急発進対策

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連休の後半になってようやく晴れた。鮮やかな新緑と横浜の海を見たくて散歩。途中で自動車販売会社にお勤めのエンジニアと出会い談笑。その話題が老人の運転。

 急発進でコンビニに突っ込んだり、立体駐車場から飛び出し落下したり、先日の池袋の悲惨な殺傷事故に加え、逆走、横着非常識走行マナーなどの事例を踏まえると、免許返納を勧めたいと思う。しかしながら高齢でも運転せざるを得ない事情があることも同時に知っている。

 そこで国として公平性の観点から歯止め制度を設定している。すなわち、70歳以上になると高齢者講習会を免許更新に義務づけている。座学に加えてドライブシュミレーターを利用して欠点指摘、実技試験もある。癖になっている運転マナーを修正するには良い機会である。

 また75歳以上では認知機能検査があり、判定がレベル1になれば高齢者講習会に参加するには医者の診断が必要条件となっている。経験は勿論ないが、もし記憶力や数字を逆に言うようなテストだとしたら、筆者も最近人の名前が出てこないことから、満点をとる自信がない。またスマホ頼りにしている若い人は記憶することの頻度が少なくなっていることから、不合格者がでるような気がする。 逆走の原因が認知機能の劣化にあるのは理解できる。ただし急発進は別の原因があるようにも思われる。

 シニアの立場で考えられるのは、例えば経済的なこと。燃費を良くするために信号待ちや下り坂ではニュートラルにしておけば、最低限のガソリンで済むはずだ。年金暮らしでは少しでも節約したい。。の気持ちがあると思う。AT車ではブレーキを踏みながらロック解除しないとPレンジからシフトできないが、Nレンジからだとブレーキやロック解除しなくてもシフトすることが可能。 記憶が散漫になってくるシニアは今レンジであることを確認せずにアクセルを踏む。ところが動かない。アッ!Dではないことに気がついて慌ててDにする。その結果急発進暴走となる。若い時から誤作動なんてしたことがないとの過信もあり悪循環となる。

Nは牽引するときだけの限定ですよと教習所の科目に入れるのが好ましい。

 更にシニアになれば身長が短くなる。若い時より足の位置が微妙に変わっているだろう。運動性も劣化してくる。 シニアにとって我が身を点検する意識が重要だ、しかし注意だけに頼った対策は万全ではない。 機械的に制御することが最終的に求められる。

 市販の装置がある。これはアクセル踏み込み加速度を読み取り、急なアクセルを踏んでも速度が抑制される仕組みとなっている。3万円程度の装置なのであるが、年金生活者が果たして取り付けるか疑問。クルマが本当に必要な地域には補助が必要かもしれないが、その地域自体が交付金で成り立っているのが多いだろうから、これも無理かも知れない。

 さて、冒頭の自動車に精通している人は面白いことを言った。

それはシニアはMT車に限定すべきであると。なるほどATはクリープ現象があり、エンジン停止機構がないクルマは徐々に動く。これに焦ったシニアはブレーキを強く踏むつもりがアクセルを踏むのだと。これがMT車であれば半クラッチから徐々にアクセルを踏まないと動かない。クラッチ操作を早くすればエンストして動かない。シニアが免許を取得した当時はMT車だったはず。。。。。非常に説得力がある。 

 つい、最近のIOT、自動運転、センサー、組込みCPU、5Gなど先端技術でカバーできないかを考えがちであるが、これよりクラッチは機構が簡単である。想定される危険は坂道発進。左脚が若い時のようには俊敏に動かない。なのでクラッチがかからず、坂道を下って後続のクルマに衝突するか、何度もエンストを起こして後続車の虐めの視線を浴びる程度だろう。でも、世の中全体にしたら許される程度と理解しよう。

 レベル2程度の自動運転の敵は睡魔。MT車での長距離運転では脚は疲労するが、減速でのエンジンブレーキの使用や追い越し加速時のシフトアップなど結構、身体を使うことの他に、如何にもクルマを御しているとの感覚はある。往年のクルマのフィーリングを思い出すのも良いのかもしれない。 レーン維持、併走車接近センサーなどはMT車であってもシニアには欲しい機能である。ナビ画面に運転が長くなると休憩を勧める画面に切り替わる。顔認証でドライバーの年齢など判定し、走行アドバイスができるなどは先端技術を利用しつつ、MT車の良いところも残すようなことができるなら有意義であると思う。

ATで免許を取った人も何れ老人になる。しかしながら、その時はレベル5になっていると信じましょう。

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