ピーエムエムエー。6月1日からコスモサイン合同会社はPMMAディスク販売を開始致します。7月末までのお客様にはBUY 2 GET 1 FREEサービスを展開中。是非この機会のご応募をお待ちしています。また6月12日にはAiditeのWEBセミナーで戸田様が全世界に向けてのレビューがありますので、是非ご参加下さるようお願い申し上げます。
このブログではPMMA材料の基礎を改めてご紹介致します。
【分子構造】
歯科関係者ではお馴染みのPMMA。右のn(分子量)が非常に大きい超高分子量PMMAとn=1 のMMA(モノマー)を混合してシロップ化させた後で、加熱・注型成形。今回のディスクは高分子量PMMAを複合材料化して異型押出成形により製品化している。
【特徴】 PMMAが他樹脂に比較して圧倒的な特徴を有している物性は多岐に亘るが、
- 透明性
ガラスより光線透過量が大きい。不思議かも知れませんが、人間の目での波長領域では全光透過率は93%。これが「透明材料の女王」と言われる理由である。
- 耐傷性
表面硬度が高い。鉛筆硬度では4H。長期的に摩耗強度を評価する方法としてテーバー摩耗があるが樹脂中では圧倒的に高い。匹敵するのはテフロン。因みに同じ透明樹脂のポリカーボネート樹脂はFB程度。自動車内装材に利用されているポリプロピレン樹脂もFB~Bと低いので表面を塗装するか、ウレタンなどで被覆している。
- 寸法安定性
基本的に100℃までの線膨張は7x10-5と小さい。PMMAディスクでは切削性や強度改良手法が織り込まれているので、更にこの値より低い。このことは歯列寸法が安定することを意味する。
- 耐熱性
樹脂の耐熱には融点、軟化点、ガラス転移点などがある。PMMAは結晶性ではないので融点はない。だが軟化点やガラス転移点はポリエステルより高く、100~110℃近傍にある。スープやラーメンがいくら熱くても常時口腔内でこの温度になることはない。
【用途】
- 導光板
パソコン、ディスプレーの光源は実はLEDが背面に並んでいるのではなく端面に線状の光源があり、PMMAの板(プリズムを刻む、又は超微粒子を配合して端面からの光をディスプレー全面を均一に照明している。基本的に透明性・導光特性が利用されている。
- 照明器具
天井のスモーキーで大型照明器具。光拡散材を配合して中にある光源が見えない。
- 台所・家具・トイレタリー
耐傷性と透明性を利用して洗面ユニット、テーブルなど多い。また無機フィラーをシッカリ多く配合すると「人工大理石」としてキッチンに利用されているのもPMMA。
- 自動車
パネル(速度計、タコメーターに加え、カーナビも同一パネルに装填されている。この視認性はPMMAが優れている。リアランプカバー ストップランプ、方向指示など急なアクションへの応答性が優れていることから自動車後部に多く採用されている。(フロントは衝撃の高いポリカーボネート製)
- 大型水族館パネル
PMMAシートを屈折率が同じアクリル系接着剤で積層。接着面で空気が残ることをうどんで周囲を囲ったら成功したとの逸話は有名。今はシリコンラバー
- レンズ・ミラー
表面をアルミなど蒸着することで、軽量で割れない鏡ができる。建材や道路資材に利用されている。尚、コンタクトレンズはアクリルの親戚で柔軟性があり、親水性もあるアクリル共重合樹脂が利用されている。
【歯科材料】
- 圧縮強度、耐傷性、寸法安定性などは上記の通り。
一方で、切削性についてはガラス転移点温度が高く、適切な充填剤を配合することで、ドリル巻き付きが押さえられ、切削先端部の発熱を除熱ができるよう工夫がされている。
- 耐薬品性
水、酒、ビール、牛乳、酢、ソース類に安定、酸(塩酸、硫酸、硝酸)アルカリにも安定であり、食品衛生適合材料であることも安心できる。
- 着色性
歯科技工品にはカラーリング処理が施される。PMMAは冒頭の分子構造に見られるようにカラーとの親和性が優れている。鮮鋭性のあるカラーリングが得られるのもメリットが大きい。