減少するところ、7つの温泉では急激に海プレート由来水が増加している。そのタイミングが地震の引き金ではないかと述べている。

筑波大では

松代群発地震(1965〜67 年)でも松代温泉においてフィリピン海プレート由来の水を多く含んでいることを明らかにしており。温泉水のモニタリングによって、地震の発生を事前に予測できると期待されます。と締め括られている。大部分を割愛しているのでご興味ある方は本文を参照して下さい。地道な筑波大活動にスタンベーション拍手。

 

おそらく温泉関係者は水質検査記録や硫黄や塩素濃度変化は鼻で? ラドンの濃度変化は湯上がりで?感じていたのかも知れない。日本全国温泉が多く存在することを生かして地震予知参考記録として言語化して残してほしい。測定→表・図の自動作成→異常値アラームなどはAI処理が利用できるはずだ。 宇宙からの日本国土の移動情報と合わせると予知精度は向上することが期待できる。

焼き海苔、やま芋で認知症改善?

近くのスーパーに日頃より少ないが米袋が積まれている。米騒動は終焉したのだろう。一方で駅構内の映像パネルには食中毒に注意喚起が目立つ。先週のブログを見ていたかのようなタイミング。うなぎ弁当中毒の地域であれば、尚更なのであろう。それを見ながら会食場所に集合した。

加熱処理条件を満足しそうなメニューを選びつつ、脳・肝臓にとってご迷惑であろう液体で乾杯。フロアーのあちこちからご満悦な声が充満。なんだかんだ言っても幸せな日本。

メンバーの関心はこれから高齢に向かうとあって食事と健康の話題で盛り上がった。

健康診断を機会に塩分管理をきっちりしている人。トータル6g以内に収める工夫を熱く語ってくれた。別の人はりんご酢の効用を語る。きっちり守るご褒美に好物のあんぱんを食べるとか疑問符付きの愛嬌のある人。それぞれだ。

その話の流れの行き着くところは「日本古来の食事と近年の食糧事情による食事の変化」が話題になった。15,000年に及ぶ縄文時代、後半から弥生時代に稲作となり日本人の食事がある意味固定した。米、野草、魚、貝 の組み合わせ。それに対応する胃袋、腸に存在する菌種も決まった。 海外原産地の住民にとって良いものが日本人に合うとは限らない。具体的に記載すると差し障りがあるのでカット。

ではこれから食欲の秋になったら何が好ましいのか? の話題になったので、このような文献があると紹介した。

1つは「ジオスゲニン高濃度ヤマイモエキスは 軽度認知障害および軽度アルツハイマー病の認知機能を改善させる」 富山大学が8月26日にプレスリリースしたもの

山芋エキスを24週間65歳以上(平均73歳)の人を2グループに分け、偽エキスを与えた方と比較したところ、山芋エキスグループは認知症改善した人が多かったとのこと。詳しくは元文献を参照していただきたい。

2つ目は「海苔のもつ抗酸化作用 ~季節変動と加工工程による増強を発見」名城大学が7月26日にプレスリリース。要旨を引用すると

  • 11 月/12 月に収穫される秋芽網の初摘み海苔が高い抗酸化作用を示した。
  • 生海苔を加熱して乾燥、焼処理を施すことによって抗酸化作用が増強された。
  • 増強された抗酸化作用はフェノール類化合物の増加によるものだと推定された。
  • 海苔の加熱処理により付加価値がプラスされた食材開発や調理方法提案への貢献に期待。

焼き海苔でフェノール類化合物がどのような機作で増加するのか、是非分析をお願いしたい。フェノール類は熱や光により発生した過酸化物と反応して酸化劣化を抑制し、自らは役目を終えるのが普通だが、加熱して増加するのは面白い。採取時期とフェノール類化合物データ、焼き工程で増加の実験データを引用する

 

 

 

 

 

 

 

偶然に山芋と焼き海苔の情報を思い出したが、心の中では「とろろマグロ丼」「とろろ蕎麦」が浮かんでいたはず。そこには海苔もMVPの一角を占めている。とろろマグロ丼が麦飯であれば完璧栄養メニュー。とろろ、オクラ、海苔の組み合わせも付け出しに良いと結局は某液体の量が増えるメンバー。明るく笑うのも健康の素で勘弁してくれるであろう。