小学校の頃 社会見学でセメント工場に行った。近くの山から石灰石を取り破砕したのち大きなクリンカーで混合焼成。その規模に驚いた。今はリサイクル原料や鉄鋼・火力発電での排気物も混合した環境対応セメントになっている。しかしながら、CO2ガス量が非常に多いことからカーボンニュートラルが迫ってくる中、ビジネスとして成立するか怪しい。
世界で排出されるCO2の15%はセメント製造工程だとの報告がある。(2023.12.11 国立環境研究所)。時あたかも経年劣化の建築物問題があり、セメント需要は増えることが予想される。鉄鋼業も然り。水素やアンモニア還元法が取り入れつつあるが、これも全体から見ると微々たる量との指摘もある。
単に、供給量が減少するだけですまない。土木建築業に携わる業界および人問題にもつながるからである。昔流行った歌ではないが「セメントなければビルも道路もできゃしない』に替え歌になるかも。 鉄鋼・コンクリートに代わって木造の高層建築も出てはいるが、その木材は今でも不足。森林伐採に制限がかかると圧倒的な木材不足となる。
竹がピンチヒッターとして登場するかもしれない。今までは九州を中心に竹林の被害があるが、竹の活用量とのバランスが取れないでいる。侮れない救世主になるか。竹なら2〜3年で成長は頭打ちになる。木材より加工は面倒だが合板として部分的な代用は可能。昔は竹を6〜8分割としてラーメン構造の網状にして塗り壁の基材にしていたが、職人さん不足もありプレハブ軽量無機材料発泡ボードに代替された。これの見直しもあって良いのかも。紙と木で日本住宅はできていると欧米から揶揄された日本建築。見返してやりたいものだ。
建築では鉄鋼は必須だが、コンクリートのアルカリ成分と長年接触し、そこにコンクリート内部結合水や雨の浸透により錆が生成すると補強材としての役目が果たせない。エポキシで被覆するとコストが高くなり、かつ冬場の鉄骨折り曲げに作業においてはクラックが発生する。
ということで小生ならば広い温度領域および耐水性が高い樹脂材料の被覆をすることで長寿命の建築体になるようにしたい。設計でケチると建て替えのリスクもある。入札では安い方が採用される。だが初期値価格は高くても長く使い続けることで減価償却を超えて利益となる。製品の長寿化もカーボンニュートラルに貢献するはずだ。なんてことはない「安物買の銭失い」は今こそ認識すべきではないか。
日本の気象観測衛星は地球のCO2濃度などを観測して個人でも見ることができる。6時間ごとに更新されている。そのほか温度、PM2.5 雨、雪などの情報を静的および動的に見ることができる。日本もCO2排出量は誉めたものではないことを認識した上で、日本人は発言したからには逃げないでしっかり実行する。それも国としての商品価値を高めることになりはしないか。
今回はセメント・鉄鋼と国家として太柱業界を取り上げたが、ここにCO2ニュートラル技術革新を織り込むにしても極端なことで業界がシュリンクすることは避けたいところ。そこはチーム日本、チーム世界として他の分野でカバーをすることも必要かと思う。ディーゼル不正から極端にBEVに走って道半ばで一息ついている様を見ると、じっくり多方面から考え準備することが重要だと思う。
藤井聡太さんの八冠は立派。定石にない手を思いつくことに感心するするとともに、どのようにして神の手を生み出すのかに関心があった。劣勢から形勢逆転するには一気ではなく、色々なルートでジワジワ攻略する。そこにCO2問題は学ぶところがあるのではないか。日本には幸なことに多くのネタがある。ネタを料理するのが政府であり民間企業。知恵を出すのはもちろん我々。成果は後払いでも結構の精神? それも良いとして良い年を迎えましょう。
本年もブログをお読み頂きありがとうございました。