ニュージィランドの首相が牛のゲップに課税すると発表して驚かせた。牛のゲップにはメタンガスが含まれており、CO2の4倍温暖化が理由。畜産農家は価格に上乗せるので競争力低下は避けられないとして抵抗している。対策はゲップが出ない餌の開発に向かっている。牛からみれば食べ慣れている定食を取り上げられて妙な創作餌を食べさせられる訳で、ストレスに繋がり肉質が変化するのではないだろうか? モーTAXサンと叫んだかどうかは知らないが。
先日ビックサイトで開催のTOKYO PACK 展を覗いた。紙によるパッケージ、木粉などバイオ材料を51%以上配合した樹脂製品など環境配慮型のオンパレードであった。100%樹脂に見える製品でも、原料がサトウキビ、とうもろこし、芋などからアルコールを摂り、オレフィンを合成し、後は従来の石油化学の製造法で樹脂を製造する“バイオ由来の樹脂”である。
紙容器に水など液体物を充填すると膨潤するので、内面にポリエチレンやポリエステル樹脂をコーティングする必要がある。一般的に紙の表面は水酸基OH、カルボキシ基COOHなどの官能基があり、ポリエチレンのC H 2-C H 2- からなる分子とは馴染まない。そこでポリエチレンを溶融積層(ラミネート)加工中に分子の一部を酸化させてOH,COOHの親和性を付与して紙と融着させる。そこで完成ではない。というのは融着させるための官能化されたポリエチレンが匂うと感ずる人もおられる。そこで、ラミネートした上から無臭のポリエチレンを重ねてラミネートの2層構造にしている。この無臭のポリエチレンを製造するには工夫がなされている。市場ではポリエチレンを製造するにどれだけ工夫をされているか知らない。裏方に徹しているのは気の毒なところがある。牛乳パックの牛乳の味を不思議に思わないで飲む。北海道産の牛乳が本州まで物流しても味に変化がないが誰も不思議に思わない。その働きを静かに実行しているポリエチレンを少しは評価しても良いのかも。
一方、木粉、竹粉、紙粉を樹脂に配合している製品としてスプーン、フォーク、カップなどがあったが、セルロースを主成分とするこれらは耐熱性が精々150℃まで。一方でトレーなどに使用されているポリプロピレンと混合するには樹脂温度が180℃〜230℃であり、セルロースは分解し着色、異臭を放つことになる。したがって150℃以下で混練や成形が可能なポリエチレンが主役となっているようだ。剛性がポリプロピレンより低いこともあり、相当量の木粉、竹粉、紙粉の配合となる。一般的にこのアイテムに挑戦している企業は樹脂における配合研究の蓄積が少ないケースが多々ある。ここは樹脂メーカーの底力で突破してほしいものだ。
セルロースの分解生成物は化学式で優に30〜50種類があり色や匂い対策は厄介だ。日本は無臭がベストで香り付き洗剤も色々変遷があった。電車でポテチはもとよりクリームを誰かが塗れば一斉に視線が突き刺さる。隣に座る人によっては、そっと他の車両に移動する人もいる。ワキガや加齢臭も本人に罪はないが、自分は臭いに気をつけているつもりで、かつマスクをしていても、体の皮膚からは臭い成分を発生していることを知らない。
“皮膚ガス分析サービス”会社が現に存在する。ニンニク、ニラを食すると皮膚からはアリルメチルジスルフィドが出ている。因みに加齢臭はノナン酸(皮膚が酸化して分解)である。皮膚ガス分析会社の資料によれば皮膚常在菌と紫外線により発臭原因になるもの、血管中の成分と皮膚腺と反応するもの、血液由来のもの 3種類に分類されるとのこと。
逆に血管内成分を皮膚ガスで分析することで例えば疲労度が定量されるようだ。すなわち手首にアンモニアセンサーを取り付けることで、疲労度が測定される。
冒頭のニュージィランド牛に餌の変更前後の皮膚発生ガス分析をしたら、何を読み取るであろうか。腸内細菌の変化が脳にリンクして制癌剤の体内生成に変調をきたしているが、それでも食べる?と言うかも。
ある人に石炭は過去のものを掘削するだけで、今現在石炭はできている?と聞いてみた。咄嗟のことで戸惑っていた。過去にできていたなら、現在はその種ぐらいは見つかってもよさそうだと考えるのが普通。木材、竹など伐採されずに放置され倒れて地面に接触するとヘミセルロースやセルロースを好物とする菌により分解される。この分解によるCO2もバカにならない。やがて何万年前に残りのリグニン(これが石炭の素)を餌とする菌が現れたことで、それ以後、石炭はできなくなったとの説が有力である。
何万年にわたる時間の中で、それまで地球環境が汚染されるままで良いとは言わないが、自然は妙な差配をするものだと感心することがある。