AbemaTVで5年連続幸福度1位として紹介された福井。そこに産総研が設置のニュースがあり、絡めて背景などを考えた。
福井ってどこ? 東尋坊・越前カニ・永平寺は知っているが地図で正しく示せる人は少ない。最近ではボストンレッドソックスの吉田正尚、WBC内助の功労者ヤクルト中村悠平の出身地としてヘェ〜そうなんだ的な認識。北陸新幹線のターミナルになる敦賀を境に西が若狭地区、東が越前地区。阪神オールドファンに懐かしい川藤幸三が若狭と聞けば決して地味ではなさそうだ。若狭は京都への鯖街道の出発地でもあり、話し言葉は準関西弁。越前は石川、富山と同じイントネーション。余計なことながら京都に近いところが越前、中間が越中(富山)、そして越後(新潟)。
吉田正尚は体型こそ大きくないが、マッチョパワーと確実性はMBLを驚かせている。中村のキャッチングスキルとリードは超一流。大谷翔平のスイーパーをMBLのキャッチャーがよく捕逸するのに対して、ピッチャーに安心して投げさせる技術は大したもので裏方としては最高だ。この両者に象徴されるように県のイメージは地味に見えるが実は世界1、日本1〜3位の企業が多い特徴がある。県のホームページをチェックすると列挙されている。http://info.pref.fukui.jp/tisan/sangakukan/jitsuwafukui/menu/index-scene.html
戦後のガチャマン景気が日米繊維交渉で福井・石川の繊維産業は没落したと思いきや、炭素繊維で自動車・航空機の先端分野に、体調センサー機能衣料などで復活するなど今風に言えば差異化企業へと変貌していることがわかる。(ガチャマンとは織機が一回ガッチャと動けば1万円儲かるの意味=当時の大量生産を象徴)
同県及び同県出身者では社長の数が1位(人口10万人あたり)は何を意味するのか。同県人の性格を見ることができる。すなわち、他人と同じことをしては生き残れないとの意識が非常に強い。「遅いことは誰でもできる、さっさとしないとダメ」とも烙印を押されてしまう。大阪ライク。別の言い方だと、会社の方針が気に食わないのなら起業する方を選ぶ。そのためか、女性の就業割合が80%超と旦那の仕事をサポートする。
先の世界1、日本1の企業はそんな雰囲気もあってできたのであろうか。ベースに教育の充実はあろう。学力テストでは秋田、長野と長い間トップ争いを続けている。福井県の就職率はほぼ100%。失業率と経済成長は強い相関関係がある法則があることから、この先も成長軌道を描くのであろう。先端テクノロジーの開発をするに相応しい地域である。
そんな福井に産業総合研究所が開設された。つくばを本部に北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州など11箇所があるが全て太平洋側にあり、日本海側にはなかった。特にデジタル産業を重点にするとの方向が示されている。金属3Dプリンターと切削を組み合わせたマシンの製造開発では既にトップを走っている。これほど福井をヨイショしたからには来年の新幹線開業にはなんらかあるかも。(笑)
それはさておき、このブログに登場した長野も取り上げる。優秀な人材を輩出している県であるが、単独企業でいくつもの世界1を獲得しているのが信越化学。長野の水力発電と新潟の石灰石をもとにできた会社である。塩ビ、半導体シリコンウエハ、シリコーンに加えファインケミカルを拡充して収益ダントツ。塩ビはダイオキシン発生源説の中、他者が撤退・合併の流れに対して、インフラ拡充は成長に必須として逆に海外を中心に伸ばした。その結果は見事1強となった。近視眼的な流れではないのは、BEVにおける猫も杓子とは違うようだ。
昔の縁日では電球の代わりにアセチレンバーナーが利用されており、独特の匂いがしたものだ。懐かしいと思うご高齢の方もおられよう。石油化学の出現によりナフサ(エチレン等)を主体とする業態に変遷したが、信越(現在の日信化学・福井越前市)はその時アセチレン等の蓄積技術を利用して、独特の製品を開発している。今、大手化学企業は脱石化として機能性ファインケミカルに注力しているが、開発成功するには失敗の数に比例する。失敗事例は文書化され公開はしない。ChatGPT, Google BARDがいくら進化してもそこまではタッチできないのだ。
なお、コスモサイン合同会社オフィスの近くの戸越銀座に福井の坂井市のテナントショップがリニューアルオープンした。庶民的な街にマッチしている。県全体のテナントは南青山にあり知人に言わせると県のイメージとは違って派手なのね。と。極めて庶民派の筆者は南青山で名物ソースカツ丼を食す。肉厚は東京仕様の厚めになっているのも東京という大リーグ仕様で勝つようにしているのか。薄い方が品は良さげだが。ちなみに品のある高島屋を創出した飯田家も福井出身とは驚いた。