ロボット展より

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3月9日から12日までビックサイトでロボット展が開催。通常展示会は水曜日〜金曜日が定番になっていたが、今回は土曜までの4日間、ビックサイトの東館全部、西館一部と殆どビックサイトフル稼働状態。それだけ日本のお家芸が少なく、頼れるのはロボットだけになってしまったのかも知れない。DXと相まって、多種多様のロボットが展示されていた。

例えば従来のパーツピックアップも3次元ピックアップと変化。バラバラの部品も方向を整えてピックアップするなど人間では手首の回転が無茶でもロボットは自由に動く。今までは人間が勝っていたのは目視作業であったが、これもカメラの進歩で難なくこなしていく。値段を聞いてみた。説明員は躊躇して800万円と答えた。エッ安いですね〜と言えば説明員もエッ?安いですか?高いと言われると思ったと。安い根拠は250日24時間1年間稼働したら時間給1,300円。6年間無修理で働いたら時間給220円。この作業は人間にはできない。

ファミレスでの配膳もロボット化してきたのはご承知の通り。原料や複数の作業工程品の移動に利用されているものの応用に過ぎないが、面白いのはマネキンを外装とし、衣装を着せることで親近感を持たせている。機械でありながら機械と人間の間を埋めようとの方向にきた。TV番組「新婚さんいらっしゃ〜い」のスポンサーであるロマン吉忠(現)吉忠マネキン社がブースを持って他のロボットメーカーと協業しているのは納得した。マネキンの製造も3Dプリンター(FDM)もなるほど。京都梅津の老舗企業であるが、情報はやはり東京と進出を決めたとのこと。でも京都らしさを活かして日本舞踊を妖艶にこなす舞妓ロボットにも少し期待。花代は?と余計な妄想。

川崎重工のブースは圧巻。他を圧倒していた。手術ロボットが2回目の公開とあって人気を博していた。泌尿器科(前立腺癌、膀胱、子宮など)に関わる手術としては先行して米国ダヴィンチが4000台もの実績があり、基本特許が切れたものの関連特許が網の目のようにあって追随を許さなかった。それをクリヤーしての病院での採用が出始めたのは賞賛に値する。医者は患者より距離を置いた画面をみながら操作ステックを動かす。

この作業を見ながら、医術と工学とは似ているところがあるぞと感じた。疾患部の有無、検出は不良品を検出する工程、手術はそれをメンテか部品やソフト置き換え、そしてMR、CTの検査に対して製品品質検査を受け世の中に出す。同じではないか。さすれば将来は・・・・とこれもよからぬ妄想を。最近の医者は患者の様子を見ないで検査データーばかりに見ているとの評がある。いずれ顔の色相変化などロボットが検出して肝臓、腎臓などの疾患を見破ることも出てくるかも知れない。さて医者はどうする?

昨日、とある企業でモーターの巻き線の話を聞いた。それはロボットで巻くとテンションが一定なのはいいが、爪痕?がどうしても残る。平たく巻くばかりでなく、徐々に傾斜をつけて巻くことがある。これがロボットではできない。巻く速度を聞いて驚いた。ロボットより速いのだ。(但し女性が終日ペースを崩さないのに対して、男性は気分のムラがあり事実上ダメ)とのこと。いずれはロボット化するだろうが、特殊分野ではまだ人間の方が勝ることもある。

ビックサイト全館フル展示なのでここに全てを記載することは無理がある。なかには超巨大なロボットが展示。いずれくる建設労働むけだろう。でもいずれに共通していることはハードは得意な日本であるが、いつものことながら制御ソフトは遅れているようだ。

 

生まれながらにしてコンピューターと違和感がないような世代に期待せざるを得ない。そんな中、オモチャロボットながらバク転をしたり、踊ったりするおもちゃロボットを展示。その場合、振り付けするのは手元にあるiPadにバク転の区分、手を上げる区分などのユニットを画面にスクロールして組み合わせてGoボタンを押すと合成されたプログラミングで動く仕組み。これだと幼児から親近感を持ってプログラミング当然の世代が育成されると期待が持てる。

 

 

 

 

 

 

では購買力がありながらロボットに距離感をもつ大人向けにはどうか? それに答えたのがエプソンのブース。カルテットの楽器をプログラミングの図表をロボットが押せば4つの楽器を持った4ロボットがメロディを奏でるもの。

広い会場からこのブースが気になったかと言えば、奏でる和音は不協和音に近いもので、誰だこのヘタッピーはとブースに引き寄せられたのだ。そこで気がついた人間のそれもプロが奏でるには隣のリード・リズム、転調を聞き取り、あわせているのではないだろうか。観客の反応を見ながら変えることもライブではこなしている。上述のロボット日本舞踊然り芸術はロボットでは追いつけない職業の一つだろう。小説家、歌人など文筆家も心情を表現するにはやはり生身の人間。ロボットやAIで可能である現場を見ると逆に、その世界で生き残る職種がわかる。当然と言えばそうだが可視化できる展示会は便利だ。

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