バイアス情報と沈静化

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インボイス制度は法人・個人営業を問わず取引に伴う消費税取扱を明確にするための制度で10月1日からスタートする。登録にあたりマイナンバーを記入。現在、世間を賑わせているマイナンバーである。筆者はマイナンバーに不信感はなく、どちらかと言えば毎年の確定申告も無しになってほしいのが本音。むしろインボイス登録をe-TAXでパソコンから申請した場合のセキュリティの方を心配した。パソコンを開けると昨日は○件を駆除したと表示されるからである。

マイナンバーカードが騒がれる発端は紙の健康保険証が廃止されることに気がついた時からであろう。意図的か又は単なる不安かのどちらかで反対している。不安は情報過疎から来るもので、明確な説明があったかどうか記憶にない。分かりやすい広報活動がなされていないところに問題があると思う。マイナンバー登録におけるトラブルの多くの内容は家族が同じ銀行通帳で登録したとかで、件数も7000件程度とマイナンバー登録者数から見れば0.1%未満。他人家族通帳紐付けはあってはならないが、その対策作業を透明化することで沈静化すると思われる。

問題は意図的インフルエンサーによるバイアス情報の拡散。某新聞で大きく記事で取り上げられている。進学校の名前をつけた芸能人がマイナンバーカードを返納したことなどtwitterで賑わっている。その高校出身の同僚がいたが、芸名変更してくれないかなぁと言っていたのを思い出した。

マイナンバーそのものはカードを返納しても個人番号として存在する。出生や帰化届と同時につく。カードなしで例えば医療機関を利用する際にはそれ専用の職員を用意することで全体コストを押し上げることは取り上げられていない。紙の保険証では年間500万件のトラブルがあると甘利氏の発言が本当だとしたら「そんな無駄は排除せよ!」と声が出るはずだ。マイナーカードのメリット・デメリットを表にして政府・マスコミが分かりやすく世間に浸透させればIQが高く、教育を受けた日本人であれば“案外どころかやはり”の判定をするだろう。バイアスに罹患するのは帰納法的考察が苦手(要するに直感で判断と他人任せ)の人に多い。

意図的バイアスの一つがBEV一択戦略。

環境にはBEVとの掛け声にオールパスウエイを言う企業を“遅れている”としていた風潮。それがどうやらバイアス雲がちぎれ違うシーンが見え始めた。EV一強路線のVWがEV車の生産調整に入った。30%以上の削減を発表したのだ。不確実情報ではあるが上海VWの責任者は過当競争BEVでは収益が得られないとしてエンジン回帰の発言をしたようだ。EV生産調整の発表でもエンジン搭載工場の稼働率は維持するとあったので、ざっくりエンジン、PHEV, FCVで会社存続=収益確保。要するに売れる車を製造するとの結論。トヨタに周回遅れでついていく社員の気持ちを察すると気の毒。あの時の経営トップのバイアスがなければ・・・と。

筆者は過去VW車を2代利用したが、ディーゼル排気ガス不正が発覚した時(2015年)に他メーカーに切り替えた。繰り返しになるが、約15年前までは環境に良いのはディーゼルであると称してドイツを中心にディーゼルエンジンの排気ガス競争を繰り広げていた。ガソリンに比べ安価な軽油であることもあってトラックに限らず乗用車にも搭載されていた。当時の日本車はSUVのラインナップは少ないこともあり、欧州勢が日本車叩き攻勢をかけるところにもなっていた。石原知事のディーゼルトラックPM問題が一気に焦点化するとトラックでは排気ガス燃焼の触媒搭載とアンモニア水注入方式でクリヤーしたが、乗用車のトヨタはHEVを中心に移動していった。タイミング的にはドイツでは不具合が発生。ディーゼルエンジンの排気ガス不正問題が明るみになったのだ。HEVを追随したのはホンダ。日本勢のHEVは燃費にも環境に優れていることもあって急伸長し消費者に信頼されていった。余計なことを言えば、車が停止状態から動き始める時の速度はエンジンにとって苦手なところがあり、モーター駆動であれば一気にそれが解消される。スタートダッシュによく、トルクが必要なときはエンジンが駆動する実に便利なハイブリッドなのだ。HEVはモータースポーツ車に適しているクルマ。シニアが本来乗る車ではないのかも知れない。プリウスのギヤチェンジシフト表現が違うことを暴走事故の理由にあげる人はいる。だが、スピード感覚が若い時のエンジンに慣れ親しんだノロノロ起動とは違うことの認識が甘い所為ではないかと筆者は思っている。

ドイツVWのようにその場凌ぎの手法で乗り切るようなことに対して、トヨタの全個体電池を利用してBEVでも1400km走行は可能とか、FCV, 水素エンジンもありの環境に良いための手法追求はすると予め発表しておくことが、耐久消費財を購入する側にとって「開発は時間がかかるものだ、それまで期待して待っていよう」となるのが普通。筆者の推しは半固体電池APB(all plastic battery)。

サイエンスは嘘をつかない。バイアス同調圧力に屈しやすいのが人間。コロナ明け以来展示会などでの交流が盛んになっている。バイアス排除には情報化社会だからこそface to faceが従来以上に重要になっていると思う。

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