工業生産増大に伴う大気CO2増大が問題であることは常識中の常識。更に「森林や海はCO2を吸収するので大事にしないといけない」これも今や幼稚園児でも教えられている。
一方で米国トランプ大統領は就任直後に地球温暖化パリ協定から脱退するとして大統領署名。トランプ大統領は幼稚園児以下の米国ファーストわがままそのもの!と少しでも思った人はいるだろう。日本での工業生産による排出対策は乾いた雑巾を更に絞るようなことを政府・民間あげて頑張っているのに。しかしトランプが離脱する理由は分からないでもない。想像するに、かっての南北問題で資金が収奪されていたが、タイトルが変わっただけと同じではないかが彼の考えであろう。そんなことよりロスの山火事をなんとかしたら・・・と考えるような文献が出てきた。どのような文献なのか紹介する。山火事は極端だが土壌の乾燥・洪水繰り返しは地球上のあらゆるところで起こっている出来事だけに無視できない。
題名「乾燥と湿潤の繰り返しが土壌のCO₂放出を増大させることを解明」
新潟大、九大、日本原研開発機構 3者共著 2025年1月21プレスリリース。
要旨を編集すると
- 地球全体で土壌の有機炭素の微生物分解により放出される二酸化炭素(CO2)の量は人為的 CO2 排出量の約 5 倍
(補註:有機炭素:土壌に存在する有機炭素の量は植物体存在量の 3〜4 倍、
大気存在量の 2〜3 倍に達しており、陸域で最大の炭素プール)。
- 土壌の乾燥と湿潤の繰り返しによって、土壌から放出される CO2 の量が大きく増大する
- 乾燥と湿潤の繰り返しによる微生物細胞の破壊と分解に加え、土壌炭素の蓄積に寄与している活性金属―有機物錯体成分注 2 の分解促進により引き起こされている可能性
(補註;土壌に存在する活性金属―有機物錯体成分は、特にピロリン酸ナトリウム溶液によって抽出可能となる反応活性の高いアルミニウムや鉄を主体とした土壌成分であり、日本に広く分布する火山灰性土壌(黒ボク土)で有機炭素が高濃度で長期間安定的に蓄積されてきている主要因の一つと考えられている)
実験は
国内各地の 10 地点の森林から採取した土壌を、降水パターンの変化に伴う乾燥と湿潤の繰り返しを模擬した条件で 84 日間室内培養し、CO2 放出量の変化を評価
結果
研究者は今後屋外環境での実験を通じてメカニズム解明をされるとまとめておられる。ぜひ地球温暖化協定交渉の場で発表をして欲しい。制度疲労的が目立つようになってきた今日修正が必要ではないか。工場など人為的排出CO2と土壌からの排出量を加味することが重要かとこの文献から思った。
日本は雨乞いすることは極めて少ない。四方を海に囲まれていることが大きく寄与している。日本海側は豪雪の被害はあるものの、豊かな土壌となって湿気は維持されていることは雪が降らない地域の人は感謝すべきであろう。