誰よりも当該テーマを研究していた東工大関係者が能登半島地震に伴う津波被害について切歯扼腕されたであろう。この論文が発表されたのが1月18日。当然その以前から長く研究されていたテーマであるだけに、このアイデアが実現していればと思ったであろう。
超アバウトに要約するならば平常時には防波堤の一部は海面下にあり船の通行はできる。地震が発生と同時に防波堤が姿を現して津波を抑える仕組みとなっている(海底設置型フラップゲート式防潮堤)。
東北・淡路震災後に一部のみ設置したが、来たるべく南海地震には設置費用なども含めて理解を得るにはもう一つ付加価値が必要と開発者は考えた。それが潮位差発電をこれに組み込もうとする考えである。説明には以下の図を見るだけで十分理解できるのでご参考にして下さい。潮位差発電はすでに海外では行われているが、特に日本海は潮位差が小さいこともあり実用化されていない。
さて、最後の図は日本の各地の大潮・小潮の潮位とそれに対応する発電力マップである。能登半島(番号26)の潮位差は小さく、潮位差発電も0〜5レベル。これでは経済合理性だけで浮き防波堤の設置は難しい。科研費獲得にもコスパを研究者は訴える必要がある。まさか能登半島に4m超の津波が襲うとは予想すらしなかったであろう。従来の潮位データーより海底地震をどう捉えるかが重要になってきた。海底資源探索において3方向からの地震波形を解析する研究が進んでいると聞いている。海底資源も有力な経済パワーになるので本テーマにもう一つ役をつけて満貫と行きたいところ。
そういえば、地下鉄の入り口にポリカーボネート製の雨水シャッターを考案した会社があった。地下鉄を頻繁に利用するが見たことがない。何か事故がないと設置しないのだろうか。南北線やりんかい線の地下深度の深い路線は豪雨時にはなるべく避けているが、地震には個人で可能な術はない。