1日に摂るべきタンパク質は体重の1.2倍。日本人は平均10%不足しているのが現状。シニアになるほど肉を摂るべきとは言うが簡単なことではない。年金生活では限度がある一方で畜産国においても地球温暖化影響で飼育を止めるところも出てきた。

タンパク摂取において需要供給両面で黄色信号が続く中、ノーベル賞相当の研究発表があった。

牛の飼料として利用されているトウモロコシ。 1年間飼育した場合のタンパク質はトータル餌のトウモロコシ1kg換算で5g。 それに対してトウモロコシを麹菌で発酵させると124g。発酵時間処理は4日と非常に驚くべき報告があった。お米も同様とあって、昨今の飼料米(古古古米)問題も貴重なタンパク源となるのではないか。

文献を紹介しよう。「日本の伝統食品”麹”を応用したタンパク質増産技術の開発 – 穀物を発酵させることで簡便にタンパク質を倍増 – 」2025.08.01 農業・食品産業技術総合研究機構

超要旨を引用する米およびトウモロコシにアンモニアや尿素等の安価な窒素化合物、その他の無機塩類、麹菌の胞子を混合して30°Cで静置し、4日後に培養物に含まれるタンパク質の量を評価しました。その結果、発酵前の米およびトウモロコシに比べ、タンパク質の量がそれぞれ2.3倍、1.6倍に増加しました。また、米やトウモロコシのタンパク質は、構成するアミノ酸のうち、必須アミノ酸であるリジンの比率が低いことが知られていますが、麹菌の発酵によってリジンの比率が高まり、タンパク質の質が向上することも明らかになりました。」

メカニズム及び効果は下図の通り

 

 

スケールアップが待ち遠しい。 日本のみならず、米国、中南米などの穀倉・牧畜産業に寄与することで人口ネックの地球を救う役目を麹菌が働く実の有益なことではなかろうか。

ところで、麹菌は日本酒(ついでお酢作り)、漬物などに古くから利用されている。筆者は毎朝の味噌汁には酒粕を配合。これにワカメや豆腐その他を入れている。酒粕に含まれるタンパク質の量は100gあたり15g前後とタンパク源サポート役としては十分に活用している。炊飯の白米の6倍に相当で良質な植物性タンパク質である。酒粕にはレジスタントプロティンという体内で消化されにくいタンパク質も含まれており、腸内を通過する際に余分なコレステロールを吸着する作用があると知られている。 この生活を少なくとも5年は継続している。久々にお会いする人からはお腹の出っ張りがやや小さくなったと言われることもある。“やや”にはお世辞のニュアンスも窺われるが、当の本人は気に入っている。酒粕には美肌効果があるようだが、そもそも荒れ果てた元が悪いので効果は不明(笑)。