たまたま見たTVのニュースに車の盗難報道があった。この種のネタは過去色々あった。だが、今回の監視カメラの映像は従来とは違うやり方だ。のちにYahooニュースで「CANインベーダー」と呼んでいることを知った。
キーレスエントリーがどのクルマにも採用されているので、多くの人はキーを自宅に保管する時には電磁波シールドのある金属容器に収納されていると思われる。裸で置いておくと微弱な電波を増幅して盗難する輩がいると知ってのことだ。当方もそれで良いと思っていた。しかし、先日の監視カメラ映像では、クルマのバンバーを外してパソコンを接続して巧妙にデーターを書き換えて盗難する監視カメラ画像が報じられていた。従来のイモビライザーだけでは厳しいとの声があるようだ。
こうなると高級車を所有する人は安心できない。当方は言うまでもなく関係がないが、気になる。
クルマは電子部品搭載移動体と化している。パソコンを購入すれば必ずセキュリテイソフトを入れるが、クルマはさてどうなっているのか? テスラ車はキーフォグがなくてもスマホで作動するようだ。そのスマホがハッカーされたら?と余計な心配をする。
2022年から車両監視サービスが強化され、車両メーカー+ソフトメーカーがそれぞれタッグを組んで進めるようだ。
(図―1)にあるように、クルマの差異化にセキュリテイの性能競争が加わった。(日経Automotive 9月号)
ソフトは国内ではNTTが名乗りをあげているが、パソコンなどのソフトで培ったノウハウを活かして海外勢力が攻勢をかけている。それにしてもイスラエルがドイツ、日本へと食い込んでいるのは驚く。軍事産業の成果なのか、優れた頭脳集団なのか、それとも政府のベンチャー投資政策が功を奏しているのか。いずれの因子も絡んでいるのであろう。
さて、そもそもどこがハッカーされるのか(図―2)に示すように、外部の要因が多い。
今までクルマ1台についてのセキュリティを書いてきた。ふと三年前の北陸における大雪で車列が一斉に動くことができず、物流に大混乱をきたしたことがあったことを思い出した。もしハッカーが日本の幹線道路走行の車列に一斉攻撃をした場合、道路は閉鎖状態になり、経済的打撃となる。クルマは自動走行などCASEが進めば進むほどハッカーに脆弱になることは避けねばならぬ。ドイツではレベル4の略自動運転が認可されたが、ユーザーが求めるのは、本当は新世代CASEであろうか? クルマって意のままに操作して見知らぬ所にまで行くことができる楽しみがある部分を削いでいる感もある。
そういえば、高齢者のブレーキ、アクセルの踏み間違い事故が多発した時、ディーラーの人から、高齢者はマニュアル車を運転すれば良いのではないかと言われたことをこのブログに書いた。そうか、その考えだと、クルマってエンジンかモーターの駆動部とタイヤ、そしてハンドルとカバーする覆いがあれば十分なのだ。まるで馬車のようだが。
カーナビが導入されてから地理音痴が増えた。歩いていてもスマホのルート案内を眺めながら下向きで歩いている人が多い。事前に地図を頭にインプットしておくとか、道に迷ってもあれこれ考えることで神経ニューロンが新しく成長し、接続することがあるかも知れない。ニューロンが枝を伸ばす様子を撮影できる時代。この方面の医学研究が進むことが予想される。
今のクルマは駐車時において、あたかもクルマの上から見ているような画像を見ながら所定のゾーンに駐車することができる。また自動駐車機能もある。ドアを半開きにしながら白線を確認してのバック風景は見ない。おそらく20年前のクルマを今の人が運転したら枠線からはみ出た駐車や、助手席の人が誘導する光景になる。人間らしいといえば人間らしい。運動神経も試されていた。
欲望のエントロピー拡大がもたらす将来は必ず反作用があることを、地球温暖化などに鑑みて考えることが重要かもしれない。チャップリンが見ていたら格好の喜劇ネタと思うだろう。とはいえ、技術の進歩が人に幸福をもたらすことはある。そこの見極めが重要であり厄介な課題に現代人は当面している。