2024年 10月 の投稿一覧

糖尿病・脳梗塞ではBMIゾーン違い?

糖尿病はBMIより腹回身長比を重視すべきという文献があれば脳梗塞後遺症が少ない人のBMIは最適ゾーンがあるとの文献をご紹介する。一体、どのような体型なら良いのか戸惑いながら以下紹介する。

最初に糖尿病とBMIやその他の指数について。

最近、京都府立医大からBMIより糖尿病を懸念するなら男性では腹囲身長比、女性では腹囲調整BMIと腹囲身長比をチェックする方が糖尿病発症予測に有効との発表があった。(プレスリリース 掲載日:2024.10.22)

計算式は次のとおり。ABSIは面倒だが結論から言えばその他指数より糖尿病に関しては低いので糖尿病では無視して良い。

男性115,036人 平均45歳、女性40,587人、平均42歳が研究期間中に2型糖尿病に男性 8,005 人、女性 795 人が2型糖尿病を発症した。

男性では腹囲身長比 カットオフ値 0.497

女性では腹囲調整 BMI カットオフ値 18.6kg/m、腹囲身長比 0.510

カットオフ値の意味はこの数値以上はダメ。ということ。BMIでは余裕の合格圏内でもアウトの人が結構おられるのではないでしょうか。 この数値以上の人がその後に糖尿病を発症した現実を反映しているのであって、既に糖尿病になっている人はこの数値以上になっているのだろうか(素人の考えだが)。

とにかく一度腹囲を測定されることをお勧めする。 偉そうに書いてきた自分の数値は0.51。ややアウト BMIでは23〜24をキープして安心していたが、腹脂肪削減対策を考えねば。

ところが神戸大学が

「脳梗塞患者において過体重~軽度肥満だと退院時の機能障害が発生しにくいことを明らかに」プレスリリース (掲載日:2024.10.24)

 要旨は「脳梗塞患者において、標準体型よりも過体重~軽度肥満の方が、退院時の機能障害の発生割合が低下することを明らかにしました。解析では、BMI(体格指数)が24.7kg/m2のときに、最も機能障害の発生割合が低くなることが示されました。

また、体型が極端にやせ型、もしくは極端に肥満になるにつれて退院時の機能障害が発生しやすくなることも明らかになりました」

続けて「今回の結果は、一般的には肥満が健康に悪影響を与えると考えられている一方で、特定の病気や状態では肥満が生存率を向上させるという逆説的な現象「肥満パラドックス」と同様の傾向を示しました。」 図ではBMIが22.1~27.5 が良好ゾーン。

 

ではやや小太りでありながら腹囲身長比率が0.497を満足させる体型とは何?

因みに生成AIに質問したところ、出っ腹をメジャーが食い込む画像を生成してきた。

生成AIも冗談が好きなのか? それとも、条件を満足する人はいないのか。今回の文献が世界のデーターベースになっていないほどに注目されていることが本当の姿なのだろう。

猛暑と米作

10月中旬で夏日でも驚かなくなった。しかし主食である米作が温暖化でどうなるかの予測文献には驚いた。北海道でも米作が可能になったので良いではないか。など余裕で言える話ではなさそうだ。主食の米でさえ不作もしくは等級が下がる。 それに連動して、日本酒の酒米の質(日焼け米)が影響を受けるので、日本酒愛好家のみならず、大袈裟に言えば日本文化に影響する。

まず、東北と九州の米生産額が気候変動により受ける影響について、福島大学、東京大学から発表されたので結論を引用する(プレスリリース :2024.10.16)

1)気候変動が緩和されず気温が産業革命前と比較して4℃昇温した場合,東北の「ひとめぼれ」と九州の「ヒノヒカリ」の年間生産額は現在の値に対してそれぞれ93.9%と75.9%へ低下する可能性がある。

2)昇温1℃あたりの生産額の低下(経済損失)は東北で70億円,九州で120億円と推定。これは一等米比率の低下に加えて九州では収量の低下が影響

シミュレーションの内容については元文献を参照願いたい。

 東北地区は+2℃では生産額は増加するが、+4℃では減少に転ずる

九州地区は+2℃でも生産額は減少し、+4℃では壊滅的状態になる。

対策としては 高温耐性品種の開発、田植え時期の前倒しだと著者らは主張されている

高温耐性品種で既存品はタイ米になるが、日本人に馴染みのある品種開発は時間との戦いになるが頑張ってほしい。

即効ある対策を考えると、広大な面積を占めている太陽光パネルを撤去して米作に戻すこと。太陽光発電はビル窓など添付型「ペロブスカイト発電」への切り替えで対応する。畑を田圃にして畑作物は植物工場にシフトするなど農業オンリーの対策ではなく全体バランスからの対策が必要だろう。

次に冒頭での日本酒愛好家とって関心の酒米について。

金沢工業大学が【全国の酒蔵を悩ませている高温障害米の問題の解決の一助】をプレスリリース (掲載日:2024.10.07) オンキヨーと金沢工業大学が「酒に音楽を聴かせる」取り組みを2020年から継続しており、その成果として高温障害米(高温障害米とは、稲の登熟期の高温により品質が不良となった米)の醸造工程で特定の音楽振動を与えることで熟成が調整されることを発表。

「高温障害米に消化酵素剤を加え、さらにオンキヨーの加振技術が加わることにより酵素が働きやすくなり、高温障害米のデンプン質を溶かすことが可能となるという研究成果を得ました」とある。そこでオンキョーの特許を調べた。

特開2023-153471(P2023-153471A)。

【課題】振動させる対象物を、幅広い周波数帯域で振動可能とすること。
【解決手段】システム1は、食品(例えば、清酒)、食品の原材料(例えば、米)、原材料から食品となる間の中間生成物(例えば、もろみ)のいずれかである対象物を振動させるためのものである。システム1は、第1周波数帯域で振動する加振器2と、第1周波数帯域よりも高域の第2周波数帯域で振動する超音波振動子3と、を備える。加振器2、及び、超音波振動子3は、対象物を振動させる。

化学の特許であれば実施例、比較例を記載して特許性(新規性・差異化・実用性)で

価値を判断する。この特許は機械・電気システムであるので、それが記載しなくても良い。なんとなく化学専門家から見ると不思議な特許システムではある。

「音楽振動技術により熟成が行われたお酒を加振酒」として販売しているとのこと。乳牛にモーツアルトは有名。日本酒には演歌?まさかのロックかも。利酒ならぬ利音も酒席での会話に味付けがあり面白そうだ。

植物に学ぶサバイバル

植物も食いだめをしないと自然界では生きていけない! とのタイトルでプレスリリースが名古屋大学から発表され注目を浴びた。論文タイトルは格調高く「Integration of shoot-derived polypeptide signals by root TGA transcription factors is essential for survival under fluctuating nitrogen environments(根のTGA転写因子によるシュート由来のポリペプチドシグナルの統合は、変動する窒素環境下での生存に必須である。)

本研究のポイントは以下の通り。

  • 植物は葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて、根からの窒素吸収量を調節している。
  • 本研究では、根において葉由来の空腹/満腹シグナルと結合して窒素吸収に必要な遺伝子群の発現を制御するタンパク質 TGA1 および TGA4 を発見した。TGA1/4 を欠損した植物は、土壌中の窒素栄養量が経時的に変動する環境では、葉の窒素需要の増大に応じた根からの吸収促進ができないために正常に成長できなかった。
  • 植物が葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて根における窒素栄養の吸収量を調節するしくみを解明した。

確かに肥料の硝酸イオンを窒素栄養として根から吸収→葉でアンモニウムイオンに還元→アミノ酸に取り込まれ→タンパク質合成の材料。のフローにおいて雨が降らないと土中の水分は蒸発するので根は硝酸イオンと出会う機会がなく、雨が特に豪雨ともなれば硝酸イオンは流出して濃度が希薄になる。これは大変一大事であるから出会えた時に満腹まで吸収しておく。

ここで、何に関心をしたのか?

植物は与えられた土地で生きることを求められる。あちこち栄養を求めて動くことができない。せっかくの学舎や会社に入った時にこそ満腹になるほどスキル、企画、実行、人脈を構築しておかないと、たとえ高齢になって「あの時にしておけば・・・」と反省することになりかねない。

80歳になる会社OBの言うことに、70歳台にしっかりやっておくべきだった。次に70歳台のOBは「いやいや現役の時ですよ」と。多分植物のTGA!、TGA4に相当する指導者に巡り合って「今がその時」のスイッチを押してくれたらと思うだろう。筆者の場合に確かに「あの時、あの人に出会えなかったらの人」がおられる。満腹にはまだまだ未熟だけれど。

昨今話題に登っているのが日本製鉄。以前は技術一流、実行二流、言い訳超一流との風潮があったが、現社長になって社風が変化。「事上磨錬」だとか。Do and Action ,Do and Do 。サントリーの「やってみなはれ」と同じだろう。巨漢日本製鐵が本当にできたのかは数年後の評価になるだろうが、行動して初めて本当に景色が見え、目標が定まるとの意味だろう。

今の日本製鉄の社員は「今まさに栄養を蓄積し発揮すべきだ」と意識が変わっておられるではないだろうか。

その時に満腹になっても、世の中変化が激しいので過去を所有してもシン・パワーとならないと意見をお持の人もおられよう。DXだの、生成AIの時代 特にホワイトカラーは影響を受ける。 だが、それまで満腹でサバイバルした人は新しい時代・技術をも満腹にしないと明るい明日がないとの記憶があるので、どのように変化しても大丈夫だと思う。

最後に 人間の場合食の満腹を継続すると肥満→糖尿病となって労働人口減少加速と医療費圧迫で国家として揺らぐハメになる。ここは腹八分でしょう。

海洋環境展から・珊瑚生育棚

買い物のルートに横浜市役所をよく通る。先週、アトリウムでは東京湾・河川の環境展示が開催されていた。子供向けに多摩川や荒川の生物紹介、下水道の仕組み、海プラの選別などが用意されており、東京湾での採れた魚の料理教室もあり、多くの人に興味を持ってもらうよう組まれていた。

潮流発電しませんか? と女性説明員から声かけられた。簡単な模型は筒状にピストンを往復させて発電をさせるもので、潮流ではないが原理は同じ。自分もやってみると単純だが発電でLEDが明るく点ると面白い。

これをしながら思い出したのが草津の湯もみ。観光ショーになっているが数人の女性が板を湯船に入れて魯を漕ぐように動かす。女性のエネルギーが板に伝わり湯船のお湯が波打つ。この逆が潮流発電だなぁ〜と気がついたのだ。

船の舵を切るにはエネルギーを使う。舵に相当する板状を海に沈め潮流により発電する。実際、平塚の海岸に潮流発電所があり稼働している。岩手の久慈に最初に設備された。波受け板の形が異なる。 潮流は夜中でも、風がない時でも利用できるだけに安定電源として普及して欲しいものだ。台風、津波など想定以上の潮流が来たときは柳のように受け流すような設計か魯が海面上に出てクラッチされる仕組み。平塚の潮流発電には船舶専門の川崎重工が、潮流板には横浜ゴムが参画している。

次のブースで妙なものを展示していた。マグネシウムの塊とアルミの塊が机の上においてある。イオン化傾向の違う2種の金属を接触させると電位差(微小電位)が発生することを説明に使うのだろうとわかった。商品名アラノード。名前からアノード、カソードからなる電池を表現している。で、何に使用するのか?? これには驚いた。

「珊瑚生育装棚」 説明によると ① 珊瑚は世界の海の0.2% だが海洋生物の25%生存に関与している。② 海はCO2吸収するが、弱酸性になったこと、海水温アップもあり白化、死滅が増加 ③ 珊瑚の成長は遅く、天敵オニヒトデの食害に遭う

珊瑚を速く育成する方法について、橋梁、浮桟橋を生産・工事をしている会社(エム・エム・ブリッジ)が ある日、浮桟橋に珊瑚が付着していることを見つけた。さすが金属が専門だけにピンとくるものがあった。微弱電流で炭酸カルシウムを生成する速度が制御できると考えた。

図は石垣島と阿憙島における珊瑚幼生着床数比較。電流量調整により約2.5倍。

珊瑚はCO2を吸収するが、CO2を排出するので変わらないのでは?の議論が長らくあったとのこと。今は決着がついた珊瑚はCO2固定に有益な生物だとのことブルーカーボンの一翼を担っている。

珊瑚の様子を4Dで観察する技術(若築建設など)も紹介されていた。環境監視が経済的メリットにどのように繋がるのか興味がある。

その他、海上でのペレブスカイト発電が紹介されていた。確かに森林を伐採して太陽光発電パネルを設置するより、はるかに環境には優れている。普及されるには、荒波を消波化する浮桟橋などの設置など工夫は必要だが、伸びるのではないかと思われる。期待したい。

MC I(軽度認知障害)

ショッピングモールの広場でエーザイとBiogen協賛の脳の健康セミナーと演奏会が行われていた。両社は認知症抑制剤(レカネバブ)で知られる。特に今回はMCI(Mild Cognitive Impairment)軽度認知障害に重点を置いて簡易検査、パンフ配布など実施。

「新しい家電の使い方を覚えるのに時間がかかる」「前日の昼食・夕食内容を思い出せない」「物忘れはするが他人事だと感じている」「仕事上のミスが増えた」「メモを取ることが増えた」これが軽度認知障害。さて皆様はいくつ該当するでしょうか?

放置しておくと本格認知症になるとのこと。確かに名前が即時に出なくなってきたが、情報量やストレスが圧倒的に以前より違うのではないかと言い訳をする自分がいる。

MCIの原因としてはアルツハイマー病、血管性疾患、レビー小体病、その他(ストレス、うつ病、不安、ビタミン不足、甲状腺ホルモン不足、薬副作用、睡眠、てんかん)など。渡されたガイドブックには対策として12項目にわたる認知機能維持ポイントが紹介されていた。 食生活、飲酒、喫煙、社会活動など常識であるが全部を守ることができそうにない。

そこで2年前の文献だが、コーヒーと認知症提言に関する新潟大学の報告を思い出したので、紹介する。

「日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスクの関連」  プレスリリース 掲載日:2022.07.12

 超要約すると、新潟大学大学院医歯学総合研究科環境予防医学分野の中村和利教授らの研究グループは中高年のコーヒー、緑茶、カフェインの摂取量と認知症リスクとの関連を縦断的に調べた。(新潟県村上地区 13,757人 40~74歳)

その結果、①コーヒー高摂取と認知症低リスクの強固なエビデンスを得た。②カフェイン高摂取と認知症低リスクの強固なエビデンスを得た。③緑茶摂取と認知症リスクの関連については明確でなかった。というもの。コーヒー好きの筆者は納得したくて納得。しかしながら緑茶の結果には首を傾げた。そのはずがない。

それから2年後の2024年に抹茶とMCI、および睡眠についてのレポートが筑波大学から発表された。継続12ヶ月抹茶を飲み続けると社会的認知が向上した(2024年9月2日)

さらに、漢方薬とハーブティの効果(認知症改善、若返り)について大阪公立大学が発表した(2024年9月19日)

この3つの論文ではコーヒー、緑茶、ハーブティはMCI対策には有意であるとまとめることができる。

さて、地元のシニアによるカルテット演奏。確かに年齢層見合いの認知症とは縁遠いしっかりした演奏。楽器ができれば認知症も遠のく証拠であろうことはわかった。人前の緊張で時々ミスはあれど仲間がカバーしていたことからもサークル活動での人的交流も、大事だと理解した。