2022年 9月 の投稿一覧

ささやかな地理の愉しみ

以下の内容は日々の出来事を淡々と書いている軽さなのでご勘弁を。

さて、

なぜか駅や道路でよく尋ねられる。逆に尋ねられない人を想像するに、イケメン、美人、高い身長、ビシッと服装が決まっている、紳士淑女の雰囲気の人には気後れするので聞けない。筆者はどの一つも該当しないので尋ねやすいのだろう。若い人ならスマホで検索することで対応することができるが、そうでない人も結構おられるのだ。

先日、あまり利用しない田園都市線のホームに立っていたところ、目を不自由されているご婦人から「次の電車は宮前平に止まりますか?」と聞かれ、次の6分後の普通に乗車してくださいと返答し、幸い当方も急がなかったので急行を見送り同行した。宮前平駅は川崎市で全国区的に言えば二子玉川と多摩プラーザの中間に当たる。

別の日、北海道物産の行商をされている人に溝の口に行きますか?と聞かれた。 デパートの特売場で1週間〜10日間の移動販売をされているとのこと。いつもの定宿から、今回は溝の口を指示されたとのこと。たまたま、当方はその街に行く目的があったので同行した。

全国のデパートを次から次へと移動は「寅さん」のようで、そんな雰囲気も見えてきて面白かった。寅さんと違うのは、3ヶ月分の物産展スケジュールが決まっており、路線案内のコピーもファイルされている。寅さん恋人のリリーさんがいないのだろうか。初めての土地には戸惑っている。それで尋ねやすそうな雰囲気の筆者に聞いてきたのだ。移動中しばし特売に関わる裏話などを聞いた。デパートが無くなり活気が失せた街。同時にこの人の仕事も影響を受けたとか。でもちゃっかり商品のPRをされて、筆者の住まいするデパートの日程での再会を約束して別れた。

横浜、埼玉、千葉の住民は外部からの流入組とあって自分の土地より東京23区の方が圧倒的に詳しい。東京での活動には縦横無尽蜘蛛の巣のような路線・道路事情を頭に入れておく必要がある。スマホの地図を見ながら乗り換えや見ながら徒歩移動は見栄えがよろしくない。

一方で、地理に少し明るいと思わぬ効果がある。例えば展示会には大手企業から中小企業、外国企業がブースを設ける。各地から集合していることもあり馴染みのない土地からも参集する。

デンマーク関連のブースで会社の資料を見ずに安城ですか?と質問したところ「その通り!日本のデンマーク」って言葉を安城以外の人から聞くなんて・・・と妙な感心をされ、一気に初対面にも関わらず旧知の仲になりスムーズな話題に展開。

次に面白い包材を展示する会社があった。名前の一部が埼玉の都市の名前だけに、てっきり本社は埼玉だと思って聞いたところ、摂津と返答。お客さんから摂津?それ何処?と聞かれ、関西で摂津といえば説明するまでもないだけに、他所の人への説明は意外に難しい。摂津は吹田と茨木に隣接して・・と説明しても、今度は茨木が茨城にイメージが飛んで????の人が多いらしい。筆者はダイキンがありますねと話すと、「そこです、ダイキンの前です」とやっと分かってくれた人だとして、ここでも一気にくだけた仲に。次期商品の開発について具体的な打ち合わせをすることになった。地理というか土地勘はこのような効能はある。スマホを開いて「大阪ですね」では熱が伝わらない。阪急相川駅・正雀の雰囲気、千里ヶ丘などの空気感を共有できることがポイント。

子供の頃、地図を眺めるのが好きだった。行ったことがない所だが何故か気になる都市のいくつかがあった。入社しての初勤務地が正にその気にしていた都市だった。何かの系に導かれているような感じがしたものだ。そう考えると出張で初めて訪れたところでも、将来に向けての必然性があると思うと印象に残る。たとえその時は空振りであっても、縦横無尽蜘蛛の巣の中での社会活動において後で有効な交錯点であったと思うだろう。

最後は柔らかい話題。横浜みなとみらいを歩いていた時、Nissekiは何処ですか?と英語で聞かれたので、 Red Cross Hospital …と話し始めたが、首を傾げるばかりで通じない。日赤病院への行き方を教えようとしても、先方は戸惑うばかり、よくよく聞いてみると「日石」ビル。で大笑いしてビルまで同行。ささやかな国際交流も また楽しからんや。

経営理念比較

京セラ設立、KDDIからAUへ拡張、瀕死のJALを再建された稲盛氏が逝去されたとの報道を受け、メデイアは一斉に同氏の活躍、とりわけ経営理念について紹介されている。鹿児島大から松風に就職されての独立は歯科関係者として縁を感ずる人もおられよう。

稲盛経営12ヵ条、六つの精進、従業員をやる気にさせる7つのカギなどはなるほどと思いつつ、なかなか実践するとなると厳しいと思うのが正直なところではないか。これらはWEBを通じて詳細を知ることができるので、あえて記載しないが、側近や指導を受けた方々のエピソードが面白く役に立つ。

その一つが接待は牛丼。大事な相手であれば、それ相当の格式のある場所で、それなりの費用を負担しての接待が普通。だが有楽町の吉野家が定番とのこと。偉くなられた人だから、時間を共有してもらうだけで光栄と思うレベルに到達していればこそであり、そうでなかったら「あいつは世の中を知らない、ケシカラン!」と怒るだろう。

きゅうりを買う時のエピソードも思い当たるところがある。数字は忘れたが、10本300円を買うか2本100円を買うかの選択では、後者を選ぶとのこと。将来利用するかどうかわからない設備に投資する方よりは現在の設備の合理化を徹底することが収益につながる。確かにその通りだが、大型設備をすれば仕事が来るとの考えは昭和40年までの話だが、案外今もこれに囚われている経営者は多いのではないだろうか。

中小企業の経営者が稲盛氏に状況説明した「全部借入金で設備を新設する」。それを聞いて、借入金はやめなさい。自己資金で賄える範囲が好ましいと説得した。確かに右上がりを期待しがちであり、自社の技術を強く信ずるほど、そうなりがちだが、稲盛氏は右下がりの確率もあることに注意が必要と諭されたとのこと。その後の相談者の会社は自己資金率の改善を図ったとのこと。

経営者だけでなく技術者は技術に惚れ込むところから何倍も期待値を高く持つところがあるので、仲間内だけでなく冷静な判断をする人と知り合っているかどうかがポイントとなる。幸い、筆者にはありがたいことに以前の上司だったF氏がおられる。何度か救われた。

筆者が知る京セラ勤務の人は転職組だがスキルもさることながら、人柄が良いことで社内にて重宝されそれなりの立場になった。決して給料が高い会社ではないが、更なる転職する意識はないとのこと。

人柄が良くて周りから頼りにされるほど、新しく未知の分野でも勉強して頑張ることを経営者も見てのことだろう。12ヵ条には努力する・燃える闘魂など精神面の文章もあるが、どこかの会社と違ってギスギスしていない。それだけに闘魂の文字はあるがジワジワと心に浸透して、いつの間にか有益な人材になるのだろう。あの笑顔も触媒効果が大きいのだろうと思う。上述の筆者に対するF氏。よく聞けば厳しいコメントであるが、笑顔と相溶化し、微細にコメントを微分することで、心に浸透溶解させてくれる。

笑顔(明るい姿勢)は良い成果をもたらせてくれる。コスモサイン加藤社長も笑顔が素敵な人だ。

さて、タイトルは経営理念比較である。「比較」に何を持ってくるか、相当規模の会社で社会にインパクトのある会社となると(例えば)今話題の会社の○通になる。その社員行動規範はWEBでは見ることができるので。興味ある人はチェックされたい。女性社員が自ら命をたたれた会社の背景や、今話題の案件で疑惑がもたれている(現段階ではあくまでも嫌疑止まりなのでブログでは、それが目的ではないので取り上げない)

1952年当時の社長が作成されたものであり、今なら彼を責めることもあると思うが、当時は戦後の闇市が幅を利かせていた時代。空襲で焼け野原になったが土地区画帳簿も消失した当時はどうなったか? 成金が跋扈し、腕力のある人物が区画を勝手に拡張して杭打ちをするような乱暴狼藉が罷り通ったところもある。

そんな社会背景があり、生き残るためには悠長なことは言っていられないとして、この行動規範ができたのであろうと解釈していた。だが、残念なことに改定し現代バージョンにしなかった。改定文章はたとえあったとしても経営陣のDNAは受け継がれていたものと推定できる。

経営理念の改定と徹底が待ったなしであるが、社員がそれに遵守するかどうかは経営者の哲学を見ている。その意味で稲盛氏の六つの精進とは非常に重要だと思う。ここにネットから抜粋しておく

 

電力・コモディティ物価

幕張メッセに向かう京葉線に乗り込んだのはいいが、車両間のドアの隙間にリュックの紐が挟まった。ドアの開閉にお手伝いしていただいたご婦人とお礼挨拶をかわし、最近の物価高について話題が転じた。6Pチーズが薄くなった、納豆は豆の量が減った、野菜の代わり?にもやし利用の新メニューなど。納豆はピンキリだが、売れ筋は98円が最も売れている。最近、つゆ、辛子パックを無くして49円の納豆もある。さすれば50円ぶんがあの味付けパックだったのか?と妙な驚き。この物価高をやり過ごすには経験豊富な主婦はできるんだからと色々面白い話をして頂いた。米国のインフレ対策のために円安に触れてはいるが、このご婦人のノウハウで乗り切れるかも知れない。

そんな中FBに面白い図を紹介した人がいた。欧州の8月末の電気料金(円に換算)である後述の資料によれば昨年同期比でドイツは213%、フランス451%ととんでもないことになっている。この図ではイギリスは記載ないが147%。水力発電の多いスエーデンは増加率が小さい。

ドイツはロシアからの天然ガス停止によるもの、フランスは原電の冷却を河川に頼っているが渇水問題で運転できない理由による。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、興味は電力以外のコモディティー商品はどうなっているのか?である。先物買取引をしない限りこのWEBにアクセスすることはない。

https://tradingeconomics.com/commodities

結論を言えば、この統計データからいろんなことがわかる。エビデンスに基づくのであって、誰かの受け売りでない自分の考えを持つことができる。古い考えを改めるにも良い資料だ。日、週、月、年別の増減率が表示されている。(数字は9月9日のデータ)

エネルギー別、金属別、農産物別、鉱工業別、酪農商品別、商品先物指数、そして電力各国別である。眺めているだけで30分は有益な暇つぶしはできる。

冒頭のご婦人の納豆(大豆)は対前年+16%だが小麦粉の+26%に比較すればまだ軽傷部類。納豆の豆を15%減量すればトントン? それよりつゆ辛子パッケージ抜きだろう。小麦はウクライナ侵攻を直に影響している。

コーヒー、オレンジも+25%だがこれは寒波・旱魃など異常気象による。変動が大きいものはバター+79% 、ポテト+52% コーン+39% とモロあの食品が影響を受けそうだ。鉱工業では意外にも瀝青(アスファルト)が+48%。最近の道路修復ではアスファルトは珍しくなっているのと一致か? 同じ表の石油化学原料のナフサがマイナスだけに、コンビナートからのアスファルト生産量も減少とリンクした。

一方で、昔は戦争になると弾薬製造のため銅、鉛が高騰したものだが、約20%ダウンしている。これは意外だった。今や電子戦で命中率が高いので「下手な戦車砲も数打ち当たる」時代では無くなったのか〜と。もしくは在庫処分なのか。リチウムは+256%と大きく値上がり。EV競争を背景に伸びているものと容易に想像できる。歯科でも問題のパラジウムは依然として高止まりだが、ロシアが産出国だけに厄介だ。パラジウムはクルマ排ガス触媒に多く消費されているので、歯科としてもそれに影響を受ける

金、銀の貴金属は戦争や経済危機になると高騰するが、いずれも直近ではマイナス。おかしいなぁと金の価格推移を田中金属のHPで見ると前年同期で+32%と平時の変動よりは高いもののこの32%はウクライナ侵攻に関してもシナリオが出来つつあるのかとも読める。また銀の落下率が−21%と大きい。これは何を意味するか、考えると面白いのではなかろうか。銀については写真がフィルム時代には富士フィルムだけで世界の1/3〜1/2を消費していたが、今は抗菌材料として利用されているので量は減少している。時代の変遷を見るようで面白い。気がつかないところで大幅に高騰しているのが肥料(尿素、ウレアアンモニア)で+78、+115%である。もっと気がつかないのは米の+31% 日本の米作りは儲かる環境にあるのかも。さすれば工業化もありうる。

経済についても門外漢の筆者。日本や某国は財政破綻しそうだとSNSやワイドショーについてコメンテーターが煽っても、ネットでCDS (Credit default swap)を見に行けば実態がわかる時代になった。200,400を超えると警戒領域と言われているが中韓も巷間で言われるほどの深刻なレベルにはない(6月までは)。だがロシアは世界の経済封鎖で10,000と桁外れ。これでは国体維持は厳しいだろう。貿易統計にも乗ってこないので物価は想像するしかないが連動はしているはず。冒頭のやりくり上手のご婦人は習志野市のプールでひとお泳ぎするとのこと、厳しい経済事情を泳ぎきる術をロシアに教えてあげては如何だろうか。

樹木剪定伐採・CO2循環

街では台風シーズンに備えて、樹木の剪定伐採風景が早い時は6月から開始され8月末まで、あちこちで行われている。中には頂点に僅かな葉を残して丸坊主のような伐採も、刈り込んだ枝葉が地面に山積みになっていると、炭酸ガスを吸収して酸素を出す役目をしている植物に対して思いやりがないなぁ〜と思う。葉の数が見た目で10万分の1にまで減少した場合の炭酸ガス吸収や葉の表面から蒸散する水の量、結果として根本から吸い上げる水の量はどうなのかな?とその場所を通るたびに思っていた。尤も倒壊して被害が出るのは避けねばならないのは当然であるが、素人目にも丸坊主・枝もほとんどない状態までする必要があるか? 業者都合の部分はないだろうか。

先日、東京都産業技術研究センターでの打ち合わせまでの時間調整のため併設図書館で雑誌をザッピング。そこに森林総研発行の「研究成果選集2022」の中に、疑問の半分を解消してくれた記事があった。研究成果を3つにまとめてあり、1)大気中の炭酸ガス濃度が上昇すると樹木からの蒸散量が減る 2)樹木が水を利用する効率は上がっている。3)蒸散量は樹木の成長とともに増える。 このうち1、2)には驚いた。言われてみると納得。

炭酸ガス濃度が高ければ炭酸同化作用の式に当てはめれば、製造量に合わせた炭酸ガスであれば良いこと、水も然りである。葉の表面の気孔の開口率を高くしないで、絞っていても十分だと。でも丸坊主に近い剪定というより伐採は樹木に過剰なダイエットを強いているようでいいのだろうか? 3)では樹齢の高い方が蒸散=地面の保水性も高いとなると人間も最近ではコレステロールが高い方が死亡率は低いとの前向きコホート研究もある様なので妙に納得してしまう。勘違いが甚だとのご指摘はあろう。本音は樹木医に聞いてみたい。

ところで、植物はどちらの炭酸ガスがお気に入りかご存じでしょうか? 子供の頃、周期律表のどこまで言えるか競ったことはありませんか? C 炭素は12番目。O 酸素は16番目に決まっている。だが炭素にも酸素にも同位体が存在している。炭素C13が存在しており、大気中にはC12のCO2が約98% 同位体C13のCO2が1%程度、その他は酸素の同位体を含むCO2。改めて聞くが植物はどちらが好物か? 答え:食物はC12のCO2が好みである。森林に吸収されなかったC13は大気中で濃度が高くなる。

この炭素の同位体の割合変化で地球環境がどのように変化しているかの研究は古くから行われており、南極観測隊の研究テーマの一つになっていた。古い2013当時のCO2の発生(化石燃料、都市生活等)対 吸収(緑化土地、海面)などの図がHPにあるので図示する。これによると同位体C13のCO2は大気で濃縮される形になること。発生と吸収の差し引きが増加分になることがわかり易い。この同位体C13の濃度を90年にわたって観測(その間、観測の精度研究の成果もあって)されてきた。多少複雑なので結果を示す。(引用・JST発表東北大)

 

現在では蓄積炭酸ガスが増加しているので吸収する森林面積を広げるのは当然として灌木などが放置され朽ちる場合、逆に炭酸ガスを発生することになるので、森林管理が極めて重要となる。当たり前のことを殊更いう必要はない。日本には広い海がある。海水による吸収を増加する方法はないだろうか。

火力発電や工場からの炭酸ガスをパイプで圧送する、貝の養殖による炭酸ガス固定はどうか。貝殻を粉砕しセメントに混合して新島誕生の面積拡大に利用する。それとも、潮流を利用した上下の撹拌? 海の実態を知らない妄想と片付けられそうだ。

 

話を森林に戻して、先日、海浜幕張で開催された環境を含む複合展示をみてきた。相変わらず太陽光発電が大きな場所を占めていたが、それに比肩しうる規模が日本木質バイオマスエネルギー協会のブース。木質ペレット発電などの説明がなされていた。だが、この光景どこかでみたぞ? デジャブ? 確か北川三重県知事当時だったか、和歌山に近い紀勢町で木質ペレット発電を開始したことを記憶している。その後、原料が集まらないことで廃止されたと記憶していた。今回も轍を踏むのか?との印象があったが、どっこいビジネスは甘くはない。多分だが、2024年からの国による森林環境税と関係があるのではないかと推察している。今でも地方自治体ではグリーン税が徴収されているが、2024のそれは人頭税のように課税されるとあって巨額になりそうだ。それだけに使徒についても注視していく必要がありそうだが議論百出の模様。それこそ木を見て森を見ずだけは勘弁してほしい。