低温大気圧プラズマ

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♪黄昏は むらさきに 風の流れも 染めていく ♫ 。。そのような気分がわかるような季節になった。いつの間にかである。そのいつの間にかに大気圧低温プラズマが凄く進歩している。 冒頭の「風の流れも染める」とは阿久悠の凄い感性。ひょっとしたら秋風のような低温領域でもプラズマ照射すると風の中にある微粒子の表面が親水官能化されて染めやすくなるのかも。。。と無粋な技術者の発想で申し訳ない。

一昔前までは真空・減圧・数千度温度条件でしかプラズマ照射できなかったが、今は大気圧下で肌に照射してもほんのり温かく感ずる程度になったことで、応用が広がっている。群馬大・黒田研究室、東工大・沖野研究室などが精力的に大気圧低温プラズマに取り組んでいる。

その前にプラズマって何? 

右図は固体→液体→気体→電離気体(プラズマ)移行を水を例に示している。プラズマ中ではイオン、電子、中性粒子、ラジカルが運動している

数千度の電離気体と聞いて“雷”を着想した人。正解です。 雷が多いと松茸が増えると言われているが、小生はプラズマによる水および松茸細胞が活性化するのでは・・・?と信用しないで頂きたいが食いしん坊の小生は妄想している。

しかしながら水にプラズマ照射して生成したバブル水は植物育成に効果があることを東工大が発表している。 

プラズマの種類としては、アルゴン、ヘリウム、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、水素など拡大している。 低温大気圧プラズマの温度としては0℃以下から200℃までなので、親水化対象が樹脂、繊維、紙、ゴム、金属、半導体、更に生体などに応用できることができる。親水化により異種材料同志の接着が容易になる。フッ素樹脂でさえ接着することが可能など。

ここで代表的用途例を挙げると

半導体                   表面酸化物の高速還元

印刷                        回路印刷

接着                        イミドフィルム銅張り接炭素繊維/樹脂接着 

CFRPCFRTP 自動車、スポーツ用品 

殺菌・抗菌          食品 

医療                        内視鏡手術止血 (血液と傷口と反応させることで

           “かさぶた”を瞬間生成させる) これは歯科医にとって 

           参考になるだろう。

また肌表面付着の汚染物質やアレルゲンにプラズマを照射してガスクロで分析するなど皮膚科、化粧品関係にも展開が期待できる。

低温大気圧プラズマが可能になってのは、ガス種や照射装置自身の温度を低温に維持できる装置が必要である。これに3Dプリンターが活躍している。金型は冷却配管をニアネットシェイプに配置できることが重要であるが、3Dプリンターは可能にした。プラズマ装置の冷却構造や内視鏡極細ノズル化も3Dプリンターの進歩があってのこと。

小生は2003から3年間ポリカーボネートの成形品の表面にガラス化する化合物をコーティングしたあとで大気圧プラズマ処理することで耐傷付性かつ軽量のある自動車窓ガラスを開発したことがある。有機ガラスは実は戦時中の大型レンズ製造を目的に開発されている(産総研池田に展示)。これが大気圧低温プラズマと合体することで軽量車両に応用される。自動車窓ガラスの場合、3次元形状は苦手であったが、群馬大ではそれも可能にする技術を発表している。異業種の基礎がそれぞれ確立している日本だからこそできると自信を持ちたいものである

最後に食いしん坊が自信もてないのが食事による血糖値。都度の採血は避けたい。そんな要望に添いそうなデバイスが発表された。発表資料によれば

原理は北海道大学・清水孝一教授が研究していた、光を用いた生体の診断技術だ。液体に一方向から光を当ててのぞきこんだ際、その液体に含まれている物質の量や種類によって、光は散乱し、ぼやけて見える。同社の脂質計測器では、生体にLEDで光を当て、その散乱度合いをもとに脂質を計測する。メディカルフォトニクスが製品化。、手軽に食後高脂血症の測定ができるようになる。

それにしてもこの写真は迫力がある。

小生が開発するなら、食事中の高脂血症アルゴリズムから最高値を予想して、その前に満腹感を脳が感ずるようにするが、どうだろう。 それとも信号機のように青、黄色、赤で表示か。

文献) 群馬大・黒田教授 20188.月 大学技術展資料

    東工大・沖野教授 2018.10.13 未来産業技術研究所 講演、公式パンフおよびHP

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