英単語練習タイミング 

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早稲田大学など5大学から発表があったのは「英単語の練習、脳科学で最適なタイミングを探る ―記憶定着は対話「前」、意思疎通の促進なら対話「後」の練習が効果的―」である。2025.10.06リリース

2つのスパイ漫画を片方は英語で説明し、受け手は聞いた通りに漫画絵を描く。その時に双方の頭にfNIRS(エフニルス/機能的近赤外分光法)装置を取り付け、脳のどの部分が活性化しているのかも同時に調べたもの。

日本人英語学習者 80 名(40 ペア)を対象に、語彙練習のタイミングが学習成果と対話中の脳活動に与える影響を検証したとのこと。このスパイ漫画図を英語で説明するには相当英語レベルが高いと(自分を基準にすると)思われる。冗談ではなく、自分であったら単語は別としてどのように説明したら良いのか当惑して脳活動は停止したままだろう。当然、相手方は何を言っているのか分からないままテスト終了となるであろう。2つの漫画を図示するので各自トライしては如何でしょうか。

論文の超要旨は 本研究は世界で初めて、英単語でのコミュニケーション活動において、単語練習を活動の「前」に行うと記憶の定着が進み、「後」に行うと対話中の脳活動がシンクロし相互理解を促進するという、練習のタイミングによる効果の違いを明らかにしました。

確かに、対話前に単語・熟語・専門用語などを複数回繰り返し声を出して覚えるとその後も覚えているものだ。自分の経験で何だこりゃ?的な熟語を40年前に風呂に浸かりながら何度でも口にしたので今でも覚えている。その熟語は翻訳辞書では出てこない。多分、幼児かスラング言葉だったのだろう。また初めての海外学会発表の時に恥をかいてから英語を真面目にやらなくてはと奮起したこともあった。上達はしなかったが講師の話すイントネーションをそっくり真似すれば通じることを知ったところで、自分の英語マスタードタバタ劇は終わってしまった。今は、そのうちに優れた瞬間翻訳機が出てくるだろうと待っている。

 

ここで、この文献を読むうちに違うことを思いついた。それは説明をする手順の違いで情報の伝達(精度、理解速度)に違いがあること。当然と言えば当然だが、代表的なのはクッキングの伝え方に見ることができる。すなわち、材料Aグループ、調味料Bグループをリストアップ、次に料理の手順(処理方法、時間・温度)。次に盛り付け、最後に味の評価とPDCAの流れ。

言葉を前・後に覚えてもこの順で説明をすることがポイントかと。多くの技術論文はこの流れで読者・研究者に理解をしてもらうことがパターン化されている。 多くの会議では「結論を先に述べよ」と言われるが、要するに「今日の献立はこれです」と紹介するのと、文献内容を凝縮してタイトルとするのと同じ。

これを丁寧にするのが日本流。ディーゼル排気ガス不正発覚したら即EVが結論だとして猪突猛進して壁に衝突した欧州。メニューにガソリン車の熱効率50%を目指して研究を続行しBEVよりCO2排出量を削減可能性が見えてきたこと、ハイブリッド技術の磨き上げ、BEV向け電池開発、FCV、水素エンジン継続などマルチパーパスの料理を用意しておくのが日本流。今これが各国の経済・社会事情に合わせて受けている。この冒頭の文献は英語学習者(相手も英語学習者)同士の結論だが相互のレベルの違いを理解して話すことの方が脳は活性化され。伝えるための技術、質問する技術など相互にとって有効だろうと思う。

英単語学習タイミングと脳の活動の論文から随分話が飛躍した。辞書を引き引きの会話でも、翻訳機を利用しながらの会話でも、相手がこの人は真剣だと感じてもらえれば、ポイントのところは理解しようと努力するものだ。自分の経験で言えば「わかったフリ」をして質問しなかった時に、他の人が質問してやっと理解した恥ずかしい経験がある。スパイ漫画を受け取る人がどのような質問をすれば話す人を助けるのかを考えた時、脳の活動が活発になっているはずだ。

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