パソコン作業を中断するときスリープにするか終了するか悩ましい時がある。パソコンへの負担は立ち上げ回数によると漠然と思っているが、国の電力キャパとの関係まで正直考えなかった。今後益々増加する通信量の消費電力に対するソリューション例を考える
通信ネットワークの通信量は総務省2017年8月統計資料によれば対前年39%の増加と驚異的な数字が報告されている。今後通信動画の高細緻化が進めば通信ネットワーク容量も現在の1000倍必要となり、その時のルーター消費電力は2030年には総発電量11,000億KWを遙かに超えると予想されている。モバイル、パソコンなど個々の機器の消費電力は小さいと思っていただけに一般消費者としては意外である。
自動車自動走行レベル2でも相当コネクトが進んでおり、レベル3になると飛躍的に増加すると予想される。また遠隔地医療のための精緻画面電送システムの充実も要求されると予想される。
現在のネット利用の時間帯は21時~23時にピークがあり、土日に集中しているとの総務省資料がある。 一方でEV車の割合が高くなる機運にあるが、素直に読めばEV車に充電する時間・日と重なることから①発電所増設+休眠発電所再稼働 ②ネットワークアーキテクチャー抜本構築 ③パワーデバイス開発 などを実行しないと社会インフラに重大な危機をもたらす。ここでは③について電力変換や電力制御に利用される半導体について採り上げる。現在の半導体はSi(シリコン)であるが、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガリウムナイトライド)半導体の開発がなされ、コンバーターとして徐々に浸透してきた。これらはシリコンに比較してバンドギャップが2~3倍、絶縁破壊電界が6~10倍、放熱に関係する熱伝導率が1.5~3倍で高温環境下でも性能が発揮するのが特徴である
因みに、ある電子機器の電力損失のうちスイッチオン20%、オフ時32%のオン・オフだけで52%が損失となる(残りは稼働時の損失)が、SiC半導体ではスイッチオフ損失15%に、稼働損失を入れてもトータル47%は削減できるとの報告がある。(ローム社カタログ)
今後、例えば自動車の半自動走行レベル2でもピコ秒単位でのオン・オフ切り替えがなされると半導体の発熱による能力低下問題から耐熱・熱伝導性の良い新規半導体に切り替えが進むものと推定される。但し、ウエハーの加工問題や価格問題もあることから、商品の電圧によっては、安価なSi基板の上にGaNを複層するなど種々の組み合わせも提案されている。化学、加工技術、半導体部品製造が一体となった技術開発が求められ日本の底チカラが活かされる時期到来となった。デンソー、東芝も参入してきた。