東京モーターショーから

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ビックサイト西、南棟および青海地区と別れてのモーターショー。やや不便だけど東京オリンピックの準備でビックサイトの東棟は利用できないので我慢。行った日は雨降りだったが、多くの人を集めていた。ざっくりとした印象では

*軽自動車の充実。

居住空間確保に天井を高くし、ステップが低いのでお年寄りでも乗り込みやすい。国内自動車の40%の分野を占める軽自動車。競争が激化。半自動運転機能など充実。200万円台も。

*超小型車の提案。

現在の道交法では認可外であるが、コミュニティを変える可能性がある。過去・幾度もコンセプトカーとして提案があったが、社会生活パターンが合っていなかった。災害などを契機にコンパクトシティ化になると、実現することを期待。かかる提案が日本メーカーでなくドイツからあるのは意外。

*電子・情報産業の缶詰

半自動運転、視野拡大(画像、ミリ波)、コネクト技術などが主座を占め、自動車メーカーはそのハコモノ生産の立場になった感あり。ドライバー情報(体つき、スケジュールから)乗り込む前からシートの位置や行く先ナビ(半自動)設定、その他コネクト。。。。。

ずっと以前であれば、自動車の売りはゼロヨン何秒などを謳っていたが、今は「カイテキ・楽々・安全」がキイワード。パーツメーカーや情報産業の開発成果の組み立て産業の一つが自動車と性格が変わった。その翌日にホンダ部品メーカーと日立合併が発表された。

*プレゼンテーション変化

完成車を展示+ステージショーの組み合わせは例年通り。だが、おや?と思ったのはトヨタ。トヨタのブースにはクルマ展示がない。ステージのみ。パフォーマンスが圧巻。Fun to drive から Play the futureへ。

パフォーマーのパルクール(アクロバチック、スタントマン的)。三代目J Soule Brothers似の雰囲気。ダンサーのウエアや小道具には音楽に合わせて変化するLEDパターン電飾。トヨタはEVに出遅れているのでは?とのイメージを払拭させているなぁと強い印象をもった。実に上手い。センスがある。ただ、クルマ展示は関係会社ブースで展示。レクサスは別棟でと抜け目がない。

*社会への提案(1) 日野自動車の試み。 バス運転手の体調不良やミスによる事故対策として、運転手の異常を乗客が検知した場合、スイッチを押せば、自動的に安全速度・安全位置に停車させる提案。

トラック配送は喫緊の課題であるが、これも日野から提案。3Dプリンターによるトラック・フラットフォーマーを イスラエル企業と日野チームが発表。 

この応用例として宅配自動ロボを提案した。 配達はドローンやロボットでなく、Face to Faceが嬉しいとして運転は自動だが、 個別配送については商品を配達人の後をロボットが着いていき届けるというもの。配達人がリタイアシニアや主婦の運動+小遣い稼ぎの一石二鳥。 何年後には実現するのだろう。 包装しなくてもトラック内で自動包装する仕掛けもコンセプト。

 

*社会への提案(2) ヤマハ車椅子。 車両乗り込みなど段差があっても移動可能な車椅子があればと思っていた。ヤマハではモーターインホイル+前輪形状工夫していた。実用化可能性あり。今後は乗る人の身体的不自由さなど考慮した装置を狙うとのこと。社会に出る機会が増えることは良い。これに大企業が取り組む姿勢が好ましい。

 

*材料の軽量化

セルロースナノファイバーを樹脂に配合して強度を高め、その結果、薄肉にする試作品が多く展示されていた。環境省の肝いりで補助金政策の結果である。課題はセルロースナノファイバーの価格、及び炭素繊維複合材の強度に比較すると低く、薄肉化の程度に差があること、耐熱性は連続使用温度が多分80℃程度なので高耐熱エンプラが使用される部品には適用できない。 今後の開発に期待。All-CFRPボディ(車重855kg)と勝負できるか。

 

 

 

 

 

*タイヤの軽量化と空力特性

ヨコハマゴムでは10kg/個のタイヤを5kgの試作品を発表。確かにボディの軽量化が進んでいるが、タイヤは残る課題。また、走行による抵抗減少としてタイヤの側面に特有の出っ張りを設け回転すると空気抵抗が小さくなるとの計算と風洞実験で確認。これも実用化すると面白い。

 

 

 

 

 

*配布パンフ変化

今までは豪華印刷のパンフが配布されていた。今回はQRコード印刷の名刺サイズの配布がほとんど。これも時代。

*説明員

質問に対して的確な回答ができる説明員の配置。業界情報からクルマの性能までプロとしての対応が心地良い。そんなブースが多かった。マネキン美人コンパニオンの写真撮影する人は少なくなった。消費者の意識が変化していることは確か。工業系高校から団体で来ている学生に聞いて見た「先生から注目点など指導がありましたか?」。答えは「何も聞いていません~」 なんと勿体ない。 折角のプロの説明員と積極的に関わることで本人も、結果として社会もの作りの 基盤ができるチャンスであるのに。

*海外企業

フランクフルト、上海規模に比べると小さくなった。だが、逆に欧州経済の凋落、中国と米国の関税戦争などから、軸足を日本に向け始めた企業が出たことが注目される。

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