海洋ゴミと3R

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湘南(鵠沼)に住む友人は毎朝・江ノ島海岸のゴミ拾いをしてから出勤。その様子をFBで公開しているが、毎日の清掃にもかかわらず60リットル袋に一杯のゴミが収集されている。彼曰く「毎日毎日よく川から流れてくるし、よくこれだけ観光客が砂浜に捨てる勇気があるなと嘆きたくなる毎日ですが、毎日やっていると、ローカルサーファーが帰りがけに『いつも波乗りしながら見ています。ありがとうございます。これ、海のゴミです。ひとつですけど、捨てるのお願いしていいですか?』こんな人がこの三年で増えてきているのも事実です。まだまだ日本も捨てたもんじゃないです。とのこと。

環境省28年度海洋ゴミ報告(http://www.env.go.jp/press/files/jp/108078.pdf)によると漂着物は大型海藻、木材の自然物及びプラスチックスである。プラスチックスでは漁具である浮子(アバ)、発泡スチロール、及びPETボトル、フィルムシートなどであり、漂着する地域によって種類と流出先が違う。例えば奄美~串本の太平洋岸では中国からのPETボトルが、対馬~山陰海岸では韓国からのPETボトルが目立つ。北海道では漁具が多いなど特徴がある。中国は世界中からの樹脂ゴミを受け入れることを止めた。約800万トン/年の樹脂ゴミを巡って悲喜こもごもの様子が展開されている。輸出用コンテナーの奥に樹脂ゴミを、扉付近には綺麗な樹脂を積載して検査をすり抜けることを試みたが結局発見されてシップバックした某国企業、ゴミ樹脂からの分別をする中国企業が倒産に追いやられた結果、中国内需を賄えないことから日本の綺麗な再生材を輸入することになり、日本の再生業者は設備増強している。日本の家庭ではPETボトルからフィルムを剥がし、内部洗浄して回収にだす几帳面な性格が中国を救っている。中国はリサイクルせずにPETボトルを流出し、日本から再生材を輸入。どこか滑稽な風景だがこれが現実。

一方、EUの欧州委員会は5月28日、海洋生物保護のため使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案をEU加盟国と欧州議会に提出した。2030年までに使い捨てのプラスチック容器・包装を域内でゼロにする目標を掲げた「プラスチック戦略」を表明しており、今回の提案は実現に向けた具体策となる。 http://blog.knak.jp/2018/06/post-2037.html

1)消費削減:プラスチック食品容器や飲み物コップの使用を削減、

2)販売禁止:代替品がある場合、使い捨てプラスチックは販売禁止。

  プラスチック製の綿棒、ナイフやフォーク、皿、ストロー、飲み物の攪拌棒、風船棒

3)生産者の義務:生産者は廃棄物処理や清掃等のコストを一部負担、代替品の開発

  食品容器、食品包装、飲み物容器とコップ、フィルター付きタバコ、ウエット手拭き、風船、軽量プラスチック袋

4)回収目標:2025年までに使い捨て飲料ボトルの90%を回収(デポジット)

海洋生物保護目的としているが、喫緊の課題は中国ゴミ樹脂拒否対策が先である。欧州は米国と並んで樹脂ゴミを中国に輸出をしている。食品包装がガラスなどからフィルムに転換することで輸送時の炭酸ガス抑制に貢献し、さらには食品維持の為の多層フィルム化やレトルト調理などを通じて働き方を支えてきたことを、全く考慮しない委員会の狭い了見では消費者が迷惑するだろう。日本ではここで対象となるプラスチックスは焼却炉の最新化と燃焼カロリー面からも焼却されているが、こと欧州では焼却炉が対応できていないのではないだろうか。

日本ではPETボトルto PETボトルの技術が確立し、すでに稼働している。食品トレーもトレーメーカーが中心となりシートtoシートが進んでいる。また、リサイクルPETペレットをポリエチレンに20%混合した製品は洞爺湖サミットで提供するなど多面に亘り活動している。ただリサイクルPETが40%以上になると引裂やすく、ヒートシール温度が高くなる(100℃近傍→210℃近傍)問題があり実用化されていない。筆者らの研究によればリサイクルPETの割合が80%以上であってもヒートシール温度が100℃である技術が完成している。この技術を応用すれば紙を50%以上配合することもでき、廃棄にあたっては紙容器の範疇に入る。 日本は環境先進国である。胸を張って、かかる技術を輸出しては如何だろうか。

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