本日のブログで丁度300通目となりました。これまでのご愛読に心より感謝申し上げます。
流行に流されず、可能な限り筆者レベルでのサイエンスに基づきブログとして取り上げてきました。現在の主な流行は脱CO2。増加ネットゼロでは大変なことになりそうだ的な視点で記載してきました。身近なところでは農産物が不足し地球人口を養えない、エネルギー・物流コスト高騰による生活苦、脱石油化学により航空機や輸送船舶の減便、合成繊維ゼロによる絹か木綿の衣料生活を余儀なくされる。その木綿も量が不足する。木綿を入手しても織機において経糸には不具合(切断頻度対応ロスと工賃高騰)があり、合成繊維が担わざるを得ないなど数えるとキリがない。石炭化学時代には有機化学の発達により染料や医薬品合成の基礎を確立し、石油化学により自動車・電気電子の発達に陰ながら大きな役割を果たしている。自動車のプラスチックスを利用せずに内装は板金やアルミキャストなる普通乗用車でも重量は4〜6トンとなり、現在の立体駐車場は利用できない。道路舗装修理が多くなる、食品ロス対策としてのガスバリアフィルムによる包装や遠隔地産品の物流など、存在が当然になりすぎて、なくなればどうなりそうかの考えに及ばない風潮が確かにある。バイオ由来原料の石油化学代替はコストと規模が問題であり、富めるものは入手可能かも知れないが、恐ろしい格差と犯罪増加になるかも知れない。
とても見たくない光景だ。
流行に乗じたビジネスはありうるので否定はしないが、ルールの頻繁な改変が別の思惑もあり ますます混乱するものと思われる。そんなタイミングで遅かりし由良助ではないが、ノーベル賞受賞者と共同研究者の300名がついに声を上げた。
Nobel Physics Laureate 2022 Slams ‘Climate Emergency’ Narrative as “Dangerous Corruption of Science”
ノーベル物理学賞受賞者2022年、「気候緊急事態」説を「科学の危険な堕落」と非難
要旨は以下の通り
- ジョン・クラウザー博士(原子・原子レベルの物質と光の研究である量子力学の世界的権威) は誤った気候科学が「大規模なショック・ジャーナリズム的疑似科学に転移している」と指摘。彼の発言は、99%の科学者が気候変動のすべて、あるいは大部分は人間が引き起こしていると考えているという明らかなデマにさらなる疑念を投げかけることになるだろう。と述べている。
- また、同博士は 本当の気候危機は存在しない。しかし、世界最大の人口にまともな生活水準を提供するための非常に現実的な問題と、それに伴うエネルギー危機は存在する。後者は、間違った気候科学によって不必要に悪化している」と付け加えた。
- 世界気候宣言には約300人の気候学教授が署名し、こう宣言している: 「気候に緊急事態はない。主な署名者は、ノーベル賞受賞者のアイヴァー・ギーヴァー教授である。気候モデルは、「世界的な政策手段としては全く妥当ではない」と言われている。二酸化炭素のような温室効果ガスの影響は誇張されているが、有益な影響は無視されている、と宣言は述べている。
- 共同宣言者のアントニーノ・ジチチ教授(亜原子核物理学分野でのいくつかの発見を含む、生涯にわたる卓越した科学的業績)はイタリアの科学教授48人のグループを率いて、気候変動に対する人間の責任は「不当に誇張されており、破局的予測は現実的ではない」と述べた。彼らの科学的見解では、「1850年以降に観測された地球温暖化のかなりの部分は自然変動で説明できる」という。
- 著名な大気科学者であるウィリアム・ハッパー博士(プリンストン大学名誉教授)は、クラウザー博士の気候に関する研究は、気候危機は存在せず、CO2濃度の増加は世界に利益をもたらすという強力な証拠であると述べた。ハッパー博士は、CO2のような温暖化ガスの『飽和』仮説の主要な提唱者であり、そのようなガスは、あるレベルにおいて、赤外線スペクトルの小さな帯域で飽和状態になることを観察している。その結果、その温暖化能力は対数スケールで減少する。この観察は、CO2測定値が現在の大気レベルの最大20倍であった6億年の地質学的記録を説明するのに役立つ。
この最後のところを少し注釈すると。
温暖化ガスの飽和仮説とは、これらのガスが大気中の熱を閉じ込める能力は、濃度が高くなるにつれて低下するという考え方である。これは、ある時点でガスが赤外線スペクトルにおいて飽和状態になり、熱をあまり吸収できなくなるためである。
ハッパー博士は物理学者で、この仮説を提唱してきた第一人者である。彼は、地質学的な記録がこの仮説を裏付けていると主張している。過去にCO2濃度が現在よりもはるかに高い時期があったが、地球の気温はそれに応じて上昇しなかったからである。
赤外線スペクトルは、人間の目には見えない電磁スペクトルの一部である。可視光線より長く、マイクロ波より短い波長の放射で構成されている。赤外線放射は、絶対零度より暖かいすべての物体から放出され、温室効果ガスによって吸収される。
結論として、温暖化ガスの飽和仮説は、大気中のCO2濃度が上昇しても地球の気温が予想ほど上昇しない理由を説明する理論である。この仮説は、地質学的記録によって裏付けられており、赤外線放射の物理的特性と対数スケールに基づくものである。
お分かり頂けたでしょうか? 地球ができた時のCO2は90% これのおかげで植物が大繁殖し、後の石炭になったことは以前のブログで書いた。6億年まえのCO2濃度は現在の20倍あったが、地球の気温はそれほど上昇しなかったことが何を物語っているのか。
とは言え、納得するには彼らの文献を読む必要がある。 宣言以後にエビデンス文献が出てくるであろうとして、読むことにしよう。