糖尿病&腸内フローラ話題

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医者と弁護士を友人にもつとなにかと便利とか。高校の同期会が東京であり京都から医者の同窓生が駆けつけてくれた。司会の粋な計らいで折角だから講演をお願いしたところ、堅い話題ではなく、簡単なクイズ形式で○×をつけて解説するパターンで約30分。○×とはいえ学生時代の試験雰囲気をチョッピリ味わいながら和気藹々。高齢になると25%は罹病する糖尿病について13問。学生時代に先生の一ひねりした問題に往生したことを反映して、設問も一ひねり。うっかり引っかかるような設問に思わず笑い。さて折角だから著作権は同期のよしみで勘弁してもらい幾つか紹介する。

  • A男:糖尿病って遺伝だよね。B子;それは小さいときに発症する1型糖尿病だね
  • A男:やせと肥満で糖尿病に違いある?。B子:インスリンが出なくなるから同じ
  • A男:治療は同じようなものか? B子:インスリン分泌促進薬を使うのじゃない?
  • B子:肥満の人が治療したら痩せるのか? A男:血糖値が下がるので体重は減る

答えは××××

がイントロで、食事や運動に関する情報、腸内フローラの重要性など講演。とりあえずの乾杯をしてからの講演であったが、参加者から活発な質問があり盛り上がり。それを見越して講演者は補習のための資料を用意。最近では話題になり始めたフレイル、サルコペニアなども資料で紹介、日頃の生活習慣に関するアドバイスがあった。

ここで、糖尿病から一旦離れて、腸内フローラについて先月東京農工大の木村教授を中心とする研究チームが食用油と腸内細菌作用について有意義な研究成果を発表していた。食事に利用する食用油だけに気になってメモをしておいた。

テレビや医薬・健康食品メーカーのCMなどでお馴染みのオメガ不飽和脂肪酸。ω3は末端から炭素数を数えて3番目に不飽和結合(二重結合)を有する不飽和脂肪酸でナッツ油、リノレイン酸、DHAなど。ω6は炭素数6番目に二重結合の不飽和脂肪酸で菜種油(キャノラー油)、サラダ油(菜種・大豆など混合油)で日頃の食生活では圧倒的にω6を摂ることが多い。 ω3とω6の摂取バランスが崩れω6リッチになると組織炎症が起こることをマウス実験で確認されたとのこと。

文献のタイトルは「腸内細菌は食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸を代謝することにより宿主の肥満を防ぐことを解明」 (日本の研究.com)(Nature Communication9月号掲載予定)

論文 Gut microbiota confers host resistance to obesity by metabolizing dietary polyunsaturated fatty acids

【要旨抜粋転載;腸内細菌が代謝により多価不飽和脂肪酸を(HYA:10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid)など新たな脂肪酸に変化させることで宿主のエネルギー代謝調節に関与し、食事によって誘導さえる肥満を改善する。】

腸内細菌が減少すると、この作用も制限され組織炎症が発症するとのことで、腸内細菌の量を調べると炎症すると減少することが認められるとのこと。

我々はお通じ改善意識でヨーグルトを摂ることが多いが、このメカニズムがマウスから人間に適用されるとそれ以上の価値になるだろう。今までの腸内フローラについて一般向けには善玉菌だの、悪玉菌だの、日和見菌だの分かったような、わからないような曖昧な説明ではなく、専門研究者からの明確にして簡潔な説明を期待したい。知識が曖昧だと過剰反応してしてあらぬ方向に引っ張られることは、最近の環境レジ袋有料化でもみるように木をみて森を見ず的な危険性がある。

腸内フローラの作用について、今回の発表のようなナルホドと納得する基礎研究は重要である。我々は理解した上で毎日の食生活で腸内フローラの栄養源にまで配慮しているかどうかを考え、またそれが食物繊維だとしたら最適化につながるために何ができるか。ナノテクノロジーが専門の化学者としても出番があるのではないかと考える。

この段階まで書いてきて、ふと、気がついたことがある。それはフレイルだとかサルコペニアだとか身体の劣化について定義して老人化の判断としている。でも、法人という「人」にもあてはまるのではないかと。そこでフレイルの5条件(3つ以上あればフレイル判定)を記載すると

(かっこ内は企業法人への読み替え)

  • 体重減少     (現業ビジネスがピークを越えて下り坂)
  • 主観的疲労感  (経営層の改善意識が現場と合わず空回りしての徒労感)
  • 活動量の減少  (営業の活動がルーチン。拡大のための活動をしていない)
  • 身体能力の減弱 (キャッシュフローが回らない))
  • 筋力(握力)の低下 (リストラなどカンフル剤は長期的に会社体力が減退する)

因みにサルコペニアの条件では歩行速度が≦80cm/秒であるが、スピード経営しないと市場から見放される。

まして小判やお仕立て券を貰って平気でいられるような会社は人工透析が必要だ。

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