舗装材料とタイヤのこれから

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首都高横羽線工事で耳目を集めたのが橋の付け替え工事。既存の橋の横に新しい橋を用意して、横へ移動して置き換える方式。凄い発想と実行する技術があることに感心。

この工事により横羽線は交通止めの煽りを受けて、筆者はお台場にある東京都産業技術研究センターに実験で数日通う際に迂回路の渋滞にまき込まれた。普段目にしないコンテナヤードの景観の中40フィートコンテナ牽引車に挟まれるように走行。なんとなくのフィーリングだが、その道路は高速道より頑丈に作られているような気がした。2つの海底トンネル然り、湾岸線のトンネルとは違うように感じた。20〜23トンのコンテナ車が行き交う道路と2~4トン車両では舗装の分厚さは違うのだろうか。多分同じ基準だろうがタイヤに感ずるグリップ力が違うような気がする。グリップには道路表面の凹凸や素材によって変化する。

渋滞中、舗装がこれからどうなるのだろうと考えた。レジ袋有料化・プラスチックスを使わない、石油化学製品はバイオ材料への転換・・・と環境を理由に脱石油・化学の結果として、アスファルトが不足することは容易に予想ができるからである。ご承知のように原油から熱と触媒により比重の軽いナフサ・ガソリン、ついで軽油が、最後に重油が分留される。アスファルトはこの重油の中でも比重が重い粘着性のある分子量の高い物質。ガソリン精製量が少ないと自動的にアスファルトは減少する。

アスファルト減少対策として痛んだ表面層だけを削り取り舗装することが現在は行われている。相当前からアスファルトを輸入しているのだが、アジア各国もいずれ日本の石油精製と同じパターンとなるであろうから、いつまで持つかわからない状況にある。答えは簡単。コンクリート。と言いたいところだが、長年の砂利不足問題がある。つまりは脱石油でありながらアスファルト類似性能材料の出現が待たれるのが本音。今のアスファルトがいわば副生物で価格が安いことが特徴だけに、代替材料はそれがネックになる。それでも誰か研究して欲しいものだ。

一方、昨年11月欧州委員会(EC)がタイヤと舗装の摩擦摩耗により発生するマイクロプラスチックス量を制限するEuro7 が提案され注目された。2023年3月に技術報告書が発表されている。それによると摩耗粉からの粒子状物質とカーボン排出量は80%削減できるとある。2025年達成とのこと。米国でも一部の州では動きがあるようだ。但し上記のように筆者の見方では舗装の質が変化すれば時期も技術的内容は見直しがあるのではると思う。具体的にはタイヤメーカーが検討中なので外野からはわからないが、タイヤ設計面では: 素材に柔らかいコンパウンド、耐久性の高いトレッド、より低い空気圧を使用するらしい。筆者の想像ではこの際エアレスタイヤが出現するのではないだろうか。(写真はトーヨータイヤHPより)

より低い空気圧及び柔軟なコンパウンドの理由とエアレスタイヤの特性と合うように思えるからだ。このタイヤが実用化されたなら道路からの走行音が静寂化すると仮定すると、ボディの材料・構造設計にまで関係するので、実に面白いことになりそうだ。それともう一つ。米国ほどではないがSUVの車重量は2.5~3トン。米国では4トンを超える車がある。重量と摩耗量は概ね次の式で整理される。

タイヤ摩耗=f(クルマ重量の2乗*タイヤ空気圧の2乗*道路の凸凹 )

極端なことを言えば、軽自動車、それもタイヤが1つ少ないオート三輪が好ましいか。 これから地球に優しい人と見られるには軽自動車に乗ろう!と軽のメーカーが言いそうだが。

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