カリフォルニア州は山火事が多い。炎が家を舐めるように焼失させる光景を良くTVで見る。州知事は気候変動が原因であり、その主原因は自動車排出炭酸ガスによる温暖化であると断定し、2035年の自動車は炭酸ガスゼロのクルマで無ければならぬと主張。日本も気象変動を受け温度は高いが山火事は少ないので自動車排ガスで山火事ホント?と疑いたくもなる。尤も、湿度は日本は高い。森林での水蒸気量(蒸散)の差=土地が含む水量が強く関係しているのだろう。小学校か中学校の地理でカリフォルニアの水源はシェラネバダ山脈の水源を延々と引いていると習った。水不足気味気味の土地なのだ。また作物もワイン向け葡萄とあって水分を果実に取り込む。つい自動車による炭酸ガスを主原因にするには気の毒だと思う。
だが、カリフォルニアに同調する州が11もあるので、自動車メーカーも動かざるを得ない。筆者が州知事なら森林から山火事は発生するものとして、居住を森林から10km離れた土地に限定するような措置をとるのだが。
ついに来たか!
欧州のクルマはディーゼルゲート事件があってEVに振っている。筆者はこのブログにおいて、ドイツのもの作り企業群がエンジンを頂点にTier 1,2,3と構成されている国柄では雇用維持面も含めエンジンを無くしてEVに転換するには抵抗が大きいのではないかと記載した。どうやら、その動きが見えてきた。灯油・ガソリンの化石燃料を燃焼させてCO2や窒素酸化物を排出するなら、化石の代わりに水素を燃焼させる「水素ディーゼル」をさせれば良い。単純な理由は別にもある。即ちEVはとどの詰まり中国にPHEVは日本に対して競争力がないこともありできるなら回避したいことが根本にある。だが、EVもPHEVも安心できないことは2030年以後はクルマ作りにはLCAが適用されること。(Life Cycle Assessment)にある。EVに使用されるレアメタル(Li,Co)の発掘、精錬工程に消費されるエネルギー(発生するCO2)もクルマ製造過程エネルギー(CO2),そして走行時のCO2の全部をトータルしてのCO2量が規制される。 現在はtank to wheel (燃費)、これがwell to wheel になり、2030以後はトータルLCA。話は飛ぶが自動車軽量化を目的としてボンネット、フェンダー、ドアパネルの外板はアルミに替わっている。そのアルミは実はボーキサイトの採掘から精錬までの環境負荷が極めて大きい。かつ、アルミニウムは不純物を嫌うのでリサイクルは制限される。自動車では鋳物にダウンせざるを得ないが、その用途も自動車ではもはや少ない。外板を樹脂で成形した方がLCAからみた環境には良いと思うがどうだろう。
話を戻して、クルマに詳しい人ならば、マツダがロータリーエンジンを利用して研究開発していたことがあることを覚えたおられよう。2000年に開発をしていた。
欧州ではBMWが同じ頃ロータリーではないディゼルエンジンを水素燃料適用の開発をしていたが中止した。最近はボッシュが水素エンジンに関して開発を進めている。(日経Xテック8月3日号)
技術面で最大の課題が、過早着火(バックファイア)†と冷却損失である。水素エンジンの冷却損失が大きいのは、水素混合気の層流燃焼速度がガソリンの約7.6倍と非常に速く、水素燃焼火炎が燃焼室壁面に勢いよく衝突してしまうからだ。バックファイヤーの研究をしていたのが武蔵工大(現:東京都市大学)の元学長で古浜庄一氏。精力的に水素エンジン車を研究していた。(1970年)。再び話題は現在の学術会議のテイタラク。当時に50年後の環境を考え、武蔵工大に大型科研費を出すように進言勧告したことがあるのか? 当時のオイルショックがあろうが長期的視野で学術は進歩させるべきである。
欧州で水素ディーゼルを手がけたBMWは現在何を注力しているかと言えばe-fuelである。水素と炭酸ガスをフィッシャートロプシュ法で反応させて炭化水素(ガソリン類似化合物)を合成を試みている。化学を知らない自動車メーカーらしいが筆者は、到底経済的に合わないプロセスでありフィッシャートロプシュ法で消費するエネルギーとのバランスを欠いている。無理してでも現在のエンジンに拘っている証拠ではある。
自動車メーカーではなく化学メーカーの冷静な判断に委ねた方が好ましい。
欧州の自動車メーカーはe-fuelをありたがって担ごうとしている一方で、パーツメーカーのボッシュが水素エンジンをの研究開発していることは面白い。将来の水素ディーゼルエンジンはガソリンエンジンを凌駕する目標を置いている。水素燃料電池の水素より純度が低いようなので現実的なソリューションかも知れない。
期待したい。マツダ頑張れ! 本来の研究のあり方の手本を示して欲しい。日本技術再興だ!