フレキシタリアンは地球を救う?

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Flexitarian これからの世界の標準食だそうだ。Flexible+食の造語であることはわかる。まさか柔軟な食べ物ではないこともわかるがさて? 末尾に**anがつく食習慣はある。ベジタリアンは古くからのお馴染みワード。ビーガンも最近はよく耳にする。恥ずかしながらベジタリアンは野菜のベジタブル由来だと長年思っていたが、vegetus(ラテン語:新鮮・健全)とwebで知った。ビーガンとは元は同じでベジタリアンは乳製品を摂るが、ビーガンは全く摂らない違いらしい。

で、今回話題のFlexitarianとは何ぞや。そこには人にも地球にも「ヘルシー」な食生活を指すようだ。気になるので、このタイトルの文献を探した。(nature 3月号P28 2022)。見つけたのは良いが結論を実行するには覚悟が要る。読まずに引き返すならばここだ。だが、地球を救いたくない人は少なくとも日本人にはいないはずなので、おそらく早く結論を言ってほしいとお望みだろう。そこで要旨を記載。

要旨はこうだ。食糧生産により極めて大規模な温室効果ガス汚染が発生している。このままだと、食糧生産以外の工業・物流・生活で排出する温室効果ガスをゼロにしても目標1.5℃に抑えることはできない。

食糧生産における温室ガスは全体の40〜50%を占めるからだという。ご存じのように牛は反芻動物でゲップするたびにメタンガスを放出する。また、牛は餌をエネルギーに変換する効率が低い(約30%)こともあって、植物野菜を直接人間が摂った方が高い効率である。タンパクは僅かな肉や魚で補填するとして。これをなんだかんだと計算すると、30歳平均体重の人の1日必要2500カロリーの食物で1週間中摂る肉は100g。そうすれば1,100万人の命が救われ、地球も救われると記載されている。具体的数字は図参照。Flexitarianのイメージが具体的になった。

経済的に恵まれない国ではとうもろこしの粉をお湯で希釈して食事としているところもあり栄養不足の子供の映像を目にする。まして戦争で農業が破壊された場合はどうなるのか。為政により多くの餓死者が出たことは欧州でも過去に発生した。それが今のウクライナ。決して開発途上国の貧困国だけの話だけではない。健康を維持するための最低限食糧に今一度注目しても良い。戦争で小麦粉、調味料など値上がりした。これを良い機会として見直しするのも間接的に地球に貢献する。としよう。

この記事には卵や乳製品バター、チーズなどが記載されていないが、100gは衝撃的数字だ。過去の日本人なら耐えられる数字だと思うが、欧米化により、この2〜3倍の肉を消費していると思う。これからハンバーガーショップの看板を見ても我慢・我慢。ステーキ屋から漂う香りに誘惑されないか? これは大丈夫。筆者の場合、財布が強いキーパーなのでブロックしてくれる。冗談はこれくらいにしてこの文献が推奨する食事とはを図―1に紹介する。ついで図―2に各地域の食物摂取パターンを示す。

図―3は環境コストと食糧の負担・増加を示している。衝撃的であるが決して無視はできない。大食いタレントとして糧を得ている人がいるので軽々には言えないが、ぼちぼち大食い番組はやめては如何だろうか。その代わりに、Flextarian生活をしている人のエネルギー効率、栄養バランスをコンペするような番組もあっても良いのかも。

ただし、この文献は地球環境面からの記事であり、個人の健康との関係まで深く言及してはいないことに留意する必要がある。炭水化物の過剰摂取は糖尿・高血圧の原因になり、乳製品を摂らないとタンパク質欠如となり骨粗しょう症の原因にもなりかねない。タンパク源として大豆由来、魚などのへの変更も必要だ。要はバランスの良い食事と地球のバランスの両方への意識。個人ではコントロールが困難だけに新規なビジネスが出現するきっかけになるかも。それが何かFlexibleに考えることにしよう。(上から図−3、図ー2、図ー1)

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