植物も食いだめをしないと自然界では生きていけない! とのタイトルでプレスリリースが名古屋大学から発表され注目を浴びた。論文タイトルは格調高く「Integration of shoot-derived polypeptide signals by root TGA transcription factors is essential for survival under fluctuating nitrogen environments(根のTGA転写因子によるシュート由来のポリペプチドシグナルの統合は、変動する窒素環境下での生存に必須である。)
本研究のポイントは以下の通り。
- 植物は葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて、根からの窒素吸収量を調節している。
- 本研究では、根において葉由来の空腹/満腹シグナルと結合して窒素吸収に必要な遺伝子群の発現を制御するタンパク質 TGA1 および TGA4 を発見した。TGA1/4 を欠損した植物は、土壌中の窒素栄養量が経時的に変動する環境では、葉の窒素需要の増大に応じた根からの吸収促進ができないために正常に成長できなかった。
- 植物が葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて根における窒素栄養の吸収量を調節するしくみを解明した。
確かに肥料の硝酸イオンを窒素栄養として根から吸収→葉でアンモニウムイオンに還元→アミノ酸に取り込まれ→タンパク質合成の材料。のフローにおいて雨が降らないと土中の水分は蒸発するので根は硝酸イオンと出会う機会がなく、雨が特に豪雨ともなれば硝酸イオンは流出して濃度が希薄になる。これは大変一大事であるから出会えた時に満腹まで吸収しておく。
ここで、何に関心をしたのか?
植物は与えられた土地で生きることを求められる。あちこち栄養を求めて動くことができない。せっかくの学舎や会社に入った時にこそ満腹になるほどスキル、企画、実行、人脈を構築しておかないと、たとえ高齢になって「あの時にしておけば・・・」と反省することになりかねない。
80歳になる会社OBの言うことに、70歳台にしっかりやっておくべきだった。次に70歳台のOBは「いやいや現役の時ですよ」と。多分植物のTGA!、TGA4に相当する指導者に巡り合って「今がその時」のスイッチを押してくれたらと思うだろう。筆者の場合に確かに「あの時、あの人に出会えなかったらの人」がおられる。満腹にはまだまだ未熟だけれど。
昨今話題に登っているのが日本製鉄。以前は技術一流、実行二流、言い訳超一流との風潮があったが、現社長になって社風が変化。「事上磨錬」だとか。Do and Action ,Do and Do 。サントリーの「やってみなはれ」と同じだろう。巨漢日本製鐵が本当にできたのかは数年後の評価になるだろうが、行動して初めて本当に景色が見え、目標が定まるとの意味だろう。
今の日本製鉄の社員は「今まさに栄養を蓄積し発揮すべきだ」と意識が変わっておられるではないだろうか。
その時に満腹になっても、世の中変化が激しいので過去を所有してもシン・パワーとならないと意見をお持の人もおられよう。DXだの、生成AIの時代 特にホワイトカラーは影響を受ける。 だが、それまで満腹でサバイバルした人は新しい時代・技術をも満腹にしないと明るい明日がないとの記憶があるので、どのように変化しても大丈夫だと思う。
最後に 人間の場合食の満腹を継続すると肥満→糖尿病となって労働人口減少加速と医療費圧迫で国家として揺らぐハメになる。ここは腹八分でしょう。