2023年 8月 の投稿一覧

野球応援に想う

慶應義塾の応援に色々な声があった高校野球。徐々に下火になり話題は次に移った。本来は敵味方なしに、いいぞっ!と褒める応援、エラーした時にドンマイと落ち着かせるのも応援、ピッチャーが投ずる球の風切り音やキャッチミットの音を聞きたいときは静かにするのも応援。金属バットの乾いた音を楽しめる場を作るのも応援。

両校の選手が審判の前で整列してお辞儀をして試合開始。両校の応援団も相手に対してエールを送る。MLB(ベースボール)にはない。150年前に野球が導入された時から剣道・柔道と同じく礼に始り礼に終わる形式が今でも継続している。これが基本。学生の応援団にはグラウンドの選手と同じく節度を学ぶ場でもあるのだろう。大人用ワードは「矩を踰えず」かな。

その範囲内での応援の創意工夫は歓迎される。麦わら帽子にカチ割(氷をアイスピックで割ってポリエチ袋に入れたもの)の時代からPL学園登場の時からスタンド風景が変わった。PLは赤白のパネルで大きくPLの文字を表現。甲子園出場が決まると学生も練習を重ねたであろう。三三七拍子は消えた。ブラスバンドの規模が小さい学校の時は地元西宮の有志が賛助カバーするなど絆が見られた。見ていても微笑ましい風景だった。

学校も変わった。生まれた土地の高校に進学して野球をするスタイルから野球留学の言葉が出始めた。学校も中学生もブランディングを重視するようになった。最近の応援風景はエンタテインメント・ショー的要素が入りつつあるのではないかと思う。エンタテインメント・ショー的だからyou tubeでもアクセス数稼ぎに利用された。

慶應の確固たるブランディングに加え都会風応援は仙台育英も持ち合わせているものの、少なくとも相手攻撃の時は遠慮しろよと観衆は感じたのであろう。確かにショーならば幕間がある。学生に罪はなく、マネジメントの問題だと思うが「慢」のゾーンにいると案外気がつかないものだ。

人によって同じワードを発しても受け取る方は違うことはよくある。当方が経験したのは地方大会での出来事。その地域では歴史ある進学校。その応援スタンドから野次がとんだ。それが翌日の新聞に載った。言った方は意識がなくとも、相手ベンチは侮辱と受け取ったはずだと記者の感想。漢文の学校教育方針を読めないはずのない生徒でも「慢」の意味を知らなかった。(尚、小生の知り合いで慶應卒の人が多くおられますが、自ら慶應卒と言う人はいない。言われるのを嫌う人も多い紳士・淑女ばかり。(これホント)

今回の件はこれくらいにして、球場全体が両方の高校を応援したことがあった。お分かりように、沖縄首里高校が参加した本土復帰前の記念大会(1958年昭和33年)。相手は強豪敦賀。米国占領地域から本土への渡航にはパスポートかそれに準ずる手続きが必要であり、試合終了後に甲子園の土を持ち帰ろうとしたら、沖縄への持ち込み禁止でやむなく海に捨てたあの試合と出来事。もちろん応援も沖縄からの参加は望むべくもなく、沖縄出身者+有志からなる応援になるところだが、こうなると事情はまるっきり異なる。球場全部が首里を応援し、球場全部が敦賀を応援。本来の応援の姿はこれが原点ではなかろうかと思う。

余談:決勝の日に東横線で帰る途中に慶應のある日吉駅で途中下車。やはり高校野球はなんだかんだ言っても引きつける。小生の場合それを野次馬と人は言う。

ディベート 雑感アラカルト

「突如って一人称ですよね」 この発言をしたのは今や時の人になった広島県安芸高田市の市長石丸伸二氏。記者会見での出来事。一人称が何かは知っているが、これをFacebookで見聞きするまで「突如が一人称」とは自分は思ってもいなく、見事に隙をつかれたアッパレ感があった。詳細はFacebookをチェックされたい。

このワードが出てきたのは市長の記者会見の時。 議会で不信任決議や問責決議案が浮上したときに記者は前後を切り取り「突如」と記事にした。正確な報道が好ましいとして市が記者に問うた。(本ブログは政治・宗教には踏み込まない)。通訳するまでもなく「記者さん一人のみが感じたのですね」と。その意味で一人称。この模様を眺めながら、日本でも本物のディベート力が必要になったことは面白いと感じたので取り上げた。

議会のやりとりを見た多くの市民のエビデンスがあれば一人称ではないと反論すれば良いだけなのだがなかった。わずか6日間でアクセス230万回。前後半合わせて2時間。飽きもせず見てしまった。悪いがドラマ半沢直樹よりインパクトはある。「突如だけではない」全体の論点と筋道が整理されているところが心地良い。市議別の活動比較など市民モニタリングが公開されているのも今風で刺激的。

話は飛躍するが、数学を得意としている人から「数学は国語を単純に記号で置き換えたに過ぎない」というのを何回も聞いたことがある。国語ができる人は数学も得意だという。だけどオール5をとる人は持って生まれた頭が良いのでは?と勘ぐりもする。ビジネスや人間関係において三角関数、微分積分は理解しやすいが、偏微分方程式も国語だと言われても違うだろうと思い、その後で「そういえばそうかもだなぁ」を経験した。尤もE=mc2 の相対性理論になると国語より哲学かも知れない。

つまり話し言葉でも、文章の時でも言葉の定義があり論理的で数式になるかが自分の頭も、相手の頭脳に受け入れてもらえるには必要なのだ。と。 それがわかっていないと敬遠されるだろう。だが一朝一夕で身につくものではない。修羅場を経験して身につけた人はPDCAを(自分が意識したかわからなくても)何回も回していたに違いない。

囲碁将棋の世界のPは桁が違うが、通常のビジネスなどでも複数のシナリオを考える。経験は少ないが頭脳が良い人は多くのシナリオを考える。だが、多くは悲観的なシナリオの比率が多くなり結局は動かないか、動いても遅い。

そこで今はDCAの時代が主流となっている。とにかくDから始めてやりながらCを実行して本格的なPを構築する方式が浸透している。だが、良いことばかりではない。Dから始めると成功する打率が低いのだ。少ない予算で大きな成果なんて無理。小さな成果から発展を予想しリードする会社体質なら成功するが、多くのケースはいかがだろうか。これを突破するには 1つは情熱 2は説得するに十分な論理展開力。3 粘り

かくして日本の会社には潜在的飛躍可能なネタが豊富に在庫しているが、振り返り見直すようなことはサラリーマンとしては事実上できない。実にもったいない。

冒頭の安芸高田市の実情は知らないので、それこそ迂闊なことは言えないが、市長の前職である銀行員の経済分析能力をベースに市を分析し、将来ありうる経済困窮を回避するためのPを提案した。受け取ったのは市民。従来型の広報活動に加えTwitter, Facebookでの発信は情熱と粘りを感ずる。議員はPDCAにより市長の論理展開と同じ能力を獲得すれば良いだけの話で簡単。肉体年齢は高齢でもITを駆使し、頭脳を使って論理的議論ができる人は素敵だ。もっと素敵になるには、対応できない人には全体に迷惑にならない上手な逃げ道を作ることなのかもしれないが。

話は突然変わるが、ある超大手企業において経営陣におられた人(現在顧問)から半年前に小生の後輩を紹介するとして、この企業が参加している展示会の合間を縫ってお会いした。すごく頭脳がシャープで論理思考は確かな上に、市場分析に長けており、かつ腰が低い。おまけにイケメン。いうところなしで少しだけの会話でデキルと直感した。小生の前職の会社に所属していたことをもって後輩と理解していた。先日、同社顧問との縁あってそのイケメン・出来る人材が所属する会社でプレゼンテーションをした。後で大学学部も同じですと言われ驚いた。2重の縁ある後輩が凄い人。先輩としてどうなのか?と反省させられた。と同時に新しい目標ができた。

百薬の長 主役交代と細胞機作に学ぶ

先の日経記事に「酒は百薬の長 今は昔」とあった。 最近多くの文献によりアルコールは身体に好ましくないとのことを当ブログでも書いた。しかしながら、コロナ明けでプライベートでもビジネスでもアルコールを通じての交流がこれからと言う時になんたる気遣いのない記事であること。

知人から記事の紹介があったので、次のように返事をしたところ なるほどとリプライがあったので紹介する。あくまでも無責任なことにご留意下さい。

*昔は寿命が短く成人病が発症する前に亡くなるので酒が原因とはわからなかった

*毎日のように繰り広げられる戦でのストレス解消には酒は良薬だったのだろう。

*昔の酒(清酒)は濾過しない白濁状態で発酵残渣(今でいう酒粕)を含有しており、それが健康維持に作用したのではないか・・・と。

前の2つは当方のこじつけに過ぎないが、最後の酒粕については可能性ありと思っており実感もしている。そこで最近 注目した文献を紹介する。

最初に紹介するのは、清酒の需要が減少していることから、副産物である酒粕に着目して「清酒製造副産物を用いた新たな食品素材の開発」 食品と包装 2023 vol 64 N04 新潟県醸造試験場専門委員 佐藤博士の投稿。

超要約すると酒粕を①乳酸菌 ②酢酸菌により追加発酵させると①では乳酸菌が290倍に、②ではフェル酸など複数の酸が109倍増加することを確認した。地元食品加工業と新商品の開発を進めている。日本全体で副産物酒粕は5000トン。酒粕漬け魚の切り身などは美味しいが、量的にはカバーし切れないのだろう。スーパーで酒粕は豆腐や漬物コーナーの目立たない片隅に2〜3グレードが陳列してあるだけに、新食品素材が応用されて、今のヨーグルト売り場に伍して陳列することを期待している。

期待する理由は当方2年前から朝食に酒粕を味噌汁にブレンドして摂っているが、概ね1:1の比率で混合、塩分控えめもあり何より美味しい。これが原因かどうかは別の食品の効果と分離できないのでわからないが、凸形状の腹周りが変形しベルトの穴の位置が変った。

素人の感想はさておき、アカデミックなアプローチを調べた。酒粕が腎臓病進行抑制するのではないかの検証が金沢大学で実施されている。慢性腎臓病患者に対する酒粕を用いた食事療法による血中の尿毒症物質の減少効果を明らかとするためのプロトコール作成研究 (日本の研究.com) 慢性腎臓病患者に対する酒粕を用いた食事療法による血中の尿毒症物質の減少効果を明らかとする臨床研究: パイロットランダム化比較試験(日本の研究.com)の連続したテーマで研究が進められている。結果が待ち遠しい。(プロトコールとは治験実施計画の意)

一方、千葉大学では腎臓病進行を抑制する方法が発見され、新薬への手がかりをつかんだ模様。ここで酒粕ワードは出てこないが、金沢大学との結果と結びついたら面白いことになりそう。食品素材から医薬品レベルも価値がアップするから(無責任極まるが)期待する。千葉大学文献タイトルは

腎臓病進行を抑制する方法を発見 糸球体に現れるデンドリンの核移行抑制が腎臓病進行を遅らせる (日本の研究.com 掲載2023.05.09)

超要旨は

「腎臓の糸球体足細胞(ポドサイト)に発現するデンドリンという蛋白質の細胞核への移動を抑制することが、慢性腎臓病の進行を遅らせることを発見し、慢性腎臓病の進行を抑制する治療薬の開発につながることが期待」とある。機作を素人が説明するには困難なので、本文引用する 下線部

腎臓は血液を濾過して体内で産生された老廃物を捨てる臓器。腎臓の中で、糸球体という毛細血管の塊で血液を濾過して尿を作る。その毛細血管を外側から支えている糸球体足細胞は血清蛋白が尿中に漏れ出ないための最終バリアとして機能する細胞。つまり、糸球体足細胞が傷害を受けると蛋白尿となる。以前の研究で、デンドリンという蛋白質が糸球体足細胞にのみ発現していることを発見しており、今回はデンドリンを核内に配達するインポーチンの制御」を確認した。(インポーチンとは特定のアミノ酸配列を持つ蛋白質と結合し、細胞の核へその蛋白を運ぶ役割を担っている)。

インポーチンの核への移動を阻害する物質(イベルメクチン)は、デンドリンの核への移動も抑制することが分かりました。(図)

ここでインポーチンと聞き慣れないワードがあったので、PDBj で調べた。それによると細胞内において、タンパク質合成の過程は2つの区画に分かれて行われている。前半はDNAがRNAに転写される部分で、この仕事は核で行われる。後半はRNAが翻訳されてタンパク質が構築される部分で、この仕事は核の外、細胞質にあるリボソームで行われる。次にインポーチンは何千種類ものタンパク質を核内に輸送し、ゲノムの貯蔵、読み取り、修復などの様々な仕事を行っている。しかし、分子種ごとに特有のインポーチンを設計するのは手間がかかりすぎる。そこで、多くの核タンパク質はそれが分かるように特有の札(タグ)をつけている。これは核局在化信号(nuclear localization signal)と呼ばれる短い配列で、輸送機械にそのタンパク質を核内へ輸送するよう伝える。インポーチンはこの信号を認識してそのタンパク質に結合し、核孔を通って核内へと輸送するとある。

面白い。なんだかSLA(光液曹重合3Dプリンター)の操作と似ているなぁとの印象を持った。形状スキャン、CAD内設計、タグ付き重合液体ボトルのプリンターへのエクスポート。3Dプリンターの将来はこのような生物細胞の機作・仕組みを学習してさらに進歩するかも知れない。将来の結論は百薬の長どころではなく、それに着目させた効果は億万倍の長になるだろう。

石膏を楽しく・面白く

歯科材料として石膏は古くから利用されている。コスモサインの取扱商品ではないが、技工を理解するにおいて少しでも経験することは必要と感じていた。

石膏は無機化学の範疇。無機化学は元素周期律表の元素のほとんどを駆使する学問領域だけに当方の頭では無理。そんな理由で炭素,酸素,窒素 稀に燐Pや珪素Siからなる有機化学を専攻した。浅はかな考えであるとわかるには時間が必要でなかった。シュレディンガーの量子化学のゲートを潜らないと化学をやっているとは認定はされない。どの道に行っても修行が大事。

石膏は触ったことがない。知人が石油化学プラントからの脱硫工程で排出される石膏の研究をやっているらしいぐらいの知識だった。石膏の使用料は年々減少しているものの歯科材料の入門者として石膏を見てみよう的な単純な動機で時々の実験の合間に織り込んでみた。着手した当時に鶴見大学での歯科関係講演+オープンキャンパスで石膏カービングのコンテストを開催されており、精緻な作業をされているのだと認識した。

誰でも子供の頃に石膏を触った。彫刻刀で削って作品?を作った。不器用な筆者は細かいデザインでは折損するので作品も無骨をテーマにしたと屁理屈をつけたことを覚えている。

歯科カービングにおいては切削面に都度クラッック防止の接着剤を塗布すると聞いており、また、特許・文献では水溶性樹脂を泥漿中に混和し、樹脂が乾燥すればクラック防止となるとのこと。なるほど、樹脂と名前がでた瞬間これは面白いと思った。

準備として泥漿混和装置は購入したが、寸法測定用の型枠、寸法測定装置と記録装置は仲間が制作してくれた。とりあえず、石膏メーカーのカタログ値になるか実証した。結果は物性は一致したので採用。

次に水溶性樹脂を混和し注型・乾燥と処理をして品質評価を実施。その結果、圧縮強度が樹脂配合しない系に比較して低いことがわかった。圧縮強度が無機材料と比較して低い樹脂の配合なれば当然。石膏も普通石膏、高硬度石膏、超硬度石膏とあるので、できうるならば樹脂を配合しても、同等か、むしろ向上することがあれば面白い。

次に、ベースの高硬度石膏と樹脂配合の切削工程におけるチッピングの比較をした。手元にある彫刻刀(平、V形状、U形状)で削ってみたところ樹脂配合していない系については筆者が不器用なところが大きいが、チッピングが発生。切削面はザラザラ。一方樹脂配合系はチッピング発生頻度が少なく切削面は光沢を有するとの基本は理解した。

ここで石膏作業を楽しく・かつ面白くするにはどうしたら良いのか。初めにお断りをしたように、筆者は門外漢なので一種の“あったらいいね”を妄想した。

  • 水溶性樹脂配合でも圧縮強度は低下しない
  • 水溶性樹脂配合でチッピングを完全完封して切削面が光沢になる
  • チッピングの方向性(XYZ方向) どの方向から切削してもチッピングが発生しない。モデルカップでのノコギリ作業も綺麗に切断ができること。
  • JIS規格では24時間後の固形石膏製品を評価することになっているが、極めて短時間 それも30分以内で寸法が安定しないか

石膏については長い歴史があり専門メーカー及び硬化膨張率などチューニングする会社から販売されている。したがって、無茶な目標であることは承知の上で、かつそれだからこそ信頼を得ていると尊敬した上で試した。その結果を簡単に表にまとめた。 目標に対してほぼ満足した結果を得た。その後で膨張率がほぼゼロになる処方も見つけた。なお乾燥時間は22分と目標を達成した。

ご参考までに、対象となる石膏は高硬度、超高硬度のいずれでも利用できる。膨張率がチューニングされた石膏も利用できる。切削表面がピカピカの光沢は芸術作品には面白いかと思われる。

因みに、このような結果になった理由を簡単に紹介すると

石膏の結晶形態を調整したことに集約される。すなわち石膏形態は結晶体がY軸方面に積層している。この際X方向から切削や圧縮の力が加えられた場合、結晶と結晶の間には結合がないことで、容易に劈開する。圧縮強度はY軸方向には高くても、X軸方向には低い。そこで、石膏の結晶をXYZ方向に配向させたことでこれらの不具合を解消した。文献特許等の調査によると、石膏結晶配向制御に関する報告は見つかっていなかった。チッピングの不安がなく、かつXYZ方向の強度バランスに優れているので、従来にないデザインを具現化することも夢ではなさそう。

結果の一部を紹介する。

(実験内容)原料 高硬度代表グレード 、水溶性樹脂  加水24% 乾燥22分

 実験結果       実験1                 実験2      比較代表グレード

圧縮強度 kg/cm2           90      125                  90

切削性(亀裂有無)          なし         なし                 クラックあり

切削面光沢                      有り                   有り                   なし

切削ストランド粘り         あり                   あり                     なし

                                     (系や紐状に切削)                       粉末状

寸法(A硬化膨張)          0.06                   0.09                   0.20    (石膏の膨張)

  (B乾燥収縮)      0.05                   0.06                      0.         (水溶性樹脂による収縮)

最終硬化膨張率AーB      0.01                   0.03                   0.20

なお、膨張率をチューニングする添加剤配合系も実験したが、同様の傾向を確認しているので、市販の膨張率調整石膏グレードにも本実験手法は適用できると思われる。

ただし、石膏の教科書に記載してある乾燥温度条件には準拠していない。JIS規格では24時間後の物性等の評価とあるが、今回ご紹介の内容は石膏を楽しく・面白く利用することを目的としていることにご留意下さい。 陶磁器の型として利用すると繊細なデザイン陶磁器製品ができるなら面白いではないか。またCAD/CAMにおける一丁目一番地は最初の型寸法を正確にスキャニングすることが肝心であろうとしたら、この面も実用的な価値はあるのではなかろうか。

因みに原料コストの多少のアップ分はチッピングフリーによる作り直しから解放されること、乾燥時間が圧倒的に短縮されることで、トータルは合理化になりそうだと実験結果は示している。如何でしょうか。面白いので記念として特許出願した。

ノーベル物理学受章者ら300人科学者がCO2 説に警告

本日のブログで丁度300通目となりました。これまでのご愛読に心より感謝申し上げます。

流行に流されず、可能な限り筆者レベルでのサイエンスに基づきブログとして取り上げてきました。現在の主な流行は脱CO2。増加ネットゼロでは大変なことになりそうだ的な視点で記載してきました。身近なところでは農産物が不足し地球人口を養えない、エネルギー・物流コスト高騰による生活苦、脱石油化学により航空機や輸送船舶の減便、合成繊維ゼロによる絹か木綿の衣料生活を余儀なくされる。その木綿も量が不足する。木綿を入手しても織機において経糸には不具合(切断頻度対応ロスと工賃高騰)があり、合成繊維が担わざるを得ないなど数えるとキリがない。石炭化学時代には有機化学の発達により染料や医薬品合成の基礎を確立し、石油化学により自動車・電気電子の発達に陰ながら大きな役割を果たしている。自動車のプラスチックスを利用せずに内装は板金やアルミキャストなる普通乗用車でも重量は4〜6トンとなり、現在の立体駐車場は利用できない。道路舗装修理が多くなる、食品ロス対策としてのガスバリアフィルムによる包装や遠隔地産品の物流など、存在が当然になりすぎて、なくなればどうなりそうかの考えに及ばない風潮が確かにある。バイオ由来原料の石油化学代替はコストと規模が問題であり、富めるものは入手可能かも知れないが、恐ろしい格差と犯罪増加になるかも知れない。

とても見たくない光景だ。

流行に乗じたビジネスはありうるので否定はしないが、ルールの頻繁な改変が別の思惑もあり ますます混乱するものと思われる。そんなタイミングで遅かりし由良助ではないが、ノーベル賞受賞者と共同研究者の300名がついに声を上げた。

Nobel Physics Laureate 2022 Slams ‘Climate Emergency’ Narrative as “Dangerous Corruption of Science”

ノーベル物理学賞受賞者2022年、「気候緊急事態」説を「科学の危険な堕落」と非難

要旨は以下の通り

  • ジョン・クラウザー博士(原子・原子レベルの物質と光の研究である量子力学の世界的権威) は誤った気候科学が「大規模なショック・ジャーナリズム的疑似科学に転移している」と指摘。彼の発言は、99%の科学者が気候変動のすべて、あるいは大部分は人間が引き起こしていると考えているという明らかなデマにさらなる疑念を投げかけることになるだろう。と述べている。
  • また、同博士は 本当の気候危機は存在しない。しかし、世界最大の人口にまともな生活水準を提供するための非常に現実的な問題と、それに伴うエネルギー危機は存在する。後者は、間違った気候科学によって不必要に悪化している」と付け加えた。
  • 世界気候宣言には約300人の気候学教授が署名し、こう宣言している: 「気候に緊急事態はない。主な署名者は、ノーベル賞受賞者のアイヴァー・ギーヴァー教授である。気候モデルは、「世界的な政策手段としては全く妥当ではない」と言われている。二酸化炭素のような温室効果ガスの影響は誇張されているが、有益な影響は無視されている、と宣言は述べている。
  • 共同宣言者のアントニーノ・ジチチ教授(亜原子核物理学分野でのいくつかの発見を含む、生涯にわたる卓越した科学的業績)はイタリアの科学教授48人のグループを率いて、気候変動に対する人間の責任は「不当に誇張されており、破局的予測は現実的ではない」と述べた。彼らの科学的見解では、「1850年以降に観測された地球温暖化のかなりの部分は自然変動で説明できる」という。
  • 著名な大気科学者であるウィリアム・ハッパー博士(プリンストン大学名誉教授)は、クラウザー博士の気候に関する研究は、気候危機は存在せず、CO2濃度の増加は世界に利益をもたらすという強力な証拠であると述べた。ハッパー博士は、CO2のような温暖化ガスの『飽和』仮説の主要な提唱者であり、そのようなガスは、あるレベルにおいて、赤外線スペクトルの小さな帯域で飽和状態になることを観察している。その結果、その温暖化能力は対数スケールで減少する。この観察は、CO2測定値が現在の大気レベルの最大20倍であった6億年の地質学的記録を説明するのに役立つ

この最後のところを少し注釈すると。

温暖化ガスの飽和仮説とは、これらのガスが大気中の熱を閉じ込める能力は、濃度が高くなるにつれて低下するという考え方である。これは、ある時点でガスが赤外線スペクトルにおいて飽和状態になり、熱をあまり吸収できなくなるためである。

ハッパー博士は物理学者で、この仮説を提唱してきた第一人者である。彼は、地質学的な記録がこの仮説を裏付けていると主張している。過去にCO2濃度が現在よりもはるかに高い時期があったが、地球の気温はそれに応じて上昇しなかったからである。

赤外線スペクトルは、人間の目には見えない電磁スペクトルの一部である。可視光線より長く、マイクロ波より短い波長の放射で構成されている。赤外線放射は、絶対零度より暖かいすべての物体から放出され、温室効果ガスによって吸収される。

結論として、温暖化ガスの飽和仮説は、大気中のCO2濃度が上昇しても地球の気温が予想ほど上昇しない理由を説明する理論である。この仮説は、地質学的記録によって裏付けられており、赤外線放射の物理的特性と対数スケールに基づくものである。

お分かり頂けたでしょうか? 地球ができた時のCO2は90% これのおかげで植物が大繁殖し、後の石炭になったことは以前のブログで書いた。6億年まえのCO2濃度は現在の20倍あったが、地球の気温はそれほど上昇しなかったことが何を物語っているのか。

とは言え、納得するには彼らの文献を読む必要がある。 宣言以後にエビデンス文献が出てくるであろうとして、読むことにしよう。