お店によってはアルコール殺菌と検温の両方をしないと入店拒否されることがある。昨年末から6ヶ月の間、手の皮膚はアルコール殺菌、泡ハンドソープなどでの洗浄頻度が急増している。一般医院が患者激減で経営が苦しいなか、増加しているのが皮膚科。皮膚の表面が脱脂されることにより手荒れ、ガサガサ、水疱などの治療が多いと聞く。市販の塗り薬で対応するも、塗り方が適切でないと正常な部分が逆に冒され拡大するに至って皮膚科を訪れるとのこと。
こんな時に「アルコールアレルギーのお客様には******」を勧めるようなお店があれば、お客様の立場を理解しているとして、買う動機のボルテージは高くなるだろう。極端だが画一的なアルコールしか眼中にないような店には、商品やサービスを期待はしない。
筆者は注射や採血時にはアルコール脱脂綿より、クロルヘキシジングルコン酸塩をお願いしてきた。早口言葉的で最後まで言うと看護師さんの当方を観る眼が違ってくる。(多分変人だぁ!と)。注射程度で赤くなったり、痒みが発症する程のアルコールアレルギーではないが、看護師さんとの会話目的が半分の理由。脱線ついでに、採血では静脈を探すが、静脈が細いか内部に存在すると看護師泣かせで、筆者はそれに相当する。健康診断時に一発で当たると凄いと褒め、何回でも刺したり抜いたりの繰り返しの看護師には激励して、心配無用、既に赤外線を利用した静脈位置測定装置があるので何れ普及するとか、また唾液からも現在の採血に代わる分析が理論上は出来ているので、採血の腕を磨く必要はないなど会話をしながら採血が終わるのを待つ。隣では筆者が終わるまでに3人は終了している。(注:唾液からの成分分析精度は血液の1/1000なので本格実用化は先)
上記で「******を勧める」とあるが、さりとてクロルヘキシジングルコン酸塩は普通はない。それではどうするか。基本は石鹸による手洗い。手洗い動画はピコ太郎さんら芸能人により衆知徹底広報がなされた。石鹸での手洗いによる殺菌はザックリ言えば洗濯の原理と同じである。
今回の新型コロナウイルスを対象にした研究ではないが、インフルエンザのウイルスに対して普通の石鹸が非常に有効であるとの報告が北九州市立大学、広島大学、および石鹸メーカーから発表された。(引用:日経 山根真一)
インフルエンザウイルスの表面(エンベロープ=外殻)は、脂質二重膜で覆われている。つまり、これらのウイルスは1ミリの1万分の1という極微小の「脂くるみの玉」とみたてると、洗剤の界面活性剤は布に染み込んだ脂汚れを引き剥がすが、ウイルスの外殻も脂なので同じようにその脂を引き剥がす。洗濯と理屈は同じ。その様の動画がある。米国の蛋白質構造データバンク(日本支所は大阪大学蛋白質研究所)が製作したものでTVで宣伝される界面活性剤による洗濯や食器洗いのイメージと同じである。
米国の蛋白質構造データバンクが製作した動画「Fighting Coronavirus with Soap」の一部を図示した。
ところが、昔ながらの自然素材無添加石けんは通常のハンドソープの100倍以上の対ウイルス殺菌効果があることから、単なる洗濯原理ではなく、別のメカニズムがあると先述の研究者らは突き止めた。
自然素材無添加石鹸には「オレイン酸カリウム(C18:1)」を含有しており、ウイルスと「静電的相互作用」して棘を抜き取ることで殺菌効果が大きいと結論付けている。この結果を実験で観察するには界面活性剤が吸着するときに発熱するか、急熱するかの超微量カロリーメーターが開発されたことが大きい。詳しくは引用文献を参照されたい。
自然素材石鹸は共同研究会社のシャボン玉石けんから求められるが、日本で最初にフランスから石鹸がもたらされ国産化した当時は現在の合成界面活性剤は存在していなかったので、玄武石鹸なども広い意味で自然素材無添加石鹸に該当するのだろう。現在も玄武石鹸はあるが業務用なので、手洗いに適用は要確認。
もとより、石鹸は手の正常な脂質を除去することから、手洗いの後はハンドクリームを塗ることが必要であり、これが医療従事者にとって手洗いの頻度が高いだけに厄介である。
さりとて、樹脂製の薄い手袋を終日装着していると蒸れて異汗性湿疹になりかねないし、手袋の内面に滑りをよくするための無機フィラーが配合されていると、それによるアレルギー反応をもたらす。(手術室で使用の手袋は滑り剤は配合されていない。空中に飛散することを回避している、)
筆者はここに新しい需要がありそうだとみており、いずれの開発アイテムに取り上げている。当然のことながら歯科、歯科技工も対象としている。さて、その秘密は?