オメガ3の不飽和脂肪酸(亜麻仁油、胡麻油、リノール酸、大豆油など)は心疾患リスクが低いなど健康に良いのは“常識”になっている。
だが、少々化学を履修したものから言えば、不飽和の二重結合部分は熱によりシス型からトランスに変化することもあり、酸素と反応すれば二重結合部分が劣化開始点となって低分子やカルボニル、カルボン酸などを有する化合物を生成する。だとすれば調理温度だとか保管方法なども説明がある方が親切ではないかと思っていた。
飽和脂肪酸のマーガリンは冷蔵庫に収納していても亜麻仁油は室温で保管されていることがある。実際、我が家でも小瓶であれば冷蔵庫に入れるが、大瓶だと暗所であれば良いだろうと安易に考えていた。サプリのDHA、EPAの保管も室温。定期的に購入していると劣化前に次のオーダーがくるが、時として試供品を手にすると、いずれ服用するだろうとして放置することが多い。(厚労省の見解はサプリが有効であるとは現段階は不明であるとしていることに注意)
一方で、タマネギやニンニクも健康食品として重宝されている。信じて疑わない。ところが、といつものパターンである。名城大学が12月6日に発表した記事を見て考えが浅かったと反省した。タイトルは
「ニンニクやタマネギなどに含まれる成分が、調理過程で トランス脂肪酸の生成を促進する事実とその抑制方法を発見!」とある。要約すると
1)影響する成分とは含硫化合物 (ポリスルフィド類)、イソチオシアネート類)
2)ニンニク、タマネギ、ブロッコリースプラウトなど野菜類と青魚
3)加熱調理の過程でシス型がトランス型に(図参照)。
4)防止するには180℃以下、短時間が好ましく、酸化防止剤の添加配合が好ましい。オリーブオイルは比較的耐熱性がある。
ただ、著者によると生成量が少ないのでオーバーなアクションする必要はないとのこと。
名城大学と共同研究しているのはニッスイであり「魚の油焼け」に精通されているのであろう。この魚の油焼けはDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が酸化により魚特有の生臭みや不快な臭いを発生させることがあり、魚の鮮度や品質を低下させる原因となっている。特に鯖、いわしなどの青魚は油焼けしやすい。
なお、東北大学がプレスリリースした 「食品に含まれる共役脂肪酸ががん細胞を死滅させるメカニズムを発見 -食品中成分を活用した新規がん予防・治療法の開発に期待-」(12月13日) を参考とするならば、なおさら高温・長時間・繰り返し使用することは賢明ではないと思われる。
男もすなる料理とならば、スーパーで主婦に聞くことがある。ブロッコリーの選び方を教えて下さいなど聞くと親切に教えてくれる。茎根っこが割れているとダメとのこと。先日は魚売り場であれこれ品定めをされている主婦がおられたので選ぶコツはなんですか?と聞いた。
するとエラの色や目の濁り、体の弾力などをチェックして新鮮な魚を選び、それがないと冷凍ものを選ぶとのこと。なるほど、上記の条件と奇しくも一致していた。さすがプロ。
冗談だがバナナ売り場で、選択基準は何ですか?と聞いた。一人の主婦は「本数!」ともう一人は「バナナ同士のあたりで変色しているところ」と実用的なお答え。非常に正直。これが男だったらなんと答えるだろうか。無言か屁理屈を並べるかだろう。
なお、ファミリーレストランの油再生にタッチしたことがある。その時の油の管理基準は酸化度、油の色目などであり油劣化に対して厳しく管理されていることを末尾に添えておきます。