ワクチン接種と街の雰囲気

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厚労省発表の新規陽性者数は6月7日時点で図の通りで全国では1人/10万人、東京では1.7人/10万人となっている。陽性者数で表すとまだ多いと思うが、10万人当たりの比率で表現すると定性的なフィーリングより少ないことが分かる。 感染1人が何人を感染させるかを表す実効再生生産数は全国平均で0.76、東京、大阪は0.84,0.74と1以下であり収束に向かっていることは明らかだ。(コロナ勃発時は欧州の2.5で計算していた。ロックダウンが憲法上できない国にあって1以下になるとは国民の清潔生活・衛生観念に負うところが大きい)

地方自治体の首長やマスコミは人流は増加しているとして安心はできないとの警告を発し続けているが、どの実効再生生産数になれば種々の制限が解除になるのだろうか。鳥取、島根の0.3前後までだとするとまだまだ気を緩めてはダメだ。しかしプロ野球では人数制限はしているが観客を入れている。クラスター発生の報告はない。本拠地 福岡0.6,広島0.57 大阪0.73 愛知0.73 神奈川0.92 千葉0.93 埼玉0.85 宮城0.991。 楽天とソフトバンクのオーナーがオリンピック反対を言うのが実効再生生産数を根拠とするならば1に近い土地ではしないとするのが筋が通る話だ。やるならその地域に重点的にワクチン投与をするのがありうる政策ではないか。

オリンピックは予定通り開催される模様である。この実効再生生産数を見るとワクチン接種が加われば安心度は高くなり開催可能性は高いとみるのが普通だ。課題は接種の速度だ。ワクチンの手当を巡って、日本は遅いと非難するむきがある。世界の感染者数の人口比を計算すると図のようになった。

コロナ感染者が世界一少ないのは桁違いに日本である。米国は人口の10%が感染している(人口3億人として3000万人)のに対して、6%前後の国、2%でこれから伸びそうな国(インド)などが見て取れる。日本は0.6%で76万人である。かつ下火に向かいつつある。

ワクチンの配布はシビアな国を優先するのは当然なので、日本の確保は後回しになるのは国際協調の面から当然である。それを非難はできない。最悪の国を差し置いて確保したら恨まれるのは必定だ。それでもワクチンは確保できた。通常の予約システムで投与されるファイザーに加えて、臨時の大型接種会場が設営されてモデルナ製ワクチンの投与が開始された。

近くの大型接種会場までは駅から送迎バスの乗り場まで老人がわかり易いように大きな文字で道路にテープ貼りなどによる行先表示をし、かつ役所の人が総出で駅の改札から案内・介護をしている。駅周辺では多くの超高年齢層が一気に街に出てきた感がする。同時になにやら街の雰囲気が緊張からやや解れ始めたような雰囲気もした。決して緩みではないが、接種を受けたご高齢者の会話が明るいのだ。電話での通常の予約が取れなかっただからこそ安堵したのだろう。

日本はイザとなったら底力を発揮する。ワクチンが確保できるや否や接種すべく予約開始。でも、予約はスムーズではなかった。となると自衛隊にお願いしての集団接種を東京、大阪に設定。それでも不足とあらば企業、学校職場での接種と急拡大だ。企業規模1000人以上を対象としており、不公平だとの声があるが、河野大臣の説明では取引先も含む、(その家族も)とあったので、そこは上手くやりなさいとのことだろう。

このように、今までの遅速を回復すべく力の入れ具合が尋常ではない。ワクチン接種に多大な協力している医療従事者に感謝だ。安い手当で重労働の自衛隊医務官には感謝しても足りない。

次の2つの図はコロナウイルス(COVID-19)予防接種 – 統計と研究 – データの世界 (ourworldindata.org)https://ourworldindata.org/covidvaccinations?country=JPN~FRA~DEU~GBR~USAから主要国をワクチン接種投与推移を国を抜粋して表示した。(6月7日付)

感染者の多い国から先にワクチン投与が実施されていることが分かる。

この図では100人当たりの接種数を表しているが、日本は4月25日からの高齢者対象接種が開始されるや否や急上昇である。投与量は英国に追いつく直前である。7月末までの65歳以上の接種完了に加え大規模接種会場の増設、会社・職場での接種が開始されると恐らくこの図の上位に出てくるものと思われる。

米国テキサスでは接種率がまだ40%台にもかかわらず、マスクなしで活動を開始しており、米国全州の中では抜きん出て経済活性化が顕著となっている。ロックダウンが続くカリフォルニアなどから移り住む人も増加しているようだ。やはり明るい雰囲気でないと経済は回らない。そうなりつつあると街の雰囲気から感ずるのは筆者だけではないだろう。

コロナ発生当初 日本の富山製薬のアビガンが治療薬として注目を浴び政府も買い上げた。さらには中外製薬のアクテムラも話題に。今どうなったのか知りたい。北里大のイベルメクチンは承認すべく治験数積み増しするにも病院では手が回らない状態のままでサスペンドされ、ワクチンを緊急承認して現在に至っている。混乱している時は仕方が無いとしても、落ち着いたら、次回もあるとして地道に効能の蓄積をして欲しいと思う。

話は飛躍するが、エーザイのアルツハイマー新薬(アデュカヌバム)がFDAで条件付きながら認可された。一旦落選していたが、効果の見直しなどを経て認可されたのは大いに参考になる。厚労省も年内には承認する動きのようだ。製薬・ワクチンなどの承認過程は厳しさは当然だが、全体の幸福との天秤で判断することに変わりつつあるのではないかと筆者には思えるが如何だろうか。

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