珈琲と私

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テレワークが続く。パソコン作業も時々立ち上がって気分転換するが、考えに詰まったときは、珈琲豆を挽く。こう言うときは手回しが適している。さて、どの豆にするか?粉砕粒度はどれぐらいにするか? だが、目開きピッチを覚えていないので再現性がない。なので同じ豆でも味が異なる。これが素人の味だと開き直る。ガラガラガラと挽ハンドルを廻す。豆の種類(サイズと焙煎度)によりハンドルへの抵抗が違うが、やがて粉粒体となり空回転となると挽き終わり。ここで仕事の気分転換は40%達成。お湯の温度を確認して全体の20%程を注いで30秒ほど静置する。この時に立ち上る香りで20%ストレス解消だ。豆の産地を認識するのはこのとき。手許にある豆はブラジル、キリマンジャロ、エチオピア、コロンビア、ウガンダ、ルワンダ。スペシャル扱いがブルーマウンテン、特別はゲイシャだが相当な腕が必要なので遠い目標にしてある。

素人の勝手な順番で電車でいう普通、準急、急行、特急、快特の如きでその時の必要とする味を選択しているのであって産地の方にはお断りしておきます。

筆者は珈琲通でもなんでもない。それでも、この立ち上がる香りで(特に焙煎度が低いときは)その土地の雰囲気が想像できる。そんなことないと読者は言われるだろう。上で挙げた珈琲豆産地の多くは内戦が長く続き一次産業に女性が従事して支えてきた歴史がある。ルワンダの豆の香りはブラジルとは違い荒々しい。焦土と強烈な太陽の下で熟したのではと焙煎度が低いときは特に感ずる。お試しあれ。

さて、残りを二分割してお湯を注ぐ様子をYou Tuberで見る。その真似をする。筆者は現在の仕事のなかで某先端材料の濾過プロセスを開発する必要に迫られていることもあり、珈琲を淹れる工程を抽出・濾過プロセスとして見てしまう癖がでる。折角の気分転換ではあるが、粒子の差により濾過速度が異なる様はナルホドと再認識することがある。

抽出濾過した液体は芳醇な珈琲となってカップに注がれる。それをゆっくり味あえばよいものを、7割程度いただくと、気分回復度が100%になっていることから、つい仕事に舞い戻っている。飲み残しは産地の人に申し訳ないので後ほど温めてのむ。こんな調子を一日に少なくとも3回は繰り返す。

そんなに回数が多くて健康に問題ないのか?は昭和の頃の話で、今は寧ろ好ましいが通説となっている。

日本の研究.com (2020.11.09) 京大及び長浜バイオ研発表によると、「習慣的なコーヒー摂取が健康に良い影響を与える場合が多いことが分かってきました。コーヒーをよく飲んでいる人の方が、糖尿病や心血管疾患、肝硬変、いくつかの癌や認知症になりにくく、死亡率も低いという結果が出たのです。NewEngland Journal of Medicine に掲載された最近の記事では、1 日 3 から 5 杯のコーヒーを習慣的に飲むのがよいのではと記載されています」

今回発表された研究内容は「コーヒーをよく飲んでいる人ほど眼圧が低いことを発見しました。ただし、コーヒーを飲むことによって眼圧が下がるのかは分かっていませんので、緑内障の治療や予防の目的でコーヒーを摂取することを推奨するものではありません。くれぐれもご注意ください。」とある。

 

 

 

 

 

 

皮膚科専門でTVでお馴染み女性医師によるとクロロゲン酸はシミ防止によいとか、保水性補助として有用だとの情報をYou tubeで語っている。また、珈琲研究家で東京薬科大学名誉教授の岡希太郎氏は以前からブログで珈琲成分効果を取り上げていたが、論文がネイチャーに掲載されたことを報道で知った。論文査読が厳しい雑誌なので本当だろう。タイトルは「珈琲習慣は健康寿命の援軍 注目のニコチン酸」

健康といえばポリフェノール。CMでもお馴染みで珈琲にもクロロゲン酸が含まれているとされ多く報告があるとのこと、これに加えてニコチン酸(たばこのニコチンとは全くちがいます!)。記事のなかで「一般には善玉コレステロールを増やす効果や、皮膚・粘膜の健康を保つ美肌効果などが注目されていますが、医療の現場では、様々な病気の治療にも使われ始めています」その1つが、先天的なNAD不足による筋無力症で難病に指定されている「ミトコンドリア・ミオパチー」。昨年にはヘルシンキ大の研究チームが、ニコチン酸の投与で患者の筋肉中のNAD濃度が高まり、副作用もなく運動機能が回復したと発表した。また中国の医師団からは、やはり難病の潰瘍性大腸炎をニコチン酸の追加投与で治癒させたとの論文も発表されている。筆者はこの分野は全く知見がないので、コメントなしで引用した。ご判断は読者に任せたい。

クロロゲン酸(左)とニコチン酸(右)の分子構造。

 

 

 

 

 

 

この記事では

「珈琲豆を深く煎ると、このクロロゲン酸は失われてしまう。そこで岡さんは、ニコチン酸が豊富に含まれる深煎りの豆と、クロロゲン酸が豊富に含まれる浅煎りの豆をブレンドした珈琲を飲むことを勧めている。」。そうか豆が同じでも焙煎状態(浅・深)を組み合わせか、経験が深い人とフレッシュな見方をする人の組み合わせがクリエイティブな仕事をできるのだ。。。。と教えられたようなものだ。

ここで、少しだけ化学屋らしいことを言えば、抽出にはお湯の通過速度と温度が重要。粉砕した粒子径が細かく、かつ揃っている場合(正規分布で分布幅が狭い)は、お湯の通過速度が遅くなる。始めと後の通過・濾過速度は低下して、お湯と接触時間が長いと苦みが抽出されてくる。そこでの対策として粒子径分布を変える(広く、または粗粒子を配合する)ことも対策として挙げられるのではないかと考えている。

そんな多くのことを考えさせてくれる珈琲。淹れ立ての珈琲をいただく。産地で働く人の様子を想像しながら。写真は焙煎前の生珈琲豆。目の前で焙煎工程を見ることができる戸越銀座Caffe la Costaの豆の特徴図

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