2026年 2月 の投稿一覧

暑い日の増加が高齢者認知症リスク増加

知人の企業が中近東に進出するにあたり、開所式に招待したいとの話があった。滅多にない機会だけに「もちろん参加」と返答。その1週間後に「最近の日本が酷暑とはいえ、中近東の暑さには耐えられないし、認知症になる恐れがあるのでやめた方が良いのでは」と連絡があった。

その人は次の文献を見たからと根拠を示してくれた。 東京科学大2026.01.08 リリース。「暑い日の増加が高齢者の認知症発症リスクを長期的に高める可能性 −気候変動時代に求められる高齢者の暑熱対策を示唆−」

このブログでも認知症と取り上げる機会が多いので、早速文献を見た。

要旨を引用すると 全国6万人を3年間追跡した結果、5〜9月に暑い日が合計30日あると、翌年の認知症発症リスクが40〜150%増加することがわかった。その影響が数年にわたり持続する可能性があることが示されました。

これまでの研究では、加齢に伴う体温調節機能の低下により、高齢者が暑さによって熱中症や脱水症状などの健康被害を受けやすいことが知られていました。本研究はこれに加え、気候変動によって増加する暑い日が認知症発症の増加にも寄与する可能性を示した点で重要です

 

 

 

 

 

 

 

図1. 暑い日の数と翌年の認知症発症・認知症発症または死亡のオッズ

理由は記載されていないが、逆にいえば熟知の理由なんだろうとは思う。

例えば、以下のことが挙げられる。

1)極端な高温(熱ストレス)にさらされると、脳内で炎症が起き、アミロイドβやタウといった異常タンパク質の蓄積が促進されること

2)夜間の気温上昇(熱帯夜)は睡眠不足になり、老廃物(アミロイドβなど)の排出を阻害すること

3)高齢者は喉の渇きを感じにくく、脱水症状から微細な脳梗塞や血管へのダメージを蓄積しやすい傾向があること

猛暑でなくとも2)3)は自分も感ずるところがある。水分を摂りなさいと耳タコ状態ながら白湯の味気なさから規定量摂取することは困難だ。

対策として 白湯にリンゴ酢、レモン果汁、梅干しの追加をしているが、AIによると生姜、鰹、昆布出汁も有効とのこと。 是非お試し下さい。

最後に妙な疑問があるのは、赤道直下の人々に認知症にならないのだろうか?

結論は「問題なのは「絶対的な気温」よりも、「本来の気候から大きく外れた異常な暑さ」だそうです。気候変動による急激な環境変化に、個人の身体や社会インフラが追いつかないこと」。赤道直下の人々にとっては温度が急激に変化することはないことと、昼寝(シエスタ)を設けることで無理をしないことなどもあり上手にカバーしているのだろうと思われる。

認知症レベルの数値化

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)技術報告会で認知症の数値化として簡易にして精度の良い測定法を開発している発表をweb聴講した。

その前に、75歳以上の高齢者ドライバーは免許更新の前に認知症及び、運転能力の確認がなされるのでその風景を紹介する。認知症テストはA〜D組のイラスト集からなり、1組につき16枚の絵が相互脈絡なく描かれている。テスト会場ではA〜Dのどれかが選択され、スクリーンにその図が映し出され、受講者はそれを記憶する。覚えたところで記憶を消すような単純作業をしたのち、イラストを記憶しているかのテストがある。

16枚の絵は相互関係全くない。スクリーンを初めて見て、見た記憶を消すための作業をしたのちに元の見た絵を答える。結構厳しい。

ただし、抜け道がある。イラスト64枚は「今年のテスト」としてWEBで知ることができる。受講者は事前に64枚のイラストを色々工夫して記憶して会場に来られているのだ。涙ぐましい努力にも関わらず、テストが始まると会場は「う〜ん」「えっと何だっけ?」の声があちこちから出る。この風景からお分かりのように認知レベルを正確に数値として表現できるのは非常に困難。完璧に認知症ではないとは言い切れない事情も説明した通り、イラストを覚える語呂合わせを考えた知恵の差なのかも知れないのだ。

イラスト認知テストで合格すると運転技能観察を受ける。その時に見て驚いた。

坂道や段差乗り上げの途中でストップすべきところ、乗り上げ越えてしまう人。曲がる際にセンターラインをオーバーする人。一時停止が甘い人。このような高齢者が通常の道路をバンバン走行しているのだ。 この原因が認知症にあるとしたら、認知症測定をイラスト記憶方式から、より客観的に観察できるツールが必要だと思っていた。

認知症の検査として2つ紹介する。

2014年にノーベル賞を受賞した手法は脳内の嗅内野の変化をゴーグルVRで観察し定量化するものであった。(MIG株式会社導入) 発症20年前から予測が可能とのこと。

今回のJST報告会において、熊本大学・中村教授が発表した技術は6軸加速度センサーを腰につけて10m歩行をした際の歩行信号から認知症(特に中間領域M CI)の数値化が可能との報告。 発表資料からポイントを引用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この両方の技術ポイントを表にした。

 

 

 

 

 

 

 

相互に補完したシステムが最適だと思う。認知症に関する医薬、または健康食品がある。これらを服用、摂取した効果を知るには、中村教授法がわかりやすいと思われる。装置が簡単だけに、いろんな場面で適用されると期待。

運転免許更新時に10m歩くほどで認知レベルが判定されるであろう。またVRとも組み合わせると医療機関にかかる前の健康検査としても有意義になるであろう。

JST報告会で発表者のお名前を見て驚いた。三菱化学(現ケミカル)で計算化学研究所長を務める傍ら東工大(現東京科学大)教授を兼務し、その後は理化研で特別研究室を立ち上げ、現在は熊本大学の教授の中村振一郎氏。 都度思う「彼は天才」

室内温熱環境と血圧の季節変動

冬の朝はできるならもっと寝ていたい。布団からモゾモゾ手を出してスマホで外気温度をみる。あぁ今日は気合いを入れて行かなくては!と覚悟する。次に室内温度と湿度計を見つつ起き上る。 室内温度が14〜16℃を示すと手は自動的にリモコンの暖房ボタンを押す。これが冬の朝の定番Cueその1。

読者の中には16℃だと!? 冗談言うな、もっとこちらは寒いぞ!とお怒り声が聞こえてきそうだ。建築基準が2022年に変更になり2030年に建築するときは省エネ基準変更に伴う断熱等級7が必須になるようだ。

断熱=省エネだけと考えがちだが、パナソニックホームと大阪大学が血圧の季節変動が起床時の温度と関係があるとの文献を発表した。これは日頃、血圧の基準値変更に一家言ある小生としても目を通さざるを得ない。

「パナソニック ホームズと大阪大学大学院医学系研究科の共同研究が国際誌に掲載 室内温熱環境と血圧の季節変動に関する研究成果」2026.02.04

要旨が表にまとめられているので、引用する。

 

 

 

 

 

 

 

研究者が以下のようにコメントを出している。

冬は心血管疾患の発症が多く、特に気温の低下による血圧上昇がその原因の一つであると言われて います。寒冷時での血圧上昇に関しては、生体が体温維持のために交感神経を活性化し、また熱放散抑制 のための血管収縮が生じるため、結果として血圧上昇をきたすことが知られています。

理由はわかった。低い寝室温度下でギリギリまで寝ていて急に起き上がり動いたら体としては、行動に対しては血流を多くする必要がありつつも収縮状態の血管では全体として高血圧になり末梢細い血管には血流が届かなる理屈になる。 次の図は非常に参考になる。

 

 

北海道では樹脂製窓枠の2重窓が一般的だが、北陸・京都あたりも普及してきた。だが全館暖房には程遠く、個別の暖房に依存しているご家庭が多いと思われる。タイマーで起床時には暖房されるようにするのがせめてもの対策。

 

 

 

 

 

ところで、文献の研究者が言われる交感神経とはわかっているようで自分は正確に知らないので調べた。それによると、自分の意志とは関係なく、24時間休まずに内臓や血管の働きをコントロールしている「自律神経」というシステムがあり、交感神経はその司令塔の一つで「体を活動モード(戦うか逃げるか)に切り替えるスイッチ」とのこと。 もう一つの司令塔は副交感神経。

交感神経: 運動中、仕事中、恐怖やストレスを感じた時など、エネルギーを消費して活発に動く時に働く。

副交感神経: 食後、睡眠中、リラックスしている時など、体を休めてエネルギーを蓄える時に働く。

 

 

 

 

 

 

 

忙しいビジネスマンは常に交感神経を酷使していませんか?

酷使すると反動がありますので時々は休憩や休暇を取ることも必要でしょう。

とは言え、悠長なことを言っておられない人もいることも事実。働いて・働いて・働いて・働いて・働いて・・・・わかり過ぎるほど分かるが、そこまでしたのは誰なのか。反省して・反省して・反省すべきだとは思うが、それが自分もその一人だと気がついたので副交感神経が命ずるところにより「今週はここまで」。

納豆の東西違いと糸引きレオロジー

この1週間、京都の家内の実家にいた。当方は毎日の朝食に納豆を摂っているので、普段は納豆を摂らない家族が気を利かせて納豆を用意してくれた。小粒でやや硬めの豆で撹拌してもネバネバ糸曳きが少ない。一方でやや甘い。

原料は同じく大豆には間違いがないが、まず5ミリほどの小粒が目に入る。なぜ小粒か?と聞けば小粒ほど表面積が大きいので納豆菌が多く付着する。なるほど。なぜ硬いのか? 大豆を蒸す時間を豆の弾力を見ながら調整するとのこと。蒸す時間が長く、発酵温度が高いとアンモニア風味がする(風味がボケる)らしい。知らなかった。水戸藩納豆と京公家納豆の違いとも言えそうだ。尤も公家が食していたのは大徳寺納豆だと思われるが、やや苦味が強く味噌に近い。一度京都を訪れたなら小粒納豆と大徳寺納豆をトライされたら文化の一端に触れるかも。

ここから、巷間言われていることにやや疑問に思っていることを取り上げる。

納豆を「100回、極端に500回混ぜると納豆キナーゼが増える」と宣う人がyou tubeなどで多く見かける。以前このブログで少し触れたが、

1)納豆キナーゼ量は工場での発酵処理工程でほぼ決定され、撹拌で増加することはない。物理化学で整理され、納豆キナーゼが増えるのは俗説。

2)糸引きはγポリグルタミン酸がメインでこの分子の間に擬似架橋成分の多糖類の一種であるフラクタンとの水素結合やイオン相互作用で架橋したように絡むことによる。納豆キナーゼではない。

3)それでは納豆キナーゼとは何か? AIに聞いた。

 

 

 

これでスッキリした。 そこで遊び心で 糸引きについて実験をしてみた。

・多糖類の代表である砂糖を配合。結果 強い糸引きが簡単に得られた

・お酢(りんご酢)を配合すると撹拌により空気を巻き込み、太い糸引きが得られた。

面白いので皆様その他をトライしてはいかがでしょうか。

糸引きの撹拌工程は食感改良にあるのだが、擬似架橋や架橋は工業材料に多く利用されているのは熟知の通り。納豆を撹拌しながら手応え(弾性率G‘変化)を想像するだけでも面白い。

擬似架橋を生成するには温度が重要な因子となることから、当方は冷蔵庫から納豆パックを取り出したら、約30〜40度程度の温水の上に浮かべる。その後に撹拌すると10回程度で強い糸引きが完成する。冷蔵庫から取り出し直後だと100回に相当する。これも皆様 本当かと試してみては如何でしょうか。

物理化学的にいえば、γポリグルタミン酸の分子間距離を広げ、フラクタン分子がその間に浸透し擬似反応する図が浮かんでくる。

γポリグルタミン酸のガラス転移温度は20度。この温度以下ではガラスのように分子が動かず硬い状態、20度以上では分子がクネクネと動きやすくなる。分子間距離も温度が高くなるほど広くなる。フラクタンが入りやすくなる。当方の実験温度と概ね一致する。但し、65度以上では納豆キナーゼが分解するので要注意。

自然は凄いことを実にサラッと(否ネバリ強く)教えてくれる。実に愉快ではないか。