1日8,000歩で十分疾病予防できる。いや1000歩でも速歩であれば十分。諸説あるが、注目されるのは南デンマーク大学が歩数と疾病について、研究論文を発表した。(JAMA Internal Medicine 2022年9月12日)。1年の健康目標の中で食事・運動などの計画を立てられた方もおられると思い参考までに引用します。
結論を先に記載すると 解析対象;40~79歳の成人7万8,500人(平均年齢61±8歳、女性55%) 5万3,196人年(期間中央値7.0年)の追跡で、心血管死664人、がん死1,325人を含む2,179人が死亡。
結果は
1日最大1万歩までは2,000歩多いごとに、疾病リスクが8〜11%の割合で低下する。
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全死亡リスク:8% 〔平均変化率(MRC)-0.08
(95%信頼区間-0.11~-0.06)〕、
心血管死 :10% 〔MRC-0.10(同-0.15~-0.06)〕、
がん死は 11% 〔MRC-0.11(同-0.15~-0.06)〕少ない
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また、共著であるシドニー大学の研究者によればウオーキングが認知機能に保護的に働く可能性が示され、1日9,800歩の人では50%, 3,800歩の人では25%認知症リスクが低かったと報告している。
歩行速度は1分間に80歩がリスク低下の傾向があるとも報告している。音楽のリズムで言えばアンダンテ(76~108)? 欧米人は日本人より普通はゆっくり歩いているのか。日本人もスマホ見ながらや、高齢者が多くなるにつれ歩行速度が低下したが、それでもモデラート(108~120)やアレグロ(120~168)だろう。以前の大阪であればプレスト(168~200)的だった。だから日本人は長寿なのか・・・と早合点は禁物だが。
ここで音楽のリズムを持ち出したのは他でもない。東京大学が2022/11月/12日に医療技術ニュースに人間がビートを取りやすい120~140BPMの音楽でラットも体を動かすことを発見したと発表したのである。テンポに対してラットの脳活動もビート同期することを明らかにした。凄くないですか。ミッキーマウスはパレードの音楽に合わせてダンスをしていたけど、それが何か? と子供に言われそうだが。ラットの頭部に加速度計を取り付けテンポ132BPMのクラシック音楽を流したところ半数のラットはビート同期運動をした。さらに2足で立った状態では外部からもノリノリがわかったとのこと。
この発表ではクラシック音楽を調べてみると多くの作曲はこのリズムを踏襲しているとのこと。筆者はBGMをかけながらパソコン作業をすることがある。ちなみにリズムを測ってみたところ120。一見(古い表現で申し訳ないが)ディスコ調ポップス・メロディが速いかと思いきや120BPM。椅子に座らずに終日立っての作業となれば、知らず知らずに万歩計はパソコン作業中にもかかわらず1,500歩を示している。体がBPMにシンクロして動いているのだ。東京大学の文献にはラットの脳の順応パターンとBPMの関係図がある。
そういえば、小学校の頃、先生から「もっとゆっくり話をしなさい」と耳タコができるほど注意された。今にして思うと このことだったのか。早口は言葉が明瞭に伝達かどうかではなく、相手の頭脳に入るには特定のリズムが大事なので早口はダメだとのこと。
先日、駅の出口で漫才コンビがお客からネタをもらって即興漫才を話していた。一生懸命なのはわかるが、早口なので何を話しているのかさっぱり分からなかった。漫才は特に「間」が重要である。投げられた言葉で「間」のあいだに聴衆はあれこれ想像・妄想し、次の瞬間に見事に裏切られて爆笑する。その起笑パターンを若い漫才コンビはわかって大物になって欲しい。
東京大学さん“もっと早く研究発表をしてくれていたら” 筆者の人生は変わっていたかも知れない。いや、あなたの場合は「間」ではなく「スキだらけのスキ」だと言われるだろうが、南デンマークの発表を信じてBPMウオーキングをしよう。よし今年の目標ができた。ただ闇雲に歩数が多ければよいとはならないに関係する文献もあることも事実なので歩きながら考えることにするか。