研究の着目点(がん細胞識別・スマホ歩き)

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“へえ〜! 知らなかった” がここ1ヶ月に2つ出会った。一つは東京都産業技術研究センターで開催されたクロスミーティンで正常細胞と転移ガンを識別するデバイスを紹介。転移ガンは血管内に侵入するには形を柔軟に変形するのに対して正常細胞は変形することなく、血管の微小な空間を通過しない。細胞サイズの微細加工で図にあるデバイスを作成。識別率80%を達成したというもの。目の付け所とそれを可能にする微細加工技術の統合の成果。凄い。やり通した研究者に拍手ものだ。

 

 

 

 

 

次に驚いたのは京都大学の「歩きスマホによる内因性転倒リスク」。

歩きスマホであれば前から来る人と当たるであろう、また段差に気が付かなくて転倒もするだろう、最近では電車からおりる時もスマホを眺めている若者がいてプラットホームの溝に落ちないか、こちらが心配。でもこれらは物理的な原因であるのに対して京大のタイトルは「内因性」とある。

最初に補足説明に目を通した方が理解しやすので引用する。

「歩行運動は自動運動の一種で、随意運動と反射運動の中間に位置する運動です。それにも関わらず、直立二足で歩行する人類の歩行制御には、脊髄・脳幹などの低次神経系のみならず、大脳や小脳、大脳基底核といった高次神経系が重要な役割を果たしていることが知られています。

例えば右脚を基準に考えた場合、ある右足接地(右足が地面に着くこと)イベント発生から反対側(左足)の設置を経て、次の右足接地イベントの発生までの時間間隔を歩行周期と呼びます。一定速度の歩行を心掛けて歩いた場合でも、歩行周期は一定とはならず、サイクル毎に微小に変動します。この歩行周期の変動は、歩行周期ゆらぎ(gait cycle variability)と呼ばれます。」

歩くのは脚の前後繰り返しだと単純なものではなく大脳や小脳の高次神経系が重要な役割だと。これが内因性なのかと理解した上で、実験及び実験結果を見た。

実験は回転ベルトの上をスマホなし通常歩行、スマホは見るが内容を認知しない(非認知課題)、スマホの画面動画や記事を見る(認知課題)の3パターンで歩行の加速度変動、歩行周期、歩行周期変動を測定。

その結果、障害物がない平地を歩行した時でも、スマホを見ながらの歩行は安定性に欠けることが証明された。なお、リュック前抱えでも同様とのこと。

この文献で安定性の評価に1/f ゆらぎを評価。さらに驚いたのは1/fはその前の数千歩の時を引き継いているとのこと。これが「二つ目のヘェ〜だ」

人間の脳ディスクに歩行パターンが記録され、AI学習のように次の歩行も勝手に

指示されるとしたら、危険は続くことになる。どこかでゴミ箱行リセットして、通常歩行バージョンをアップデートしなければならない。

それって歩行だけ? 老害、付和雷同、他人事ではない。旅行、新しい人との出会いなどがスウィッチになるが、いつも時間に追われてなかなかと言っているのは1/fから抜け出せない証拠。反省!

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