年末年始・いやその前のクリスマスパーティを含め1ヶ月は特に女性による調理やもてなしには頭が下がる思いだ。男も料理をする時代になったものの、テキパキとおせちを作るとなると邪魔者になる。大掃除をやることで存在感を僅かに示すだけとなる。だが、ちょっと待って欲しい。大掃除をしながら、この作業をしなくても済む方法はないだろうか?と考えるのもありではないかと考えるならどうだろう。例えば窓拭き。戸建ての2階の窓なら普通に拭ける。一方、超高層マンションとなれば、それはできない。内側と外側に磁石のついた器具を利用している人もいるだろうが、プロ並みの仕上がりには到底及ばない。超高層マンションならずとも、デザイナーマンションと称する建屋は清掃に適しているとは縁遠いものだ。筆者と仲間は秘策を思いついた。今年はこの秘策を表舞台に出すことを一つの目標にした。目標も精度よく明確に。朧げに2030年とは言わない。
いくつかのテーマを新年にあたり掲げた。共通するテーマは“精度”。受注〜出荷〜アフターフォローとして精度ある対応とは何だろうか。日頃のお客様からの声に精度よく反映させることに尽きるのだが、それを精度よく受けて行動に移すことを肝に命じて。
以前のブログで歯科技工の工程はいくつかのユニットから構成されており、各工程での公差(誤差)の累積がトータルの公差(誤差)になることを紹介した。そのための各ユニットの精度を上げることが重要である。単なる仮定の計算であるが、工程1の公差が20%だとして、工程2の公差も20%であるとしたとき、工程2終了後の累積公差は?と統計処理の専門家から問われた。20+20=40%の最悪ではないが、現実は二乗和平方根の28%が最もありうるとのこと。その公差は工程数が増すにつれて大きくなることは間違いない。
工程1が印象採取にあり、その精度は石膏の膨張率に依存しているとした場合、膨張率の低い石膏グレードを選択することになる。できれば膨張も収縮もしない0%がベストだ。実際の石膏技工に筆者は疎いので的外れかもしれないが、モデル作成時のノコギリ切削、カービングにおいてひび割れ、クラックが起きないこと、水に何度もつけての切削は面倒なのでしないなども含めた目標を置いた。それなら膨張率0%、切削・カービングが容易で切断面がピカピカの光沢を持ち、かつ圧縮応力が低下しないようなものができないか高硬度汎用石膏をベースに実験したことがある。結論は実験室ではあるが出来た。一丁目一番地の精度改善としては候補技術になるだろう。
本年はその他の工程・製造における精度改良材料が可能か検討することになろう。“なろう”と精度がない表現は許されないので期中での見合いで再掲する。
話は転じて、高名な陶芸家から年賀状を頂いた。そこに書かれていたのは“感覚の世界”に生きる芸術家の矜持・考え方が表現されていた。それも突き詰める精度。技術とは対極にある世界であるが共通するものがあると鈍い頭脳でも理解した。一見、芸術は精度・公差とは無縁であると思っていた自分は無知だと教えられた。追い求めギリギリまで追求して到達した世界観を陶芸で表現しているのだ。
今、脱カーボンとして、火力発電ダメ、原発ダメ、太陽光・風力も頼りにならない、ガソリンエンジン廃止と論ずる人の勢いは強い。しかし全部ダメダメとなった世界を想像出来ない人はどうやら昨年末で置いてきぼりになったと言えそうだ。最近のCO2回収火力発電、モジュール小型化原発、太陽光・風力エネルギー保存の新しく安価な方法、バイオガソリン・水素エンジンなど解決策が提案されているこの頃風景が変わりつつある。日頃、ギリギリ・ミリミリの考え方・技術など精度を追求開発しているからこそ表舞台に出すことができる。
正月3が日は国の祝日。祝日を増やそうとした時に候補になったのは聖徳太子が制定した十七条憲法発布の日(4月3日)。筆者の誕生日なので、いつも気になる憲法である。“和を以って貴しとする”は誰でも知っているが、相手の名誉を尊重し、決して貶すことなく議論を徹底的にしなさいと説いている。 由利公正の五箇条の御誓文の“万機公論に決すべし”と合い通ずるところがある。
精度ある議論を尽くし決まったら即行動に移す。新年にあたり“本年の目標は精度”と肝に命じた次第。