貼る人工膵臓

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最近、我が家の夕食で異変が起こった。ご飯が既にお茶碗に盛られている。従来、ご飯は自分で「よそう」スタイルだった。既に盛られているのは良いとしても量が少ない。よく言えば京都の料亭風、別の言い方では糖質制限食。幸いなことに家族は自分を含めて糖尿病、高血圧、心血管症などは患っていない。となると物価高の影響がついに来たかと長嘆息。

そんなに嘆かなくてもと言われるであろう。「健康に気を遣っている、予病の意味でも良い機会ではないか」の声が聞こえてきそうだ。

そんな中、近くの図書館で雑誌「日本医事新報 No5123 7月号」を目にした。タイトルは「緩やかな糖質制限の疑問に答える」北里大学・糖尿病センター長の執筆によるもの。

超要約すれば、1日の糖質量は70〜130g であり、毎食20〜40+間食10のパターンを継続すること(図―1)。さすれば体重は(文献中の図―3)のごとく変化する。肥満度が高い人ほど効果があり、痩せすぎの人は逆に体重は増加すると記載してある。毎食や間食にはロカボ(Low Carbohydrate)でありコンビニではロカボ食品があるらしい。

 

 

 

小生は英語を略するよりは「低糖質」と日本語表記したらと苦々しく思っていることと、コンビニには滅多に行かないので初めて知った次第。糖尿病患者や家族が医者に言われて知るような言葉は一般的に普及するには問題だろう。

そう、遅れているのかもしれない。最近流行(バズっている)のメタバースにもついて行けない。ビル・ゲイツやザッカーバーグは時代遅れと言われても、それすら追いついていないと反省なのか落ちこぼれ感が少しある。

話を戻して、「〜の範囲」があるのは人の活動状況(消費エネルギー、脳の利用度)の分布を反映しているのであろうか。脳の活動は糖質分解性生物のブドウ糖に依存する。そうか冒頭の白米の量は家族による小生の頭脳活性指数だったのか。

過剰摂取は中性脂肪としてお腹周りに蓄積される。浴衣姿では恰幅がいいねと言われたのは、はるか昔のこと。一方で高齢者はやや太めが長生きするとも言われている。

従って糖質量についての最適解は中性脂肪量、血圧、年齢などの要素を入れた分布が好ましいと思った。解を求めるにコホート研究に協力してくれる人数、個人情報と処理能力が問題であり、おそらく量子コンピューターを必要とするだろう。また上記文献の著者は糖質が抑制されれば肉には脂質が0だから満腹感まで摂っても良い。と記載されているが、これは脂質ご専門家の文献をチェックする必要はある。

早くタイトルのところを書け! それが頭脳の動きが遅い何よりの証拠。とお叱りを受けることは、枯れ始めている脳でもわかるので、次に糖尿病になった場合の新しいインスリンの投与について、これも最近話題になっている講演会から引用し紹介する。

研究者グループを代表して最先端医療技術紹介を東京医科歯科大の松元亮教授が「貼るだけ人工膵臓」を講演された。当日はZOOM講演でありスクショ禁止なので掲載はできない。その代用として、電気学会論文誌2012 年 132 巻12 号 p. 455-458に題名:「自律型インスリン投与デバイスの開発状況と将来展望」を掲載しているので要約から引用する。

「糖尿病は感染症ではありませんが、その急速な世界的流行は「パンデミック」と認識されています。インスリン依存性糖尿病の治療には、継続的かつ正確な血糖コントロールが必要ですが、現在の緩和治療は、ほとんど患者自身によるインスリン注射に依存しており、患者のQOLを損なうだけでなく、過剰摂取を厳に慎まなければならないインスリン量を正確にコントロールできず、重症低血糖を引き起こすことがあります。自己制御型インスリン送達システムの開発は、材料科学の長年の課題であり、グルコース酸化酵素と糖結合レクチンを利用することが、グルコース感受性の機能を取り付けるための有力な戦略である。しかし、これらのタンパク質は変性や細胞毒性があり、長期保存に耐えられないため、埋め込み型医療には適さず、現在も臨床応用には至っていない。本総説では、フェニルボロン酸誘導体化ポリアクリルアミドゲルを用いた完全合成の代替品開発の現状を概観する。」として

フェニルボロン酸のイオンと2種類のポリアクリルアミドを共重合してゲルを生成。その中にインスリンを内包さておく。表面に糖質(グルコースが近寄ると、直ちにインスリンを徐放して血糖値抑制させる仕組み。皮膚に塗布する仕方にも細かな突起物で固定と拡散を助ける工夫をされている。費用も安価で何より会食の前に一人席を外してお腹にインスリン注射する恥ずかしさはしなくて済むのは何より。

原理原則は次の反応式による。グルコースが近づくとゲルが収縮してインスリンを放出する仕組み。

松元教授はこの基本となる高分子ゲルについて2003年の高分子論文誌に投稿されており、現在のほぼゴールが見えるまで実に少なくとも20年以上の熱意で開発・研究をされている。彼らの最終目標は「貼るだけ病院」。研究は地道だが待っている市場は大きい。頑張ってほしい。

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