人の意思決定は眼球運動に現れる

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Perceptual decisions interfere more with eye movements than with reach movements.

東北大・松宮教授メンバーが8月に発表したタイトルであるが、翻訳者は「心の可視化に近づく成果」とタイトルに併記している。面白いタイトルに惹かれた。元の英文にも目を通した。しかし、どちらも理解の限界をはるかに超えていた。

要約は ①「目に見えない心の中のプロセスである意思決定をどうすれば可視化できるか?」は人間の行動理解が課題。②意思決定と関連のない運動行為(眼球運動や手の運動)を行っている場合でも、眼球運動は意思決定の影響を受け続ける ③人間の行動の方向性を決める意思決定が、目に見える運動行為である眼球運動にだけ影響を与えることから、この研究成果は眼球運動が目に見えない心の中の意思を読み取る窓になる可能性がある。

面白いが次の図1をみて混乱した。理解するには相当読みこむ必要があると感じた。気にはなっていたがそのままにしていた。

 

一方で、幕張メッセで開催されたCEATEC 2023にてTOPPANデジタルと近畿大学が共同で微小眼球運動計測器を展示。眼球のマイクロサッカード運動を高精度で計測する装置を展示しており、自動車運転モニターで前のクルマを追尾している時の眼球の動き、前のクルマがブレーキを踏むとき、そして衝突時における眼球とブレーキを模したボタン操作の模様を画像として理解できるようになっていた。

企業の説明は実に分かり易い。

その展示ブースをみた瞬間、鈍い頭にあの東北大の文献が蘇ってきた。再度、再再度読み返してみた。そう簡単に素人が理解できることはなかった。だが文献に登場する医学用語・心理学用語を孫引きしているうちに、この文献が伝えたいとの意図とは違うが、別の意味で納得した。

それは意識にはボトムアップとトップダウンの両面があること。確かに、ボトムアップの定義をWEBでは周囲の物体と色や形の特徴次元で異なる物体は目立ち(ポップアウトして)我々の注意を自動的に引き付けると説明している。スーパーの野菜・果物売り場では同系色を並べてはいない。ポップアップの文字も工夫して売りたい商品を前面に押し出している。

コスモサイン・Aidite共同出展のワールドデンタルショーでコスプレ嬢を登場させたが、周囲のブースからポップアウトしていた。SNSを観た若者がブースに押しかけた。ポップアウトとしては成功した。技工会社の首脳も初めは躊躇していたが若い社員の勧めで撮影に興じていただいた。

一方のトップダウンとは何か。会社の上層部からの命令・指示ではなく、筆者の解釈で言えば心の経験値からくる判断といえよう。プレゼンテーションにおいて動画やカラフルな図表で注意を引き付けるポップアウトがメインのケースでは発表者は自信満々だが、理解度は50%未満のことが多い。相手の経験・レベルを理解した上で、十分な理解と共感を得るためのワンピースに気がつき、それをプレゼンに忍ばせることができる人は凄いと思う。手前味噌になるが、コスモサインの加藤代表のプレゼンはそれに近い。

とくだくだ書いていると、部屋にご高齢者が入ってきた。なんだって、そりゃ〜目に関する言葉はいろいろあるわな。と。“目が笑っていない”“目は口ほどにモノをいう”“目が泳いでいる”“目が座っている”“見る目がない”“目つきが悪い”“刮目してみよ” WEBで調べると200以上もある。これらはマイクロサッカードで観察できるものもあれば、心眼で読み取るトップダウンもある。心眼読み取りワードは英語に翻訳できない。日本人が長い歴史の中で蓄積してきた微妙、繊細、侘び寂び文化からの発露でもあるからであろう。その意味で人の意思決定システムを開発ができるのは日本ならではであろうと理解して東北大、TOPPAN近畿大の研究の今後を待ちたい。

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