樹木剪定伐採・CO2循環

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街では台風シーズンに備えて、樹木の剪定伐採風景が早い時は6月から開始され8月末まで、あちこちで行われている。中には頂点に僅かな葉を残して丸坊主のような伐採も、刈り込んだ枝葉が地面に山積みになっていると、炭酸ガスを吸収して酸素を出す役目をしている植物に対して思いやりがないなぁ〜と思う。葉の数が見た目で10万分の1にまで減少した場合の炭酸ガス吸収や葉の表面から蒸散する水の量、結果として根本から吸い上げる水の量はどうなのかな?とその場所を通るたびに思っていた。尤も倒壊して被害が出るのは避けねばならないのは当然であるが、素人目にも丸坊主・枝もほとんどない状態までする必要があるか? 業者都合の部分はないだろうか。

先日、東京都産業技術研究センターでの打ち合わせまでの時間調整のため併設図書館で雑誌をザッピング。そこに森林総研発行の「研究成果選集2022」の中に、疑問の半分を解消してくれた記事があった。研究成果を3つにまとめてあり、1)大気中の炭酸ガス濃度が上昇すると樹木からの蒸散量が減る 2)樹木が水を利用する効率は上がっている。3)蒸散量は樹木の成長とともに増える。 このうち1、2)には驚いた。言われてみると納得。

炭酸ガス濃度が高ければ炭酸同化作用の式に当てはめれば、製造量に合わせた炭酸ガスであれば良いこと、水も然りである。葉の表面の気孔の開口率を高くしないで、絞っていても十分だと。でも丸坊主に近い剪定というより伐採は樹木に過剰なダイエットを強いているようでいいのだろうか? 3)では樹齢の高い方が蒸散=地面の保水性も高いとなると人間も最近ではコレステロールが高い方が死亡率は低いとの前向きコホート研究もある様なので妙に納得してしまう。勘違いが甚だとのご指摘はあろう。本音は樹木医に聞いてみたい。

ところで、植物はどちらの炭酸ガスがお気に入りかご存じでしょうか? 子供の頃、周期律表のどこまで言えるか競ったことはありませんか? C 炭素は12番目。O 酸素は16番目に決まっている。だが炭素にも酸素にも同位体が存在している。炭素C13が存在しており、大気中にはC12のCO2が約98% 同位体C13のCO2が1%程度、その他は酸素の同位体を含むCO2。改めて聞くが植物はどちらが好物か? 答え:食物はC12のCO2が好みである。森林に吸収されなかったC13は大気中で濃度が高くなる。

この炭素の同位体の割合変化で地球環境がどのように変化しているかの研究は古くから行われており、南極観測隊の研究テーマの一つになっていた。古い2013当時のCO2の発生(化石燃料、都市生活等)対 吸収(緑化土地、海面)などの図がHPにあるので図示する。これによると同位体C13のCO2は大気で濃縮される形になること。発生と吸収の差し引きが増加分になることがわかり易い。この同位体C13の濃度を90年にわたって観測(その間、観測の精度研究の成果もあって)されてきた。多少複雑なので結果を示す。(引用・JST発表東北大)

 

現在では蓄積炭酸ガスが増加しているので吸収する森林面積を広げるのは当然として灌木などが放置され朽ちる場合、逆に炭酸ガスを発生することになるので、森林管理が極めて重要となる。当たり前のことを殊更いう必要はない。日本には広い海がある。海水による吸収を増加する方法はないだろうか。

火力発電や工場からの炭酸ガスをパイプで圧送する、貝の養殖による炭酸ガス固定はどうか。貝殻を粉砕しセメントに混合して新島誕生の面積拡大に利用する。それとも、潮流を利用した上下の撹拌? 海の実態を知らない妄想と片付けられそうだ。

 

話を森林に戻して、先日、海浜幕張で開催された環境を含む複合展示をみてきた。相変わらず太陽光発電が大きな場所を占めていたが、それに比肩しうる規模が日本木質バイオマスエネルギー協会のブース。木質ペレット発電などの説明がなされていた。だが、この光景どこかでみたぞ? デジャブ? 確か北川三重県知事当時だったか、和歌山に近い紀勢町で木質ペレット発電を開始したことを記憶している。その後、原料が集まらないことで廃止されたと記憶していた。今回も轍を踏むのか?との印象があったが、どっこいビジネスは甘くはない。多分だが、2024年からの国による森林環境税と関係があるのではないかと推察している。今でも地方自治体ではグリーン税が徴収されているが、2024のそれは人頭税のように課税されるとあって巨額になりそうだ。それだけに使徒についても注視していく必要がありそうだが議論百出の模様。それこそ木を見て森を見ずだけは勘弁してほしい。

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