外出自粛対策として平凡社が粋な計らいで「流行性感冒」455頁を4月30日までの期間限定でオープンにした。スペイン風邪を取り上げている。前後の世界の疫病の歴史年表と日本の当時の厚労省の対応などが詳細記述されているので参考になる。スペイン風邪は1918〜1920。 友人の認識では、ウイルスによる疾病は当時、不可視の病毒とされ、電子顕微鏡でないと観えないスケール。時代的に同じ頃の野口英世氏の数々の功績も光学顕微鏡スケールの細菌レベル。今では漸く、ウイルス学、遺伝子学が認知されて来たが、当時は恐らく、不可視の病毒素があるとの医学的提唱でさえ、否定された時代であったのではと想われるとおこと。まして民間ではと。
時代は違えども、現在のコロナウイルス禍と事情はよく似ている。当時は世界大戦もあり、各国は通信規制があり、発生源がどこかも不明、スパニッシュ・インフルエンザ・パンデミー情報隠蔽がちの中、ウイルスのなんたるか不詳ゆえ、対処療法をせざるを得なかった。(尚、スペインの名称がついた疾病であるが、発症源はこの時も中国)
書籍から一文を引用する。
「予防及び治療に関しては報告少し。心身の疲労、寒湿中の曝露、栄養睡眠の不足等身体抵抗力の原体に関連すること大なるを以て成る可く之をさけ、居室の容積を大にし、各人の臥床を隔離し、食器を消毒し、咳嚏噴を注意し、異常あるものは直ちに入院加療せしめ、健康診断を必要とす。いまだ特殊な療法なし。凡て対症療法のみ。鴉片及び酒精をさけ、換気を十分にす。患者及び看護人共にマスクをかく可べし。」 (筆者注:鴉片とはアヘン)
如何ですか? 今の我々の常識になっていることばかりのみならず識者が発言している内容はスペイン風邪とそっくりです。尚、食器の消毒は食洗機が利用できる現在は大いに活用した方がよさそうです。また陽性かどうかは鼻の中から採取し、、、、肺炎合併症、、、、
これも同じ。英国のワクチンの開発が、、、、。
ただ、対症療法の中で出てこなかったのがある。それは「手洗い」である。今、手を一生懸命に洗うより、こまめに洗うのが重要と説得している。当時は知らなかった? そうではなく、既に日本人の常識になっていたからであるとの説がある。真偽の程を筆者は判定できない。ただ、日本書紀時代の疫病対策の一つとして、各地にある神社の「手洗い」が感染防止に役に立ったとの話もある。 湧き水での手洗い、口腔内洗浄は神にお参りするには必須マナーであるが、疫病対策の側面も否定はできない。
スペイン風邪で欧州では6割の人が亡くなり、中国でも1億2000万人が2500万人まで減少と日本のスペイン風邪で亡くなったのは人口6000万人中35万人(1回目ピークで25万人、2回目で10万人:死亡率は1回目が1.5%、2回目が5%) 今回の新型コロナウイルスが2回目があるのか現時点では分からないが、それにしても死亡率が欧州各国とは違うのは特筆される。今回の新型コロナウイルスについて、日本だけ罹病率が低い理由として各国はPCR検査数が少ないからだ、国内でも妙なマスコミも同様の主張をしているが、死亡者数がこのブログ作成時点で372人(感染者13,441)と圧倒的な少ない数字に検査数は理由にならないことは明白だ。
クラスター対策としては3密が効果大であるとほぼ証明できつつある現在だが、手洗いの重要性については常識の上にも新常識を重ねて実行することがポイントであろう。
具体的には京都大学の宮沢准教授(再生医科学研究所)が提唱する「新型コロナウイルスを100分の1に減らす作戦」 を紹介する。本来は著作権問題があろうかとは思うが、ウイルス禍を乗り切るために、(無断)拡散引用する。
*手を一生懸命に洗うよりこまめに洗う(15秒ほどの水洗いでも可)
*手洗い後にタオルについたウイルスは微量なためほぼ感染しない
*外出時はウエットティッシュで手を拭う
*1枚で拭いたあと、更に1枚で拭けばなお良い
*濡れた手ぬぐいをジップロックに3つぐらい入れて持ち歩いて拭く
*濡れ手ぬぐいについたウイルスは数時間経つとこわれるので気にしない
*帰宅時は手洗いだけでなく、蒸しタオルで顔を拭く
*帰宅後は風呂に直行するのがベスト
*トイレに行ったら蓋をしめてから水を流す(ウイルス拡散を防ぐ)
さて、外出自粛が5月7日に解禁になるかどうか、我々の意識が試されている。だが、日本人は日本書紀のころから、しなやかに疫病を克服してきた。今もこのDNAを日本人は引き継いでいる。誇りに思いつつ、しなやかに誠実にこの難病を克服しようではないか。